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✐✐釣り講座✐✐ 📚藤井 汐竿 (著) 必ず釣れる はじめての人の釣り から抜粋

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藤井汐竿(チョウカン)プロフィール

1945年、東京都深川生まれ。子供の頃川より生家の前を流れる小名木川で、釣りに熱中する。小学生の頃にはもう、深川の船宿からハゼ、カレイ釣りに出掛けるようになっていた。中央大学時代には釣り研究会の沖釣りの責任者を務めた。1970年から新聞、雑誌などに釣行記、魚料理などの執筆を始め、その後、釣り雑誌の編集長として活躍しながら、海、川を問わず全国各地を釣り歩く。フリーライターとして雑誌に多数連載。釣りビデオの企画プロデュースとして活躍。朝日カルチャーセンター釣り教室の講師として務める。著書に「はじめての釣り」(主婦と生活社)「釣り入門はじめての1尾」(共著、主婦と生活社)「漁師の㊙料理」(日東書院)など。

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              ⚡だれもが夢中になる釣りの魅力

忘れられない魚の引き味

これまで釣りをやったことのない人でも、一度魚を掛けてみれば、釣りの持つ魅力がわかるはずだ。サオを通して伝わる魚の引きに、だれでもきっと感動するに違いない。特に初めての1尾は、たとえ小さな魚であっても、理屈抜きに興奮するものだ。普段は、ムスッとした顔の人が、まるで子供のようには

                      しゃいだ顔になる。エサ付けも魚を持つのもダメという女性でさえ、ピクピク伝わる魚の引き味は忘れら

                      れないという。釣りには、人間の本能を刺激する何かがあるらしい。

                      新鮮な魚が食べられる

                      魚がニガ手だという人でも、釣れたての新鮮な魚料理を口

                      にすれば、「エッ、魚ってこんなにうまかったの⁉」と、

                      びっくりするはず。それぐらい、魚の味は鮮度に左右され

                      るのだ。盛り付けが多少悪くても、中味がよければそれで

                      よし。どんなに有名な高級料理店のネタと比べても、鮮度

                      だけは絶対に負けはしない。刺し身、塩焼き、てんぷら、

                      煮つけ・・・と、魚グルメにはたまらない。四季折々、旬

の魚を釣って味わえるというのは、釣り人ならではの特権なのである。

心身ともにリフレッシュ

山では緑に包まれて、森林浴をしながら谷川にサオを出す。海ではオゾンを体いっぱいに吸収しながら大海

原に挑む。仕事や生活のすべてを忘れて、魚との対話だけに神経を集中する。こんな素敵な遊びは、ほかに

はないだろう。

​キャンプ用品を積んでの車での釣行なら、釣りたての魚をその場で調理して食べるアウトドアレジャーの魅力がもう一つ加わる。豊かな自然の恵みの中に身を置けば、身も心もリフレッシュされること、うけあいである。

ワクワクの釣行プラン

釣りに行く前夜は、まるで遠足の前の子供と同じで、興奮してなかなか寝つかれないものだ。サオや仕掛け、エサを何度も点検したり、忘れものがないかどうか落ち着かない。時には、一度フトンに入ってから何か忘れた気がして、また起き出すことさえある。

実は、こうしたことも釣りを楽しくする要素の一つなのだ。つまり、釣りはその日だけのものではなく、釣行を決めた時から、いろいろプランを練ったり準備をすることで、もう始まっているのである。

 

          

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※基本ルールやマナーについては水産庁「遊漁の部屋」もご参照下さい。

         ◎水産庁 遊漁の部屋

    https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/yugyo/

⇉入門に最適な釣り場と対象魚⇇※まず手始めにニジマス、シロギスを釣ってみよう!!

とりあえず魚を釣らなければ、釣りのおもしろさはわからない。まず、だれでも手軽に釣れる魚で、引き味を体験してみよう。

そこでおすすめなのが、渓流の常設釣り場のニジマス釣り。道具は借りられるし、釣った魚をその場で食べることができるから、家族連れで楽しめる。

一方、海ならシロギス釣り。魚の力強い引きにビックリするはずだ。

◎川/常設釣り場のニジマスと遊ぼう

常設釣り場とは、つまり釣り堀である。だから釣れて当り前なのだが​、それでも初めての1尾は感動もの。サオをギューンと締め込む魚の引き、釣り上げてもなお抵抗をやめず跳ねまわる魚の生命力を目のあたりにすれば、あなたもきっと釣りの虜になるはずだ。












 
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◎奥多摩漁業協同組合フィッシングセンター

http://www.okutama-fc.co.jp/

◎海/シロギスで腕だめしをしよう

海釣り入門のおすすめはシロギス。身近な釣り場で手軽に釣れる上に、きわめていけば奥が深い。防波堤や砂浜からの投げ釣りやボート釣り、船釣りでねらうことができる。あなたもぜひチャレンジしてもらいたい。
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《海ではこんな魚が釣れる》
​ ※自分に向いた対象魚をみつけよう

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《川や湖沼ではこんな魚が釣れる》
​川は、山奥の源流部から海に流れ込む河口部まで、さまざまな魚を育みながら流れている。相次ぐ開発で釣り場が次第に失われつつあるのは残念だが、まだまだ自然はしっかり残っている。

※川や湖沼での釣りは、海とはまた違った意味で、あなたに「釣りを趣味にしていてよかった」と感じさせてくれることだろう。上の図を見て、どこにどういう魚がすんでいるかを、よく頭に入れておこう。

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広い海には数えきれないほどの種類の魚がすんでいる。イワシのような小さな魚から​、イシナギように100㎏を超す大物まで潜んでいる。といっても、海の中ならどこにでも魚がいるというわけではない。やはり、魚がすむための条件というものがあり、また魚にとって住みやすい環境というものがある。
​それを知らずに、やみくもに釣り糸をたれるのでは時間の無駄というもの。逆に、どこにどういう魚がいるかということを頭に入れておけば、それだけ魚に出会う確率が高くなるというわけである。

◎川釣り入門

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川釣りの魅力は、単に魚を釣ることだけではない。
​水と緑に囲まれて、自然と交わす語らいの場であり、時間である。水辺に立ち、四季の移ろいを肌で感じながら、無心で釣り糸をたれる時、釣り人は普段の生活を忘れ、自然の中に溶け込むことができる。まずは、身近な対象魚にねらいを絞って、川釣りの基礎を身につけることから始めるようにしましょう。また、自然を汚すことなく、魚がすめる自然環境の保全にも心を配っていただきたい。                    (藤井 汐竿)
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《川釣りで釣れる魚たち》

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☞ 川釣りのマナーとエチケット ☜

渓流への単独行動は避ける。

稚魚が掛かったら放流する。

農地のあぜ道を踏み荒らさない。

必要以上に寄せエサを使わない。

仕掛けやゴミを捨てない。

火の始末はきちんとする。

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※険しい源流部から河口までエリヤ別の釣魚一覧
 谷川を登りつめ、山奥に踏み入る源流のイワナ釣りから、気軽にサオが出せる平野部や河口部の釣りまで、川釣りのフィールドは幅広い。
環境汚染や護岸工事などで魚が減ったとはいえ、まだまだ魚はたくましく生きている。
自分の好みに合った釣りを探してチャレンジしてみよう。
         
     ◎仕掛け作りのコツ
釣り場でまごつかないように、まず基本を覚えておこう     
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川釣りでは、できれば釣り場で手早く仕掛けを作るようにしたい。イトに変なクセができないし、釣り場にあった仕掛けが作れるからだ。それに、あわてなくても魚は逃げない。
​仕掛け作りは、ていねいであること、イトを傷めず、仕掛けの一部に負担がかからないようにすること、かつ、絶対に緩まないことが条件である。

                    (※自分で仕掛けを作ってみようを参照⇘⇘⇘)     

マブナ(ギンブナ・キンブナ)釣り (釣りの原点「フナに始まりフナに終わる」)

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          〔特徴〕マブナと呼んでいるが、これはヘラブナと区別するための

           呼称で、正確にはギンブナ、キンブナのこと。平野部の流れの穏

           やかな河川や湖沼にすみ、一部は汽水域にも生息する。雑食性

           で、底近くを泳ぎ、小動物や藻類を食べている。ギンブナは体色が銀白色で30cmぐらいまで成長する。一方、キンブナは金色がかった体色で、15cmぐらいまでにしかならない。数は、ギンブナのほうが多い。

〔シーズン〕​春の乗っ込みブナ、秋の小ブナ、冬の寒ブナと、真夏を除いて楽しめる。

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[サオ選び] 

ホソと呼ばれる細流をシモリ仕掛けで釣り歩くには、長さ2,7~3,2mぐらいの短ザオが向いている。なおかつ、マブナ釣り本来のおもしろさを味わうことができる。しかし、ホソ以外の場所の探り釣りなどを考え合わせると、渓流ザオの3,9~4,5mクラスのものがあれば十分だろう。

[エサは赤虫がベスト]

マブナは雑食性で、キジ(ミミズ)、ボッタ(イトミミズ)、赤虫などのほか、練りエサでも釣れるし、汽水域ではゴカイが使われることもある。しかし、季節、釣り場、マブナのサイズにかかわらず、平均して食いがよいエサは赤虫である。

​赤虫は3~5尾の房掛けにするが、ダイコンの切れ端を持参して、その上に赤虫をのせて刺すと、エサ付けがしやすい。なお、晩春からは、キジでねらうと大型のマブナがくることが多い。

[シモリ釣りのテクニック]

マブナ釣りのおもしろさを味わうなら、シモリ釣りが向いている。この釣りは探り釣りとも呼ばれ、ポイントを見つけながら、あちこち釣り歩く釣り方だ。小型の玉ウキを数個つけて、この玉ウキがユラユラと水中に沈んでいくように、オモリを調節しバランスをとる。

杭やアシなどの障害物の近くに仕掛けを沈め、しばらく待ってアタリがなければ、仕掛けを少し浮かせて、30cmほどポイントを移して、また仕掛けを沈めてみる。

アタリは、水中に沈んでいるウキの動きに出る。水中のウキが前後、左右に動いたらアタリと思って、軽くサオを立てて合わせる。もちろん、消し込みや食い上げなどのはっきりしたアタリが出ることも多い。

ヘラブナ釣り(野釣り・管理釣り場・釣り掘) ※キャッチ&リリース

          〔特徴〕琵琶湖特産のゲンゴロウブナを品質改良して作り上げたの

           がヘラブナである。現在は放流されて、全国各地に生息する。マ

           ブナに比べて体高が高く、また50cm以上に成長する。植物性のプ

           ランクトンをエサとしているが、まれに、動物性のエサにも食っ

           てくる。天候や水温などによって泳層を変えるなど、警戒心の強い魚であるが、その引き味、魚とのかけ引きなどのおもしろさから、釣り人に人気が高い。 〔シーズン〕​周年。

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[基本道具のそろえ方] 

ヘラブナ釣りには、専用ザオと専用ウキが必要になる。そのほかにサオ受け、玉網などの道具をそろえておかなければならない。

サオは、野釣りが中心なら4,5~5,4m、釣り堀や管理釣り場を中心にするなら2,7~3,9m程度の長さが、振り込みやすい。

できれば、それぞれを購入して、条件に応じて使い分けるのがよい。

ヘラウキは、使うエサ、釣り場、水深によって太さやオモリ負荷が違ってくる。ウキの感度によって、アタリの出方がまるで違う。できれば、ベテランのアドバイスで選ぶとよいだろう。

[エサと作り方]

2本のハリの上には、寄せエサの役目をするバラケ、下バリには粘りのある食わせを使うことが一般的。釣り堀や管理釣り場では、両方のハリにオカユ練り、ウドン、マッシュなどの食わせエサを付けることもある。

​市販のエサには、水の量で粘度が表示されているから、説明書どおりに作れば、理想のエサができる。正確に計量して、あまり練り込まないほうがよい。

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[タナ取りには迷うな] 

まず、どんな釣り場でもタナ(水深)をしっ

かり計ること。ねらうポイントの周囲、

半径1mの水深を丹念に計り、目印をウ

キのトップに合わせておく。

2本のハリにエサを付け、ウキのトップ

が水面すれすれになるようオモリを調整

する。まずは、片ズラシを基本に冬季はトモズラシ、晩春から秋季までは、中層をねらってみる。すぐにアタリが出ないからといって、タナを動かしすぎると、かえって悪い結果になることが多いので、じっくり攻めることが大切。

[アタリとアワセ]

エサに近づいたヘラブナは、水といっしょに吸ったり吐いたりしながら、エサを口に吸い込んでいく。これが、ウキにモヤモヤという動きを与え、続いてツンと消し込むアタリとなって現れる。そのほかにも、いきなりウキを消し込んだり、食い上げでウキが寝てしまったりと、アタリはさまざま。

アワセは腕を伸ばし、腕全体を軽く持ち上げる小さなアワセをマスターしたい。

イワナ・ヤマメ(アマゴ)釣り ※稚魚はリリースを!!

※渓流釣りの魅力※

川釣りに手を染めたら、一度はネイティブなイワナ、ヤマメを釣り上げていただきたい。ことに、わずかな水量の川でたくましく生きるイワナを手中に収めると、その生命力と自然の力に感動することだろう。

ヤマメの美しさは、造形の美を感じさせる。若魚のパーマーク、成長のたくましさと優しさをかね備えた魚体は、釣り上げるたびに、ほれぼれする。

大都市の近郊では、最初のうちは、なかなか釣ることは難しい。それだけに、初の獲物をキャッチした喜びは、なにものにもかえがたい。できれば、ベテランに同行して渓奥に入り、釣りのあとは温泉で疲れを癒すようなゆったりした釣行を計画してみよう。   (汐竿)

  ◎川釣りに必要な道具道具類
  まずは魚を釣るために必要最小限の道
  具だけを買
いそろえよう        
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川釣り場合も、ねらう魚に対して、いろいろなサオが市販されているが、これから始めようという人には、とりあえず、中硬調子の4.8~5.4mの渓流ザオを1本購入することをおすすめする。これがあれば、渓流のイワナ、ヤマメから河口でのハゼ釣りまで、そこそこにこなすことができる。
こうして1本のサオを使いこなすことができるようになれば、やがてねらう魚や自分の好みに応じたサオを、選ぶことができるようになる。
高い道具を買うのは、それからでも遅くはない(ただし、アユの友釣りや大ゴイ釣りなどは、はじめから専用のサオが必要になる)。

       

☞ 竿 

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サオには、調子と呼ばれるバランスの違いがある。簡単に言えば、魚を掛けた時のサオの曲がり具合の差である。サオの調子の違いが、実際の釣りにどう影響するのかは、サオ選びに重要なことなので、よく知っておく必要がある。

先調子と呼ばれるサオは、サオ先でアタリを取り、アワセを必要とする釣りに向いている。一方、胴調子と呼ばれるサオでは、アタリはウキで取るかサオ全体で取る。したがって、細い仕掛けで、サオの弾力を利用する釣りに向いている。最もわかりやすい例がマダイ釣りである。生きたエビを使う釣りでは、サオ先でアタリを取り、しっかり合わせるから、胴に張りがある先調子でなければ、タイをハリに掛けることがまずできない。ところで、同じマダイ釣りでも、コマセ釣りでは胴調子のサオを使う。波による船の揺れをサオで吸収し、エサの動きに不自然さを与えずに食い込ませるには、胴調子のサオが必要になるからだ。

近年、サオ全体が胴調子になりつつあるが、合わせて釣る、という釣り本来のおもしろさを考えると、七三調子ぐらいの先調子ザオがおもしろいし、扱いやすい。

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サオの素材は、竹からグラスファイバー、カーボンへと技術開発に伴って、変化してきた。現在、主流はカーボンとなっている。

少し前までは、カーボン製のサオは値段が高く、一般向きではなかったが、最近は値段も下がり、はじめからカーボン製のサオで入門するケースも増えている。ただし、グラス製のサオで十分な釣りもあるので、用途をよく考えて選ぶのがよいだろう。

①カーボン製

カーボン繊維を合成樹脂で固めたもの。軽量で、弾性に優れ、劣化しにくいという特性があり、釣りザオの主流になっている。カーボンの純度の高いもの、セラミックなどの充填補完材を使用したものは、価格が高い。

なお取り扱いにあたっては、電気の良導体なので、雷や高圧線、電線などに触れ感電しないように注意すること。

手入れは、釣りから帰ったら水洗いし、陰干ししてからしまう。降り出しザオはサオ尻を抜き、ゴミや砂をきれいに洗い流しておく。

②クラスファイバー

ガラス繊維を接着剤で固めてサオに仕上げたもの。弾性に優れ、価格が安いのが魅力。船釣りのサオは、高価なカーボン製を購入しなくても、グラスファイバー製で十分な釣りものが多い。

カーボンと違い電気抵抗が大きいので、感電の心配はほとんどない。

③竹製

一般に、和ザオと呼ばれることが多い。

自然の素材だけに釣趣を楽しむ釣りにはうってつけだが、取り扱いや手入れが面倒なのと、ほかの素材に比べて値段が高いというのが難点である。したかって、ビギナーには、あまりおすすめできない。しかし、少し経験を積んで、ヘラブナ、ハゼ、カワハギなどを専門にやろうという場合には、選択肢の一つとして、考えてみるとよいだろう。

なお、和ザオを継ぐ場合は、節を左右互い違いに継ぐこと。根掛かりしたらサオであおらず、道糸を手に取って処理するなどの注意が必要。

また、釣行から帰ったら、濡れた布で汚れを取り陰干しする。

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          〔特徴〕イワナは、最も高地に生息するサケ科の魚。同じ仲間にオシ

           ョロコマ、アメマス、ゴギがいる。昆虫や小魚などを捕食している

           が、時には、カエルを飲み込むほど、獰猛な食性を持つ。

           ヤマメもサケ科の魚で、イワナに次いで川の上流にすむ。体側に朱

           点のあるアマゴは、ヤマメに非常によく似た魚。いずれも、体側にパーマークと呼ばれる小判状の斑もんがある。

ヤマメは神奈川県以北の本州と九州の一部、それ以外はアマゴとそれぞれすみ分けているが、養殖魚の放流で混生域もある。

〔シーズン〕多少の​地域差があるが、3月に解禁になり、9月以降禁漁となる河川が多い。

〔料理〕塩焼き、バター焼き、田楽焼き、骨酒など。

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[サオ選びと仕掛け] 

サオは、軽量でバランスのよいカーボン製の5,3mがおすすめだ。「へたの長ザオ」という言葉があるが、初心者が警戒心の強い渓流魚を釣るには、ポイントからなるべく離れてサオを出すことが、釣果を上げる秘訣である。渓奥の狭いポイントでは、サオを短くして釣ればよい。

[エサの種類]

イワナ、ヤマメともに川虫が最良のエサになる。面倒がらず、釣り始める前に一日分を確保しておきたい。オニチョロ虫、カメチョロ虫、ピンチョロ虫がたくさん採れれば文句なしだ。

予備エサとして、キジ(ミミズ)か養殖ブドウムシだけは持参すること。ことに雨後で水が濁っている時は、キジの食いがよい。周年、キジだけで釣るベテランもいるぐらいだ。​

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[イワナ・ヤマメのポイント] 

入渓者の状況や季節によって異なるが、イワナは落ち込みのエグレが好ポイント。水量の少ない渓奥では、「こんなところに・・・・」というような小さな落ち込みで、良型のイワナが釣れることがある。

晩春から初夏は、瀬に出ていることが多いが、入渓者が多い都市近郊の川では、ちょっとした人の気配を察知しただけで、岩陰に身を潜めて、エサを追わなくなってしまう。したがって、イワナ・ヤマメともに、石裏の巻き返しや倒木の下、落ち込みの白泡の下などがねらってみたいポイントになる。ここぞと思うポイントは、静かに近寄って、すぐにアタリがなくても、粘り強く攻めてみたい。

[仕掛けの流し方]

まず、必ずエサが先に流れるようにサオで操作すること。当たり前のようだが、早い瀬を流す時は、慣れないと、仕掛け全体が、エサより先に流れていることが、意外に多いのである。これでは、魚に警戒心を与えるだけで、まず釣れない。

次に、ここぞ、と思うポイントは、しつこいぐらいに何度も流してみること。相手がじれて出てくるまで流す。すれた魚を誘い出すテクニックの一つだ。 

[アタリとアワセ]

アタリは、目印が止まったり、流れと逆に走ったりと、さまざまである。

ヤマメは、アタリがあったら即、合わせないと、エサを放してしまう。

イワナは逆で、ひと呼吸おいてから合わせないと、ハリ掛かりしないことが多い。又、合わせそこなっても何度かエサを追うから、あきらめずにエサを付けかえて流してみること。

小ヤマメも何度かエサを追うが、成魚のヤマメは、アワセそこなうと、しばらくエサを追ってこない。

※困った時のアドバイス

・跳ねあがるがエサを追わない・・・・

 毛バリを結んで攻めてみると一発で食うことがある。

・すれた渓流魚を釣る特効​エサは?・・・・

 メダカやクチボソ(モツゴ)などを持参して流すと、すれた渓流魚も食いがよい。

アユ釣り  ※アユの友釣りは難易度の高い釣りだが、それだけ釣り人を夢中にさせる

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※アユ釣りといえば、友釣り。アユが縄張りを持つ習性を利用して、オトリのアユを泳がせて送り込むと、猛然とオトリアユに襲いかかり、仕掛けられたハリに掛かるのである。友釣りは、アユが付く石を読む推理力というメンタルな要素と、オトリアユを自在に操る技術が求められる。              

            〔特徴〕“年魚”“香魚”と書いてアユと読ませる。前者は寿命が1

             年であるところから、後者は香りがよいところからきた。

             稚魚は雑食性だが、成魚は石につくコケを食べる。その結果、

             アユは石ごとにテリトリー(縄張り)を持ち、これを守ろうとする習性がある。外から侵入してきたアユに対して、体をぶつけて追い出そうとする、この激しい性質を利用したのが“友釣り”だ。

海から遡上してきたアユを天然アユというが、河川の汚染や河口堰などによって天然アユの釣れる川は、年々減少している。たいていの河川では、湖産(琵琶湖産)アユを放流している。

〔シーズン〕アユ釣りには禁漁期間があって、5月下旬から6月初旬に解禁になり、10月

​いっぱいまで釣らせる所が多い。

〔料理〕塩焼き、背ごし、アユ飯、てんぷら、甘露煮など。

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                    [友釣り仕掛けと道具] 

                    友釣り人気は、年ごとに高まりをみせている。そのため、釣り人が増えて、ポイントが遠くなることが多い。さらに、なるべく立ち込まずに釣りたいことなど考え合わせると、サオは9~10m級の長ザオが必要となる。

計量に設計された最近のアユザオは、9mでも数年前の7~8m級の感覚で扱える。ただし、軽さだけを追求したサオは、ちょっとした不注意で折れやすいし、オトリを操作しにくいことがある。最初の1本は、ビギナーでもオトリアユをコントロールしやすい中硬調のサオを選ぶのがよいだろう。素材は、いずれもカーボンが主体なので、電線に触れて感電したり、落雷にあわないよう十分注意していただきたい。

[そろえておきたい道具類]

生きたアユをオトリに使うという、ほかに類のない釣りなので、どうしても専用の道具が必要になる。なるべく、手軽に友釣りを楽しんでいただきたいので、必要最小限の道具を選んでみた(上図参照)。

サオのほかに玉網と引き舟、ブクだけを持参すれば、最も安上がりにアユ釣りができる。この釣りは、のめりこむと、次々によい道具やサオが欲しくなるが、使い勝手がわかるようになってから購入すれば、無駄な出費をしないですむ。

体を冷やして健康をそこねないためには、ネオプレーンのタイツがあるとよい。それにフェルト底の地下足袋をはけば、足まわりは完璧。石についたコケの状態や、オトリの泳ぎを見るために、偏光グラスがあると便利だ。 

[仕掛け作りのコツ]

仕掛け、ことに掛けバリは各種あるが、迷わないこと。入門者には、目印はセルの矢羽根型、鼻カンは自在型、掛けバリは3本イカリがおすすめだ。

オトリの鼻カン操作は楽だし、3本イカリは、掛かりがよく根掛かりも比較的少ない。

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[ポイントの選び方

荒瀬に立ち込んでアユを釣る姿は、格好はよいが、初心者にはおすすめできない。まずは、比較的なだらかな瀬で、オトリを自在に操れるように練習していただきたい。

ベテランが攻めないポイントにもアユはついている。黒々としたハミ跡を確認して、じっくり攻めてみよう。できるだけポイントから離れ、静かに攻めれば、ほとんど立ち込まなくても釣れる。

[オトリの付け方と送り込み]

オトリアユを、いかに元気に泳がせるかが、友釣りのポイントである。オトリアユを玉網に移し、手を川の流れにつけて冷やし、すばやく鼻カンを通し、逆さバリを打つ。

流芯に向けてオトリを放し、魚がまっすぐに泳いでいけば、まずは合格。さらに、サオを立てアユを少し浮かせ気味にすると、サオと反対方向に泳いでいくので、こうしてねらったポイントにオトリを送り込んでいく。 

[掛けてから取り込みまで]

オトリアユがポイントに入ったら、道糸を少し緩めアタリを待つ。アユは、ハリに掛かると、オトリアユともつれながら流れを下る。サオを立ててためると、魚が浮く。そこからサオを倒して道糸を手繰って寄せるか、あるいは一気に引き抜いて、空中を飛んで来たアユを玉網でキャッチする。

引き抜きは爽快で掛けたアユをを傷めることも少ないから、ぜひトライしてみよう。魚を完全に浮かせ、ひと呼吸おいてから抜く。

[野アユの交換]

元気のよい野アユが、背掛かりで釣れたらしめたもの。すぐにこの新しいアユに付けかえて、ポイントに送り込む。

[アユ釣法のいろいろ]

アユ釣りには、友釣りのほかに、毛バリの流し釣り、ドブ釣り、エサ釣り、コロガシなどの釣法があるが、河川、区域、時期により禁止されていることがある。事前に漁協か地元の釣り具店に問い合わせること。

ハゼ釣り  ※だれにでも釣れるが、ハゼほど腕の差が出るものはない

                〔特徴〕日本各地の沿岸にすみ、特に内湾の河口付近や汽水域

             に多い。ゴカイ、イソメ類、小型甲殼類、海藻などを昼間活発

             に食べ、夜は浅瀬で群れをなして寝る。成長すると20cm近く

             になるが、河口付近で釣れるのは7~15cmぐらいが多い。

〔シーズン〕初夏から晩秋までが釣期で、冬場は深場へ移動する。

〔料理〕てんぷら、空揚げ、南蛮漬け、甘露煮など。

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                        [河口部での陸釣りのコツ

                        ハゼのアタリを確実にキャッチして釣

                        るなら、シモリ仕掛けが一番だ。これ

                        なら、デキハゼと呼ばれる、シーズン

                        当初の小型から秋口の大型魚まで、ハ

                        ゼの成長に合わせてハリの大きさを変

                        えていくだけでよい。

                        エサは、初期はゴカイかミミズを小さ

                        めに付ける。ウキに変化が出た時に、

                        軽くサオを立てるだけでハリに掛か

                        る。

                        サオは、渓流ザオの3,6~4,5mで十分。

                        同じサオでミャク釣りも楽しめる

ワカサギ釣り  ※秋から冬場の風物詩“ワカサギ釣り”簡単そうに見えるが、数を釣るにはコツがいる

ワカサギは群れで回遊する。魚体も小さいが、口も小さい。繊細な仕掛けと、微妙なテクニックが要求される。その繊細さが、この釣りのおもしろさだ。               

            〔特徴〕本来は海の魚だが、淡水でもよく育つので、各地の

             湖、池に放たれ、繁殖している。背ビレ後方にアブラビレがあ

             り、サケやマス類の遠縁にあたる。動物性のプランクトンを捕

             食し、1~4月ごろ産卵する。寿命は約1年。全長は約15

             cm。キュウリウオ科。

〔シーズン〕秋から初春までの低水温期がベストシーズン。

〔料理〕素焼き、てんぷら、フライ、南蛮漬けなど。

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釣り講座(ワカサギ釣り)a.jpg
釣り講座(ワカサギ釣り)b.jpg

[秋のボート釣りテクニック

釣り場によっては、橋の上や釣り桟橋からも釣れるが、ポイント移動の激しいワカサギ釣りは、ボートを借りれば、移動も楽だし広範囲を探ることができる。

ワカサギの小さなアタリを取るには、オモリ負荷1~2号でバランスのよいワカサギザオが最適である。1~1,5m前後の短いサオが、狭いボート上では扱いやすい。

長いサオでハリ数を多くする釣法もあるが、せいぜい10本バリまでの仕掛けで、アタリを確実に取って釣ることをおすすめする。

リールは、ワカサギ用の小型両軸リールが市販されている。それほど高価ではないので、買い求めておくとよい。道糸は1号を50m巻いておけば十分だ。

仕掛けは、軸バリか秋田キツネの2~2,5号、ハリス0,6号が標準。これなら、ほとんどの釣り場で通用する。

エサはサシが一般的だが、晩秋は赤虫のほうが、食いがよいことがある。釣り場によっては、毛バリや空バリが効果的なこともある。

日中は、底で釣れることが多いが、アタリがない時は、底から1m上まで探ってみること。

[穴釣りのテクニック]

氷上のワカサギ釣りは冬の風物詩と言われているが、実際の穴釣りは、寒さへの我慢と辛抱が必要である。ことにベストタイムは、氷点下になる日の出前後だから、はたで見るほど、楽で優雅な釣りではない。

だが、朝日に照らされて可憐なワカサギが釣り上がると、寒さも忘れて夢中になる。

早朝の釣りでは、宿か車の中で、エサのサシかラビットを通し刺しにしてハリに付けておくといい。現場では、指がかじかんでうまく刺せないことがあるからだ。

オモリが底に着いたら、糸巻きを調節してタナを固定する。 

次に、サオ先を数回ゆすり、ゆっくりゆっくりと誘い上げる。アタリは、ほとんどこの時に出る。よほど食いがよい時はともかく、じっと待っているだけでは、ワカサギは釣れない。アタリがなければ1m上までタナを探るが、日中は、ほとんどベタ底で釣れる。

◎船釣り入門

                  数ある釣りの中でも、ターゲットとなる魚種の多さ
                 では、船釣りが断然トップだ。ハゼのような繊細な
                  釣りから100㎏を超すカジキ、イシナギなど​、夢
                 の超大物までお望みしだい。手軽な乗合船から、気
                 の合った仲間とチャーターする仕立
                 船まで、楽しみ方もいろいろある。船
釣りの基本をしっかりマスターして、大海原での釣りを徹底的に楽しんでい
ただきたい。さらにバラエティに富んだ獲物は、どれも食べて美味。これも
船釣りの魅力の一つである。                  (藤井 汐竿)            
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《船釣りで釣れる魚たち》

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※浅場から深場まで、小物から大物までがオン
 パレード!!
船釣りの対象魚はとても多い。初心者ならずとも、どの魚からねらったらいいのか迷うところだろう。釣りものを決定する要素は、いくつもある。食べておいしい旬の魚。とにかく数が釣れる魚。なによりデカイ魚など、目的に合わせて選んでいただきたい。
ここでは、比較的ポピュラーな船釣りの対象魚を、生息する水深別に分類してみた。釣り場や季節により、水深には多少のズレを生じる。初めは浅場の釣りからスタートすと、船酔いの心配もない。                                 ( 汐竿)            
◎船の部分名称と装備品
「席は、面舵の胴の間だよ」と言われた時、どこが自分の釣り座だかわからないと、最初から気後れしてしまう。船の部分名称と、安全のための装備品の常識だけは覚えておこう。
の知識がわかってくると、船釣りがいっそう楽しいものになり、釣りの腕のほうも向上するようになる。          
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☞ 遊漁をする上でのマナーの遵守 ☜

海にゴミや余ったエサを捨てないようにしましょう

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小さな魚はリリースし、資源の保護に努めましょう

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☞ 船釣りのマナー ☜

船宿への連絡は時間を考えて

 船宿の朝は早い。夜8時以降の連絡は避け

 ること

遅くとも出船時間の30分前には到着する

 乗船券を買ったり、氷をもらったりしてい

 るうちに、時間はどんどん過ぎてしまう

走行中は船上を歩き回らない

オマツリは協力してほどく

 複雑に絡んだら、仕掛けをつないでいるス

 ナップやオモリをはずしてしまうといい。

 それでも、ダメなら仕掛けを切って新しい

 ものと交換する。解決したら必ず相手にあ

 いさつを

大物が掛かったら、玉網ですくう協力を

 自信がなければ、近くの人に玉網を渡して

 あげるだけでもよい

ゴミや使い終わった仕掛けは絶対に海に捨

 てない

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ゴミは持ち帰ろう!   優しくリリース!

節度と限度をわきまえ、必要以上に魚を釣ることは避けましょう

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釣り人としてのモラルを持とう

☞ 遊漁船利用者自らが行う安全対策 ☜

最大限の安全確保ができるようにするため、遊漁船に乗る際は、お

 酒を飲まないようにしましょう。

遊漁船が航行している際は、危険ですので移動しないようにしまし

 ょう。

防水パック入り携帯電話により適切な連絡手段を確保し、事故・海

 難時には“118番 ”を有効に活用しましょう。

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出港から帰港までの間、船室内にいる場合を除き常時ライフジャケットを着用する必要があり

 ます。船釣りでは“桜マーク付きライフジャケット”の着用が必要です。遊漁船に常備していま

 す。着用しましょう。

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ライフジャケット.jpg
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釣り中の海中転落におけるライフジャケット着用状況ごと

の生存率(平成17~26年)

(平成27年3月 海上保安庁)

※基本ルールやマナーについては水産庁「遊漁の部屋」もご参照下さい。

         ◎水産庁 遊漁の部屋

    https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/yugyo/

 ◎必要最小限の道具から始めよう
 釣りものに合わせてすべての道具を買
 いそろえるのは大変。そこで・・・
船釣りでは、対象魚や釣り場の水深、仕掛けによって、サオの調子やオモリ負荷が異なってくる。対象魚に合わせてサオを買いそろえるだけでも、大変な経済的負担になってしまう。そこでまずは、必要最小限の道具を買うにとどめて、自分が興味をもった釣りを見つけてから、本格的な道具の購入を考えるようにしよう。        
  ◎こんな釣りは、まず貸し道具で
 あわてて道具を買いそろえなくてもOK
めったにしない釣り、道具がやたら高い釣りなどは、まず船宿の貸し道具を借りてトライするのが、賢い釣り人。最近の貸し道具は信頼できるメーカー品を使ている船宿が多いから、使い勝手もよいし、サオやリールを購入する参考にもなる。貸しザオを借りる時は、トップガイドとリールシートにがたつきがないかチェックしよう。リールは、ハンドルがスムーズに回るかどうか、点検しておこう。        
釣り講座(船釣りの道具)a.jpg
   ◎道具と仕掛けの扱い方
 要領のよしあしで結果がグンと違って
 くる       
釣り講座(船釣りの道具)b.jpg
釣り講座(船釣りの道具と仕掛け)a.jpg
釣り講座(船釣りの道具と仕掛け)b.jpg
釣り講座(船釣りの仕掛け作り)a.jpg
     ◎仕掛け作りのコツ
 仕掛けの消耗が激しい船釣りでは、船上
 で仕掛けを作ることもある
船釣りの仕掛け作りは、川釣り仕掛けと違って
繊細さを要求されることは少ないから、難しいことはない。注意すべき点は、
①ねらった魚以外にどんな大物が掛かるかわからないから、ハリの結びはしっかり締めておくこと。
②枝ハリスが幹糸に絡まないように注意して結ぶこと。
なお、作った仕掛けには、対象魚、ハリ、ハリスの号数を記載しておくと便利。      

自分で仕掛けを作てみよう 参照

釣り講座(船釣りの仕掛け作り)b.jpg
   ◎オモリ投入からタナ取りまで
 “先んずれば人を制す” すばやいタナ取
  りが釣果を左右す       
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シロギス釣り  ※スマートな魚体に似合わぬ強い引きがシロギスの魅力

船釣り入門には最適な魚だ。ハゼ釣りにつぐ手軽な釣りで、外道も多彩。ネズミゴチ(メゴチ、ガッチョ)、ベラ類、カワハギ、トラギスなどが、絶えず魚信を送ってくれる。

            〔特徴〕北海道から九州まで各地沿岸の砂地や砂泥地の底をすみ

             かとしている。群れで回遊し、海底のイソメ類などを捕食す

             る。体色は黄色味またはピンクを帯びた白色で美しい。

〔シーズン〕晩春から晩秋までが一般的な釣り期だが、釣り場によっては厳寒期にもねらえ

 る。

〔料理〕塩焼き、てんぷら、フライ、刺し身(大型)、押し寿司、椀種、干物など。

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釣り講座(シロギス釣り)a.jpg
釣り講座(シロギス釣り)b.jpg

                 [マスターしたいテクニック

                 船釣りでは、船長が好ポイントを流してくれるから、まち

                 がいなくシロギスは釣れる。だが、これで喜んではいけない。船釣り入門のトップにシロギスをもってきたのには、それなりの理由ある。

①仕掛けの投入法

②誘いとアワセ

③シロギスとほかの魚とのアタリの違い

④取り込みのテクニック

⑤大物がヒットした時の対処法

⑥船上での仕掛け作り

以上のテクニックを、シロギス釣りを通じてマスターしていただきたい。そうすれば、いわゆる小物釣りは、脱初心者になれる。

[サオと仕掛けのバランス]

シロギスは5~7月ごろのエサ追いが活発な時期には、アタリもはっきりしているが、水温が低い時期は小さく微妙なアタリが多い。それをキャッチするには、オモリとのバランスが取れたサオが必要となる。

乗合船では、15~20号のオモリを使う。軽いオモリのほうが、アタリをキャッチしやすいし釣り味もよいが、20号を標準にする船宿が増えている。

サオを購入するなら、オモリ15号を付けて穂先が軽くおじぎするような調子を選べば、まずまちがいない。

仕掛けは片テンビンに2本バリで、ハリスは1,5号が標準。細いハリスを使っても、シロギスの食いには、それほど差が出ない。

[エサ付けのポイント]

アタリがあってもハリ掛かりしない場合は、エサ付けに原因があることが多い。ジャリメは1尾付けで、頭の硬い部分をチョン掛けにする。アオイソメは、頭を切り捨て通し刺しにして、ハリ先からのタラシを1,5~2cmにする。

いずれも、ハリ先をきちんと出すこと。

[シロギスだけを釣るテクニック]

置きザオにしておいたり、投入してから誘いをおこたると、ネズミゴチなどの外道ばかりがハリに掛かる。

シロギスは、かなりのスピードで誘ってもエサを追ってくるから、誘いながらのリーリングを繰り返す。アタリがあったら、ひと呼吸おいてから合わせるようにしよう。冬場や食いが渋い時は、ゆっくりしたテンポで誘い、アワセも静かに聞き上げるようにす。

※困った時のアドバイス

・シロギスにハリをのまれてしまった・・・・

 シロギスの腹を親指で押しながら、ハリスをまっすくに引く。

・潮が速くてアタリが取りにくい時・・・・

 先バリの上10cmにカミツブシをかませる。こうすれば、仕掛けが落ち着き、シロギスのアタ

 リが取りやすい。

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マアジ釣り  ※周年釣れるマアジは船釣りの中でも人気度ナンバーワン!!

            〔特徴〕日本各地の沿岸にすむ。水深10~150mぐらいの層を群れ

             をなして回遊し、動物性プランクトンや小魚を捕食する。尾ビ

             レの付け根近くにゼンゴと呼ばれるトゲ状のウロコがあるのが

             特徴。また、口の突き出た部分が薄い膜状になっているので、

             この部分にハリが掛かるとはずれやすい。最大で40~50cmに成

             長する。

〔シーズン〕周年。

〔料理〕刺し身、たたき、空揚げ、フライ、南蛮漬け、干物など。

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釣り講座(マアジ釣り)a.jpg
釣り講座(マアジ釣り)b.jpg

                      ◉中小アジのサビキ釣り◉

一般に、体長10~15cmクラスを小アジ、20cm前後を中アジと呼んでいる。中小アジ釣りでは、サビキ仕掛けで数釣りをねらうことが多い。条件さえよければ、サビキに鈴なりという大漁に恵まれるが、数を伸ばすには、それなりのテクニックが必要になる。

[胴調子のサオを使え

サビキ釣りで数を釣るには、サオの調子がなにより大切。ハリの数だけアジを掛けるには、バレが少ない胴調子のサオがよい。

60号のオモリをぶらさげて、サオの中央から曲がる程度のサオがベストである。

道糸に新素材などの伸びが少ない糸を巻いてある場合は、サビキ仕掛けとコマセカゴの間に1,5㎜、長さ20cmぐらいのクッションゴムを入れておくとバレを防げる。

[サビキ選定のポイント

船宿常備のサビキを購入すれば無難だが、前もって用意するなら、ハリス1,5号のスキンサビキかハモ皮サビキが当りはずれが少ない。潮の澄んだ時はサバ皮がよい。

湾内の釣りで、潮が濁っている日は、ハモ皮のような白色系のサビキで、夜光玉が付いたサビキが効果的だ。極端に食いが悪い時は、ハリス1号のサビキで攻めると好釣果を上げることもある。

[コマセカゴの選び方、使い方]

コマセカゴは、大きければよいというものではない。中小アジ釣りなら、小型サイズで十分だ。プラスチック製、網袋のどちらでもかまわない。コマセの出る量が調整できるカゴなら、出口を2~3㎜に調整して、コマセが少しずつ出るようにする。

[誘い方のテクニック]

サビキ釣りは、海中にまいたコマセの中にすばやく仕掛けを入れて、アジに擬餌バリを食わせる釣りである。

船長からタナの指示がない場合は、オモリが底に着いたら、リールを2~3回巻いてからサオ先をゆすってコマセを出し、サオを立てて誘いをかける。

潮が速い時はすばやく、潮が流れない場合はゆっくりサオを立てるのがコツである。アタリがなければ、サオを倒しながら3~4回リールを巻いて、同じ動作を繰り返す。

[数釣りのコツ]

アタリがあっても、喜んですぐにリールを巻き出してはいけない。なるべく多くのアジを掛けるために、少し待つのである。

サオ先をよく見ていると、アジがハリに掛かるたびにサオ先が震え、重量感が増してくる。そこでゆっくりリールを巻くと、さらに1尾、2尾とハリに掛かってくる。

それからおもむろに巻き取りに入り、コマセカゴが水面に出たら、一気にサオを立てて、魚が付いたまま仕掛け全体を、船の中に入れてしまうようにする。

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   ◉大アジねらいのビシ釣り◉

30cmを超す大アジを釣るには、ビシ釣りが断然有利になる。サビキ釣りに比べると、微妙なタナ取りを要求されるが、実際にトライしてみれば、それほど難しいことはない。大アジだけでなく、冬場の中アジもビシ釣りが中心になる。

[道具選びのポイント

アンドンビシと呼ばれるオモリ兼用のコマセカゴ使う片テンビン仕掛けは共通だが、サオを使うサオビシ釣りと手釣りの2通りがある。かつては、手釣りが主流だったが、近年では、1,5m前後のビシザオを使う人が多くなった。しかし、手釣りでの釣り味を楽しむアジ釣りファンも根強く残っている。

手釣りの場合は、道具が船宿に常備されているから、最初は、貸し道具を使うことをおすすめする。道糸の太さやアンドンビシの大きさが、船宿ごとに違うので、定宿を決めてから、道具を購入しても遅くはない。

ただし、手釣り用の指ゴムだけは、自分の指の太さに合ったものを用意し、適当な長さに切っておく。これがないと、糸がすべって手繰りにくいし、指が痛くなるからだ。

ビシザオは、オモリ負荷150号のものならば、130~180号のビシに対応できる。

[仕掛け作りのポイント

中アジ主体なら、ハリスは1,5~2号で3本バリ仕掛けが標準。大アジねらいなら、ハリスは2,5~3号を使う。潮が速く40cm級が出る釣り場では、4~5号を使わないと、ハリスを切られることがある。この場合は、2本バリが標準仕掛けである。

[正確なタナ取りのコツ]

大アジ釣りは、タナ取りが最大のポイントになる。極端に言えば、わずか30cm程度の幅に群れていて、その上でも下でも食ってこないことさえある。

アンドンビシが底に着いたら、まず1,5m上げてコマセを振り、30cm上げてアタリを待つ。アタリがなければ、そのままの位置でコマセを振り、さらに30cmゆっくり誘い上げてアタリを待つ。

こうしてタナを探り、アジが食ったら、次回の投入は、そのタナ30cm下でコマを振って誘い上げる。

コマセを振った直後にゴツンと、激しいアタリがきたらタナが上過ぎる証拠だ。逆にフワフワしたアタリで、いつまでも食い込まない時は、タナが下過ぎる。

コマセをまいて誘い上げた時にググッとくれば、正しいタナ。

釣れたアジの上アゴにハリが掛かっていれば、文句なしの及第点だ。

※困った時のアドバイス

・途中でばれてしまう・・・・

 原因は、正しいタナで釣っていないので、アジの唇の薄い膜にハリ掛かりしてしまうからであ

 る。アジの上アゴに掛かれば、どんなに乱暴に扱っても、まずハリがはずれるようなことはな

 い。また、あまりゆっくり巻き上げることもバラシの原因になる。アジの泳ぐ方向を上に向け

 て、どんどん巻けば、バレが防げる。

チダイ(ハナダイ)釣り  ※マダイに似た華麗な魚体と手軽さで人気上昇中の魚

            〔特徴〕分布、生息域、姿形がマダイによく似ているので、まち

             がえられやすい。チダイはエラブタの後縁が“血鯛”の名のよう

             に赤くなっていることと、マダイは尾ビレの先端が黒くなって

             いることなどから見分けることができる。またチダイは、最大

             でも40cmぐらいにしかならない。産卵期は9~12月。

〔シーズン〕初夏から晩秋までが好期だが、コマセ釣りでは冬場も可能。

〔料理〕刺し身、塩焼き、タイ飯、潮汁、コブ締め、押し寿司など。

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釣り講座(チダイ釣り)a.jpg
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                   マダイのように大型にはならないが、そのかわり数釣

                   りが楽しめるので、人気の高い魚。エビエサでの胴突き釣りのほか、最近では、コマセ釣りも人気が出てきている。

[最近流行のコマセ釣り

①食わせ釣り

オモリ負荷60号でバランスが取れるサオに、水深計内臓の両軸リールを用意する。サオの長さは2,4~3,3m。

ハリにオキアミを刺して、底近くを重点的に攻める。エサが海底から30cm~3mの間を流れるようにしながらタナを探る。

サオを振ってコマセを出すが、コマセが少しずつ出るよう調節すること。一度にドバっと出すと、魚がコマセを食うのに夢中になって、肝心なハリの付いたエサを食ってくれない。

コマセを出して20秒ほど待ってアタリがなければ、30cmほどタナを上げて、同じ動作を繰り返す。

②コマセシャクリ釣り

ウイリーなどの疑餌を使って、しゃくりながら誘う積極的な釣法だが、一日中休まずしゃくるので、体力がいることを覚悟しなければならない。

コマセカゴが底に着いたら、50cmほど巻き上げてから、コマセを出して30~50cmしゃくり上げる。少し待ってアタリがなければ、またシャクリを繰り返す。しゃくってサオ先を止めた時にアタリが出ることが多い。軽く合わせて巻き上げに入る。

チダイのほかにイナダ、カンパチ、マダイなど、うれしい外道も掛かってくる。

[エビエサの胴突き釣り

生きたエビをエサに胴突き仕掛けで釣るチダイは、アタリがサオ先にダイレクトに伝わる。オモリ負荷20~30号で、先調子のサオを使うとアタリが取りやすい。

オモリが底に着いたら、サオをゆっくり立てて誘い上げる。アタリがなければ、オモリをまた底に着けてから、誘いを掛ける。わずかでもアタリがあったら、すかさず合わせると、チダイが小気味よくサオを絞り込んでいく。

一度に2尾、3尾とハリに掛かることもある。アイナメ、カワハギ、マダイなどチダイ以外にも、いろいろな魚が掛かってくるのもこの釣りのおもしろさの一つだ。

巻き上げる途中で、フッと軽くなることがあるが、休まずにリールを巻いていると、また突っ込みをみせる。

マダイ釣り  ※“魚の王様”にチャレンジ、ひと味違う醍醐味が・・・

            〔特徴〕琉球諸島を除く北海道以南の各地沿岸の水深100m以内の

             岩礁帯に生息し、エビ、カニ、貝、小魚などを捕食する。コバ

             ルトブルーの斑点が散らばったピンク色の優雅な魚体は“魚の王

             様”の名にふさわしい。産卵は3~6月。1年で10~15cm、3年で

             20~30cm、5年で30~40cmに成長し、最大では1m、10㎏以上

             にもなる。

〔シーズン〕地域差があるが、春の産卵期の乗っ込みと、初秋から初冬までがベストシーズ

      ン。

〔料理〕刺し身、塩焼き、潮汁、かぶと煮、てんぷら、コブ締め、タイ飯など。

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                   ◉コマセ釣り◉

                   魚の王様と言われ、かつてはベテランだけがねらう対象魚だったが、コマセ釣りの普及で、初心者でも比較的簡単に、マダイ釣りが楽しめるようになった。

[胴調子のサオに高性能リール

マダイ釣りでは、いつ、どんな大物がサオを絞り込んでくるのか、およそ見当がつかな。同じポイントで25cmの小ダイが食ったかと思えば、5㎏を超す大ダイがヒットすることもある。

そこでサオは、小ダイから大ダイまで対応できる、粘りのある胴調子でなければならない。

またリールは、3~4号のハリスが大ダイに切られないために、ドラグの微調整が効く高性能のものが必要になる。

魚の王様を相手にするには、それなりの道具立てに、出費を強いられるのは、致し方ないところだろう。

道具の購入は、ベテランや釣具店の人によく相談することをおすすめする。

[仕掛けとエサ付けのコツ

小ダイ専門の場合は、2本バリにするが、大ダイが釣れる可能性のある釣り場では、1本バリで攻めるようにしたい。枝バリを結ぶと、ハリス強度が落ちるから、せっかくヒットした大物を、ハリス切れでばらすこともある。

エサのオキアミは、2尾を抱き合わせにする。LLサイズのオキアミならば、1尾掛けでもよい。

[置きザオ釣法のコツ

コマセ釣りでは、コマセシャクリと呼ばれる誘い釣りを除き、置きザオでアタリを待つ釣法が主流になっている。

船長の指示するタナより2~4m下まで仕掛けを下ろし、コマセを振ってからタナまで巻き上げてアタリを待つ。

船の揺れで、コマセがトロトロとこぼれ出すように、コマセカゴの口を調節しておくが、たまにサオをあおって、コマセを振り出す。

まめにコマセを詰めかえないと、せっかくマダイのポイントに入った時に、コマセがない。という最悪の状態になってしまう。

[取り込みまでのテクニック

アタリは、サオ先にはっきり出るから、しっかり合わせる。次に、サオ掛けからはずして、サオを手にもってリーリングに入るが、大物だと判断したら、無理をせずにドラグを効かせて、ゆっくりポンピングしながら巻き上げる。

ハリスの強度に応じたドラグ調整などは、何度か失敗を重ねて、マスターする以外に方法はない。

また、ワラサ(ブリの若魚)やカンパチなどのうれしい大物外道がまじる秋は、やり取りを慎重にするよう心掛けたい。

☞ 仕掛け 

仕掛けとは、魚を釣り上げるための「仕掛け」のことで、サオからハリまで全体を総称することもあるし、サオ先からハリまで、もしくは先糸からハリまでだけを指すこともある。いずけにせよ、魚を釣る大切な部分。それほど複雑でないから、名称だけでなく、それぞれの関連性なども理解しておいてもらいたい。

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釣り講座(仕掛けリール).jpg
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※釣り糸を道糸とハリス

に分ける意味 

道糸にはウキ、オモリな

どがセットされるし、ま

た仕掛けがサオにからま

ないように、ある程度太

い糸を使うのがよい。一

方、ハリスは魚に警戒心

を与えず、エサが自然に流れるようにするため、なるべく細いイトがよい。そこで道糸とハリスを分ける必要が出てくる。また、ハリスが岩などに掛かってしまった時、ハリスを細くしておけば、ハリスだけが切れて、オモリやウキなどを失わなくてすむ。魚を何尾も釣ると、ハリスは消耗して傷んでくるが、この場合もハリスの交換だけですむ利点があるのだ。

☞ 釣りバリ

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釣りバリには、いろいろな形があるが、基本的な構造はすべて同じである。魚の口の形、使うエサ、釣り方、魚の大きさによって使うハリの形、大きさ、太さが変わってくる。

基本的な構造は下図のとおりだが、各部の役目や特徴は、次のようになっている。

・チモト(耳)  ハリスがすっぽ抜けないための糸止めの役目。

・軸  エサを通し刺しにしたり、フグのように歯が強い魚を釣るハリの軸は長い。

・フトコロ(開き)  対象魚の口の大きさや、魚がエサを吸い込むか噛むかなどで形状が異なり、刺さりやすさを工夫している。

・アゴ(カエシ)  魚に刺さったハリが抜けないための工夫。ヘラブナのようにリリース(釣ったあと逃がすこと)する釣りのハリには、魚を傷めないためにアゴがない。

ハリの種類  一方、ハリの形は大別すると丸型(伊勢尼型)、長型(袖型)、角型の3種類に分類することができる。それぞれ、いかに魚に逃げられない

           ようにハリ掛かりさせる

           かという工夫スがあっ

           て、いろいろ興味深 い。

☞ 釣りイト

イトの性質と特性を生かして使う

釣りに使うイトにはさまざまな種類がある。

道糸に使うイトは、釣り方によって種類が異なる。通常は、強度と適度の伸びがあるナイロンを使うが、沖釣りでは、伸びが少ない新素材と呼ばれる繊維を使うことが多い。

ハリス用のイトは、釣る対象魚の大きさ、水の澄み具合、使うサオの弾力、そして熟練度によって、使用する太さが異なってくる。

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◎生分解性プラスチック(グリーンプラ)釣りイト

釣り人が捨てたり、根掛かりで切れたイトに魚が絡み付き死んでしまう。そのような問題を解決しようと、開発が進められているイト。

バイオ技術により開発され、分解される素材(天然素材や合成素材)で作られ、自然に優しいく、多くの釣り人が使い始めている。

☞ 釣り人のマナーとエチケット 

釣りイトやハリを捨てないこと

 環境破壊と魚、鳥などの小動物の保護のため

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☞ ウキ

特徴を知って使い分けることが大切

ウキは大きく分けて、玉ウキタイプと長ウキ(棒ウキ)タイプの2種があるが、いずれも、①エサを一定の水深に保って流す②魚のアタリをキャッチする、などという役目がある。魚の種類や大きさなどに合わせて、ウキのタイプや大きさも選ぶ必要がある。

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☞ オモリ

意外に重要なオモリの役目

オモリは、①エサを水中に沈め、ねらった水深に沈める②ウキとのバランスをとる③イトの余分なたるみを取る、などの役目を持つ。

小物釣りなどに使う“仁丹”ほどのものから、沖の深場釣りに使う大型のオモリまで、いろいろな種類がある。

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☞ テンビン

絡みを防いでくれるスグレモノ

テンビンには、①仕掛けの絡みを防ぐ②魚の急激な引き込みに対するクッションの役目を果たし、同時に、ハリ掛かりを確実にするなどの大切な役割がある。

投げ釣りで使われるジェットテンビンや海草テンビンのように、テンビンとオモリが一体化されているものもある。小さいものから大きなものまで、種類はさまざまだ。

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☞ 連結具

小物ながら実に便利な一品

連結具は、①イトとイトを直接結ぶことによって起こる摩擦を防ぐ②イトのヨリをのぞくことによって、エサの回転を防ぎ、魚に警戒心を与えないようにする③仕掛け、テンビン、寄せエサ用のカゴの装着をワンタッチで行える、などの役目がある。

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☞ 自分で仕掛けを作ってみよう☜

自製仕掛けで魚を釣れば感激も2倍3倍になる

市販の仕掛けがたくさん売られているのに、なぜ自分で仕掛けを作るの? とお考えになるかもしれない。理由は簡単。自分で作った仕掛けで魚を釣ったほうが感動が大きいから。それに経済的だし、ハリの号数やハリスの太さ、長さなどを自由に工夫することができるからだ。

仕掛け作りの第一歩はハリを結ぶこと。まずは、簡単で強度のある外掛け結びを覚えてしまおう。

何度も練習して、図を見なくても結べるようになれば合格だ。

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☞ リール​ ☜  使い道によって形もさまざま・・

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リールの基本構造と機能

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サオとリールの扱い方

♦道具の基本操作を、まずしっかり身につけよう♦

サオの振り込み方は、送り込みとたすき振りを覚えよう。いずれも混んだ釣り場で困らない振り込み方だ。送り込みは後ろから風が吹いている時に、たすき振りは前方や横から風が吹いて、送り込みではポイントに仕掛けが入らない時などに使うとよい。

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♦スピニングリールの扱い方♦

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♦両軸リールの扱い方♦

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       ♦取り込みのコツ

大物をハリに掛けた時に、どうすればよいか?

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エサと付け方

   ♦エサの付け方の上手な人が釣果をあげる♦

ベテランと初心者の釣果の差は、まずエサ付けに現れる。エサを正しくハリに刺さないと、投入時にエサがくるくる回ってハリスがよれたり、エサがすぐに弱ってしまったりして、魚の食いが極端に落ちてしまう。エサはていねいに、ハリに刺すよう心掛けよう。

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   ☞ 釣りのマナーと常識 ☜

 ♦知らないと恥をかく釣り場でのエチケット♦

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         ☞ 釣りと天気 ☜

  ♦釣行日の天候は、事前に必ずチェックしよう♦

         〖天気を甘くみるな〗

仕掛けや道具、エサ、釣りのテクニックも確かに重要なことだが、釣りにとって、天気を読むということも、大切な要素の一つである。

今日こそ大物を、と勢い込んで釣り場についてみたら、風がビュンビュンでサオも出せずに引き返すなんてことがある。これでは勝負する前に負けているようなもので、貴重な一日を無駄にすることになる。

また、悪天候の予報を知らずに出掛けたり、予報を無視して釣りに行って、波にさらわれるなどの事故にあったのでは、元も子もない。釣りは、あくまでも楽しみであって、命がけですることではない。

したがって、釣り人は、釣りそのものの情報だけでなく、気象についての情報にも、常に、気配りを忘れないことが、楽しい釣りをする条件の一つでもあるのだ。

     〖天気予報のチェック・ポイント〗

天気予報は新聞、ラジオ、TVを通じて情報を得ることができるが、より詳しい情報を得るためには、NTTのお天気ダイヤルを利用するのがよい。釣り場の市外局番の後に“177”を回せば、公衆電話からでも聞けるので、できれば釣行日の2~3日前から電話をかけ、今後の天気の変化を頭に描いておくようにするとよい。

 天気予報の内容は、

  ①天気概況 (気圧配置など)

  ②出されている注意報・警報など

  ③現在の天気と翌々日までの予報

  ④波の高さ   (海に面した地方のみ)

  ⑤満潮・干潮時 (   同 上   )

で、6時、12時、18時、21時に、順次発表される内容が新しくなっていく。海釣りの場合は、①~③のほかに、④⑤にも注意を向けておきたいところだ。

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◉シャクリ釣り◉

エビでタイを釣るという言葉どおり、シャク

リ釣りは、エビをエサにして釣る伝統釣法だ。

シンプルな仕掛けだけに、タイが掛かった時

は、強烈な引きがダイレクトに指先に伝わる

ところがたまらない。

​難しいと言われるわりには、ベテランを尻目に、初挑戦の釣り人が、大きなタイを手にすることもある。臆せずに、ぜひ挑戦してみたい釣りの一つである。

[シャクリ釣りの特徴

マダイのシャクリ釣りには、①鋳込みテンビンに豆テンヤを使う鴨居式、②中オモリに豆テンヤを使う竹岡式、③カブラ式(洲崎の一部と大原が代表的)がある。

仕立て船での釣りが多いが、鴨居や横浜では、乗合船でシャクリ釣りが楽しめる。サオやリールも、カワハギ釣り並みの手軽なもので、中・大ダイに出会えるチャンスがある。

仕立て船のシャクリ釣りは、初心者には船長がていねいに教えてくれるから、サオさばきや糸の手繰り方を基礎から覚えるには、うってつけである。

数人で仕立てれば、費用も乗合船の2~3割増し程度の負担ですむ。

[道具の選び方と貸し道具

仕立て船で挑戦する場合は、必ず貸し道具を使うことをおすすめする。サオの見た目はボロいし、潮を浴びた糸に「これでタイが、本当に釣れるのだろうか」と首をかしげるかもしれないが、心配はいらない。特に、タナ表示の目印が、船長のヒロで測ってあるから、正確なタナ取りができる。

テンビン仕掛けのシャクリ釣りでは、1,5m前後の専用ザオがなければ、2,4mまでのオモリ負荷30号の硬調子のサオでもかまわない。

リールは、中型両軸リールに新素材系4~5号を200m巻いておく。

​テンビンやテンヤは船宿ごとに違うので、船宿常備のものを買い求めるとよい。

[エサ付けから取り込みまで

エサのエビの刺し方は、何通りもある。ここでは代表的な例を紹介するが、共通するのは、エビをまっすぐに刺すこと。

エビのセンターをはずして曲がって刺すと、しゃくった時にエビが不自然に回り、タイの食いが悪いしハリスがよれる原因にもなる。

釣り方は簡単で、指示されたとおりのタナで仕掛けを止め、15秒に1回程度の間隔で、腕いっぱいにしゃくり上げる。

その後、すぐにサオを倒してアタリを待つ。この繰り返しを飽きずに続ける。

アタリは、意外に小さいことが多い。まるで小魚がエサをかじるようなアタリの時さえある。

コツコツと、サオ先にアタリが出たら、ひと呼吸おいてから思い切り合わせる。アワセが弱いと、バラシの原因になる。あとは、タイの引きに合わせて、やり取りを楽しみながら、巻き(あるいは手繰り)上げる。大型なら、無理せずに玉網ですくってもらう。

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         〖天気と釣りの条件〗

釣りにとって、無風快晴がよいかというと、必ずしもそうではない。雲ひとつなく、水面はベタナギだが、アタリはさっぱり・・・なんていうことはよくある。むしろ、雨や多少の風があったほうが、よく釣れる魚もあるのだ。

①雨や曇天がよい釣り

ヤマメ、イワナ、メバル、アナゴ、イシモチ釣りなど②多少の風があったほうがよい釣り

クロダイ、メジナ、アジ、マダイ、イシモチ、ウミタナゴ釣りなど

一般に警戒心の強い魚ほど、雨や多少の風があったほうがよいと言える。

        〖風向きと逃げ場〗

先ほど風に吹かれてスゴスゴ退散という例を出したが、よっぽど強風の場合はどうしようもないにしても、ある程度の風なら、釣り場をかえることによって、なんとか釣りができることがある。

釣りにとっていちばん避けたいのは、正面あるいは横からの強風である。サオを振り込むのが難しくなるし、寄せエサを使う場合には、そのエサが風で吹き散らされてしまう。

そこで、風が背後からくるような“逃げ場”を近くに見つけて移動すればよい。

ある程度その釣り場に通っていれば、この風向きならばどこ、あの風向きならばどこという具合に、逃げ場もわかってくる。

イサキ釣り  ※夏の使者イサキ釣りは、タナ取りが決め手だ!

            〔特徴〕本州中部以南の沿岸の岩礁帯に群れを作って生息する。

             幼魚期には体側に3本の黄色い縦縞があるが、これは成長につ

             れて不鮮明になる。産卵期は8月。普通つれるのは20~35cmぐら

             いだが、50cm以上に成長するものもいる。

            〔シーズン〕梅雨の時期から産卵期の8月中旬までがベストシーズ

             ン。

〔料理〕刺し身、塩焼き、みそたたき、ホイル焼き、酒蒸しなど。

イサキ
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                   力強い引き味、数釣りできる魅力、食味も上々と、イ

                   サキ釣りに熱中する船釣りファンは多い。釣り場がど

                   こも陸から近いので、船酔いの心配も少ない。船釣り

                   の醍醐味を実感するには、もってこいの釣りといえよ

                   う。

[胴調子の胴突きザオで

使用するオモリが60~80号前後だから、50号負荷の胴突きザオが最適である。サオが、オモリにやや負けるほうが、食い込みがよく、バレが少ない。

サオの長さは、サビキ仕掛けで釣る場合なら2,7~3,3m、片テンビン仕掛けなら短いビシザオが扱いやすい。もちろん、2,4m以上のサオでも、片テンビン仕掛けで釣ることに支障はない。短ザオのほうが、仕掛けの投入や取り込みが楽、というだけのことだ。

​イサキのタナは、1m刻みで変化するから、水深計内蔵のリールが便利だ。水深計がない場合は、1mごとの目印がある道糸を巻いておかなければ、正確なタナ取りができずに、釣果が伸びない。

[仕掛けの選び方とエサ

サビキ仕掛けの擬餌には、スキン、ウイリー、ハモ、サメ腸などがある。釣り場や潮色で、ヒットする擬餌が違うので、船宿常備のサビキを購入することが無難と言える。

片テンビン仕掛けには、エサを付ける場合と、擬餌を使用する2通りがある。エサは、イカ、オキアミ、アオイソメなど。擬餌は、ウイリー、土佐カブラ、スキンなどを使う。

事前に釣り具店で購入したり自製する場合には、船宿にハリの号数、当たりバケ(擬餌)の種類を確認しておくこと。ことに、擬餌の効果は、潮色などの条件で大きく左右されるから、ある釣り場で大釣りしたからといって、ほかの釣り場でも大釣りできる、という保障はない。

釣りでは、状況によって柔軟な対応ができないと、一人指をくわえていることになる。

[タナ取りで釣果が決まる

サビキ仕掛けでも片テンビン仕掛けでも、イサキのアタリがあったら、真っ先にやることは、水面から何mで食ったかを確認する、ということ。

次回の投入では、その1m下で仕掛けを止めて、コマセを振ってから1m巻き上げる。

これを守れば、イサキ釣りに関しては、必ず平均以上の釣果を上げることができる。​

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     ☞ 季節と釣りの条件 ☜

     ♦季節ごとの天気の特徴を知っておこう♦

            〖春の天気〗

3月の声を聴くと、それまでの厳しい寒さも徐々にゆるみ、暖かい日が多くなるが、それも長続きするわけではなく、俗に“三寒四温”という、寒さと暖かさが小刻みに入れかわる天気は、春特有のものだ。それだけに、水温の変化も激しく、昨日大釣りがあっても今日はまったくダメという不安定なことが多い。

もう一つ、春の天気の特徴は、“春の嵐”と言われる突風で、穏やかな天気が一転して、南西寄りの強風が吹き荒れ、まったくサオを出せないことがある。

カレイ釣り  ※小突き釣りでもよし、置きザオ釣法でもよし

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            〖夏の天気〗

6月初旬ごろから、うっとうしい梅雨の時期が始まる。日本列島の上に停滞した梅雨前線上を低気圧が次々と通り、雨を降らせるのだ。この時期は、雨さえがまんすれば、強い風は吹かず安定していて釣りには意外によい時期だ。しかし、梅雨の末期には、局地的な集中豪雨もあるので、渓流釣りなどでは、特に厳重な注意が必要となる。

梅雨が明けると、本格的な夏が訪れる。行楽を兼ねて釣りに行く機会も多くなるが、日中は日射しが強いので、朝夕の涼しいうちが釣りには向いている。

渓流釣りやアユ釣り、防波堤釣りなどでは、落雷に気をつけたい。ことにカーボンロッドは、雷が落ちやすいので、雷雲が近づいてきたり、稲光が始まったら早めにサオをしまうようにしよう。

8月中旬を過ぎると、台風の発生や接近が多くなり、太平洋沿岸では、“土用波”という大きなウネリの波が押し寄せるようになる。

台風の中心が遥か南方洋上にあるからと油断していると、いきなり大きなウネリが襲ってくるということがあるので、この時期は無風快晴といえども、磯や防波堤では十分な注意が必要だ。

なお、台風や夕立のあとは、水中に酸素が大量に取り込まれるなどして、魚の活性が高くなるので、釣りには絶好のチャンスだ。台風前に危険を冒すより、台風一過の好条件をねらったほうがよい。

            〔特徴〕カレイの種類は多いが、マコガレイとイシガレイが一般

             的だ。カレイの仲間は平べったく、両目が色のついた上面の右

             側にあり(ただしヌマガレイは例外)。“左ヒラメに右カレイ”と言

             われる由縁となっている。マコガレイには茶褐色の斑紋があ

             り、イシガレイには石のような突起物があるのが特徴。砂地に

 目だけ出して潜み、近づく小動物を捕食する。

〔シーズン〕釣り場によっては周年ねらえるが、晩秋から産卵後の5月ごろまでが釣り期とな

 る。

〔料理〕刺し身、煮つけ、バター焼き、干物、空揚げ、甘酢あんかけなど。

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                   引き味のよさと食味のよさで人気のカレイだが、釣果

                   を上げるには、それなりのテクニックを要求される。

                   30cmを超すマコガレイや50cmを超すイシガレイなど、一発大物の魅力もある釣りが楽しめる。

[釣り方で違うサオと道具

船からのカレイ釣りには、投げ釣りの延長線とも言える、置きザオにしてアタリを待つ釣り方と、積極的に小突いて食い気を誘う小突き釣りの2通りがある。

小突き釣りには、オモリとバランスが取れる硬調子のサオが向く。

置きザオで釣る場合は、サオ先の感度がよい軟調子のサオがよい。

また、小突き釣りなら、手バネザオのような手ザオで釣趣を楽しむこともできるが、置きザオでねらうなら、軽くキャストできるリールザオが有利になる。オモリ負荷15号のシロギスザオなら、どちらの釣法でも​、こなすことができる。

小突き釣りは、2本のサオを両手に持って、リズミカルに小突く。置きザオの場合には、最低で2本、船内が混んでいなければサオを3本並べて釣るのが一般的である。

[仕掛けとエサ付け

片テンビンの2本バリが標準仕掛けである。

ハリスの太さと長さは、釣れるカレイの大きさと釣り方で調整するが、カレイはハリスの太さをそれほど気にしないから、ハリスは細くても1,5号でよい。大型のマコガレイなら2号、大型イシガレイなら4号を標準に仕掛けを作ればよい。

赤か緑の夜光玉をチモトに通しておくが、夜光玉がなくても、小突き釣りではそれほど差がない。

[誘い方とアワセ方

小突き釣りでは、オモリが海底で寝たり起きたりする程度の小突きを15回前後繰り返したら、ゆっくりサオを立てて食いを誘う。

この時、グッと重みを感じたら、そこでサオをいったん止め、次に、サオ先が締め込まれたら、軽く合わせるようにする。これで、完全にハリに掛かる。

置きザオ釣法では、前方に仕掛けを投入したら、道糸を多少たるませ気味にしてアタリを待つ。産卵期以外は、カレイがエサをくわえて動いた時に、サオ先にアタリが出る。ここで軽く合わせればよい。

アタリがない時は、たまに誘い上げて、食い気を誘うとともに、居食い(エサを食ったまま動かない状態)の有無を確かめる。​

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            〖秋の天気〗

9月中旬から10月中旬ごろの時期は、“秋の長雨”と呼ばれ、梅雨と同じく天気の悪い日が続くが、釣りにはそれほど影響はない。これを過ぎると、大陸性高気圧におおわれるようになり、釣りには絶好のシーズンが到来する。魚も、来るべき冬に備えて荒食いをするようになり、釣り人には最高の季節と言える。ただし、時々訪れる台風には注意を。

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ヒラメ釣り  ※生きたイワシをエサに釣るヒラメ釣りの魅力

            〔特徴〕北海道から九州までの各地沿岸の岩礁や根まわりの砂地

             にすむ。「左ヒラメに右カレイ」と言われるように、体の左側

             に目があるのが特徴。口には鋭い歯が並び、小魚やイカ類など

             を襲って捕食する。成長すると1m、10㎏以上になる。

〔シーズン〕晩秋から厳寒期にかけてが、食味の点からも釣り期とされるが、地域によって

 多少異なることもある。

〔料理〕刺し身(特に、縁側と呼ばれる背、腹ビレ近くの部分が美味)、バター焼き、コブ締

 め、煮こごりなど。

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            〖冬の天気〗

いわゆる西高東低の気圧配置になり、強い北西の風が吹くので、気温が低下する。冬場は風の強い日が多く、釣りもままならないが、比較的穏やかな日を選んで釣行するようにする。ただし、穏やかな日でも西に厚い雲が次々と出てきたら突風のおそれもあるので、早めに避難したほうがよい。

また、冬から春先には、“台湾坊主”と呼ばれる、台湾付近で発生し日本南岸で発達する低気圧が、大雪や大雨など大荒れの天気をもたらすので注意が必要。

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    ☞ 釣り日誌を付けよう ☜

   ♦記録は、思い出だけでなく貴重なデータになる♦

                   釣りの対象になるヒラメは、1~2kgの小型から、5kg

                   を超す大ヒラメまで。ことに大ヒラメの締め込み

                   は、釣り人を熱くさせる。

[食い込みのよい胴調子ザオで

ヒラメは、のこぎりの刃に似た鋭い歯で、エサの小魚に襲いかかる。ところが、異常を感じると、くわえたエサを簡単に放してしまう。したがって、食い込みをよくさせるためには、ヒラメ専用の腰のある胴調子ザオを使うことが必要となる。

同じ胴調子ザオでも、腰がないサオでは、大きなヒラメがヒットした時に、根に入られ、出すことができない。この「根越こし」ができる強さをもったサオが、いわゆるヒラメザオだ。

リールは、ドラグ性能のよい中型両軸リールを使い、道糸はナイロン7~8号を200m巻いておく。新素材系のように伸びのない糸では、先糸に同号のナイロンを5mほど結んでおくと、ヒラメの食いがよい。

[ヒラメ40のウソ] 

ヒラメ釣りで、最も難しいとされるのが、アワセのタイミングだ。ヒラメは、捕食したエサをくわえ、海底に戻ってからのみ込むので、アタリがあったら糸を送って40数えてから合わせろ(“ヒラメ40”という)、と書かれている本が多い。

ところが実際は、一気にエサをのみ込むヒラメもいる。また、糸を送り込むと根掛かりでばらすことも多い。ではどうするか。

ヒラメのアタリは、サオ先をガタガタとゆするから、だれにでもはっきりわかる。置きザオの場合は、ここでサオを手に持って、じっと待つ。するとヒラメは、安心してエサをのみ込む。サオにグッと重量感が伝わり、穂先が海中に絞り込まれる。ここでしっかり合わせれば、十中八、九はハリ掛かりする。早アワセは禁物だが、必ずしも40待つ必要はないのである。

[イワシのエサ付けはすばやく

ヒラメは、死んだイワシには、見向きもしない。つねに元気のよいイワシを泳がせておくことが大事なポイントだ。

船のイケスから2~3尾ずつバケツにイワシをすくっておき、すばやくハリを打つ。親バリは口から上アゴに抜き、孫バリを腹か背に打つ。

慣れないうちは、船長に教わりながらハリを打つほうが無難だ。アタリがなくてもエサの点検は忘れずに。

※困った時のアドバイス

・乗合船でよい釣果を上げるには・・・・

 平均すると、ミヨシかトモが有利なので、早めに船宿に着き、よい釣り座を確保すること。

・大きなヒラメをねらいたい・・・・

 大型のヒラメほど、上方のエサに飛びつく。エサが底から2m程度上を泳ぐようにタナを調節

 してアタリを待つことだ。

釣りに出掛けて帰ったら、その日のうちに記録を残しておくと、次回の釣行に必ず役に立つ。市販の釣り手帳を購入してもよいし、ノートに自分が必要と思うデータだけを記録しておいてもよい。

最近はワープロにデータを入れ、フロッピーで記録保存する釣り人も増えている。

使用したハリの号数、ハリスの太さや長さは、忘れてしまうことが多い。ことに大釣りした時は、その理由などを自分なりに分析しておくとよい。釣れなかった時の記録も忘れずにメモしておこう。

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(資料・辰巳出版「釣り情報」手帳)

       ☞ 潮の知識 ☜

      ♦“潮に強くなる”ことは海釣りに強くなること♦

イナダ・ワラサ釣り※ブリの若魚だけに引きは強烈。魚との激しいファイトが楽しめる

 の満ち干(潮汐)は、月と太陽の引力によって、海面が高くなったり低くなったりする現象だ。海の魚の行動と密接につながっており、一般的に、潮が動いている時は魚の食いがいいと言える。           

          〖潮汐〗

潮の満ち干は、普通1日2回、約12時間周期でくり返されるから、満潮と干潮はそれぞれ2回あるが、その時刻は、場所によって違ってくる。

満潮時と干潮時には、潮止まりといって、海水がほとんど動かないが、満潮から干潮に、また逆に干潮から満潮になる時は、海水が動いて潮流が生じる。潮が動き始める時は、どんな釣りでもチャンスだ。

            〔特徴〕イナダ、ワラサともブリの若魚のことで、普通40~45cm

             ぐらいからイナダ、60cm以上をワラサ、1m以上をブリと呼ん

             でいる。暖流系の回遊魚で、エサとなるイワシ、アジ、サンマ

             などを追って春先、北海道南部まで北上し、水温の低下とともに南下する。紡錘形の魚体に秘めたパワーは強烈で、それだけに人気は高い。成長の早い魚としても知られる。

〔シーズン〕晩夏から初冬まで。

〔料理〕刺し身、照り焼き、あら煮など。

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                  ブリの若魚は、関東ではワカシ→イナダ→ワラサと成長

                  につれて呼び名が変わる。関西では、ツバス→ハマチと

                  呼ぶように、地方名が多い。

                  若魚とはいえ、ブリの子だけに、引き味も味覚も申し分

                  ない。

                  [手軽さでサビキ釣り

                  ワカシ、イナダまでが、サビキ釣り、コマセ釣り、カッ

                  タクリ釣りの3通りの釣り方があるが、2kgを超すワラサ級になると、コマセ釣りに絞られる。

手軽さでサビキ、確実さでコマセ、おもしろさでカッタクリだろうか。

初めての挑戦なら、初秋が好期である。どんな釣り方でも、まずアブレることは少ない。

最初にサビキ釣りで、お土産を確保したら、コマセ釣りやカッタクリ釣りに挑戦すれば、この釣りをひと通り体験できる。

群れに当たると、一度に2~3尾がハリ掛かりすることも珍しくない。したがって、サオは腰がしっかりした3m前後の胴調子がよい。

リールは、ドラグ性能のよいものを選ぶ。

タナ取りが釣果のカギだから、水深計付きが有利だ。

[コマセワークが決め手] 

成長が早い魚だけに、食欲も旺盛で、コマセに狂ったように群れてくる。だから、そのコマセの中に、サビキやエサを入れさえすれば、必ず食ってくる。ただし、サビキやカッタクリでは、擬餌の種類が合わないと、隣の入れ食いを、指をくわえて見ているハメになる。

[カッタクリにも挑戦を

サビキや擬餌は、事前に船宿に聞いて何種類かを用意しておこう。

カッタクリ釣りでは、リズミカルに手繰った糸が、ガツンという手応えで止まる。強い引きをかわしてイナダを抜き上げる爽快感は、手釣りならではのもの。

糸の手繰り方は、ちょっと練習すればだれにでもできるし、水深もせいぜい20~30m前後の浅いタナだから、入門にもOKだ。

  *  *  *

ワラサ釣りになると、食わせてからの引きは、強烈なものがあるから、あわてずにドラグを効かせ、無理をせずに巻き上げるようにする。最初は、船長に玉網ですくってもらうのか無難だ。

カサゴ釣り※根掛かりさえ気にしなければ釣果は確実

            〔特徴〕大きな口と鋭いトゲを持つ底生性の魚。各地沿岸の水深

             200mぐらいまでの岩礁帯や障害物の中にすむ。体色は生息する

             環境に応じて変わり、一般に、浅場では黒褐色、深場では赤褐

             色をしている。なお、カサゴには多くの仲間がいて、同じポイ

             ントで一緒に釣れてくる。

〔シーズン〕周年(味のよい冬が盛期)。

〔料理〕刺し身、空揚げ、煮つけなど。

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船釣りの中では、釣りやすい魚の一つ。ただし、岩礁帯を釣るので、根掛かりは避けられない。仕掛けやオモリの予備は多めに用意しよう。

[底を攻めるのが絶対条件

浅場ではオモリ30~50号、100mラインを攻める場合は100~150号を使うから、使用するオモリに応じたサオを用意する。胴調子よりも先調子のサオのほうが、底の状態をつかみやすい。

胴突き仕掛けでは底をオモリでたたきながら、片テンビン仕掛けではオモリを底から1mぐらい上げて、時々サオで誘いをかける。

起伏の激しいポイントでは、位置が数mずれただけで水深が10m以上変わることもあるので、底立ちをこまめに取り直すこと。

根掛かりを恐れずに、積極的に底を攻めることが、人よりも釣果を上げる条件である。

メバル釣り ※“春告げ魚”メバルの釣趣をたっぷり堪能しよう

            〔特徴〕北海道南部以南の各地沿岸の岩礁帯や藻場などに群れを

             作てすみ、エビなどの小動物や小魚を捕食する。“目張”という名

             前どおりの大きな目が特徴の一つ。黒褐色の魚体から、クロメ

             バルとも呼ばれる。卵胎生の魚として有名。

〔シーズン〕ほぼ周年釣れるが、早春から初夏が盛ん。

〔料理〕煮つけ、刺し身、塩焼きなど。

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早春から釣れ出すので、関東では、春告げ魚と呼ばれる。メバルには、浅場のメバル(黒メバル)と、深場にすむウスメバル、ドコットメバル(沖メバル)などがいる。

ここでは、浅場のメバルの釣り方を紹介しよう。魚体に似ぬ強い引きが魅力だ。

[誘って追い食いさせるのがコツ

メバルは、海が穏やか時は、やや上を向いて群れで泳いでいる。だが、わりあい神経質な魚で、1尾が何かに驚いて根に潜ると、群れ全体が根に入ってしまうとも言われる。

オモリが根の上すれすれに位置するように、常に底立ちを確認しながらアタリを待つ。サオ先を震わせるアタリがあったら、ゆっくりリールを1~2回巻いて、追い食いさせると数が伸びる。

イカ釣り ※イカを乗せた時の重量感と味覚が、この釣りの魅力だ

            〔特徴〕イカの仲間は多いが、大別すると、細長い棒状の軟甲を

             持つツツイカと、大きな船形の甲羅を持つコウイカの二つのグ

             ループに分けられる。このうち、釣りの対象として全国的にポ

             ピュラーなのは、ツツイカの仲間のヤリイカとスルメイカだ。ともに昼間は水深100~200mぐらいの底から中層を群れて泳ぎ、小魚などを捕食している。

〔シーズン〕地域で釣期が異なる。関東では、冬がヤリイカ、夏がスルメイカだ。

〔料理〕刺し身、塩辛、沖漬け、煮つけ、塩焼き、生干しなど。

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日本人は、世界で最もイカを消費する

国民だそうだ。それだけに釣りの世界

においても、イカ釣りのファンは多い。自分で釣った新鮮なイカを味わえるのは、釣り人ならではの特権といえよう。

[サオとリール、仕掛け

電動リールの普及で「イカ釣りは重労働」というイメージが、変わりつつある。まだ高価なのが最大の難点であるが、地域によっては、電動リールによる“ラクチン釣法”がかなり普及している。

一方、手動リールで、重量感を味わいながら、ゆっくり巻き取る釣り味も、捨てがたいものがある。ビギナーの場合は、とりあえず手動リールで入門して、それから懐具合や好みに合わせて考えていけばよいだろう。

サオは、手持ちでしゃくる場合は、2,1~2,4mと、短めのほうが疲れない。できれば、イカ専用ザオが望ましい。

道糸は、新素材系のように伸びが少ない糸を使えば、イカの乗りをたやすくキャッチできる。

イカヅノは、ヤリイカなら11~14cm、スルメイカには14~18cmが標準だが、これも地域差があるので、事前の船宿への確認が必要である。

[釣り方

仕掛けを投入する場合は、上のツノから投入して、最後にオモリを投げると、絡むのを防ぐことができる。取り込んだら、ツノは順に船縁に掛けるクセをつけておくとよい。

船長が、タナを指示しない場合は、オモリが底に着いたら、サオでしゃくりながらリーリングして、イカを誘いながらタナを探る。

一般的に、ヤリイカは底近くで乗ることが多いが、スルメイカは、泳層が広いので、広範囲を探ることが必要になる。

同船者のだれかに乗ったら、タナを聞いて、その少し下からしゃくって誘う。

イカ釣りは、仕掛けの投入に手こずることがあるが、イカ釣り専門の船は、船べりにイカヅノが掛けられるようになっているから心配ない。

マダコ釣り ※ひょうきんなマダコ釣りは年ごとに人気が上昇

            〔特徴〕イカと同じ軟体動物の仲間。本州以南の沿岸の岩礁帯や砂

            地にすみ、小魚やカニ、貝などを捕食している。淡水を嫌うた

            め、河口付近にはすまない。また、雨の多い年はタコが不漁になる傾向が強い。成長すると、全長70~80cmぐらいまでになる。

〔シーズン〕夏から冬まで。

〔料理〕刺し身、ゆでダコなど。

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マダコ釣りは、道具や仕掛け、エサもすべて船宿まかせの気楽な釣り。クーラー一つで船に乗ればよい。手釣りなので、指先を傷めないように、指ゴムだけは自分の指の太さに合うものを用意しておこう。

[マダコ釣りのコツ

タコの好物はカニ。イシガニなどのエサを、タコテンヤにしっかり縛りつける。テンヤが底に着いたら、小突いてテンヤを動かしてタコを誘う。

タコがテンヤに乗ると、グニューというゴムか水の入ったビニールを引っかけたような感触が指先に伝わる。

そのまましばらく小突き続け、ひと呼吸おいてから、力いっぱい合わせる。あとは、糸を緩めずに手繰り、一気に抜き上げる。

船底や船縁に吸いつかれると、絶対に離れないから、取り込みには注意すること。

手にタコが吸いついたら、頭(胴)をギュッと押すと簡単に離れる。

◎防波堤(波止)釣り入門

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                 防波堤釣りの魅力は、身近な釣り場でありながら、季節
                 に応じて、いろいろな魚が釣れることにある。
                 また、足場も比較的安全なので、釣りの入門者には、う
                 ってつけだ。といっても、小物しか釣れな
                 い釣り場というわけではない。大型のクロ
                 ダイやメジナ、スズキなども時々、顔をの
かせるので、防波堤に通いつめるベテランも多い。とりあえず、次の日曜
日には、近くの防波堤へ出かけてみてはどうだろう。    (藤井 汐竿)            
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《防波堤で釣れる魚たち》

※仕掛け、エサ、ポイントの選び方次第で、
 こんな豊富な魚種が釣れる
 上層を群れをなして泳ぐ魚から、底の岩礁地
 帯に潜む魚まで、防波堤の周りには、いろい
 ろの魚がすんでいる。
 自分がねらってみたい魚が、防波堤のどこにすんでいるのか、上のイラストを見て、しっかり覚
 えておこう。
 初心者でも簡単に釣れる魚もいれば、ある程度の経験が必要な魚もいる。つまり、入門に最適な手軽さと同時に、奥の深さを兼ね備えているのが、防波堤釣りといえるのだ。    ( 汐竿)          
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   ◎防波堤釣りに必要な道具類
  とりあえず、これだけそろえれば防波 
  堤釣りが楽しめる
あれもこれもと、こだわり出したらきりがない。まずは、必要最小限の道具と装備をそろえることから始めよう。2度、3度と釣行を重ねながら、必要なものを買い足していく。それが、無駄のない道具のそろえ方だ。
無理して、初めから高級品を買う必要はない。サオやリールは中古品で十分だ。それが使いこなせるようになってから、次のステップを考えればよい。その時にこそ、高級品と言われる道具のよさが、本当にわかるものだ。       
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    ☞ 防波堤での注意とマナー ☜ 
  楽しい釣り場にも危険がいっぱい。でも備えあ
  れば憂いなし
海はすごいエネルギーを秘めているから、油断をすると大事故につながる。ことに大波による転落事故には十分すぎるほどの注意が必要だ。
事故にあわないよう心掛けると同時に、万が一事故に遭遇した時にあわてないよう、普段から応急対策を考えておこう。
また、釣り人としてのマナーも当然身につけなければいけない。釣り場を汚したり、立ち入り禁止区域に入ったり、港に置かれている漁具を傷めたりすることのないように気をつけよう。      
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      ◎防波堤釣りの基本仕掛け
  防波堤釣りには、海釣りの基本が詰まっている
防波堤には、季節や潮によって、どんな魚が回遊してくるかわからない。したがって、臨機応変に仕掛けをチェンジして対応することが、釣果を得る最大のコツ。隣の入れ食いを指をくわえて眺めているような、くやしいことにならないよ
うに、仕掛けの基本パターンをスムーズに作れ
るようにしておこう。
初めは釣り場で、本と首っ引きでもかまわない。
何度かやっているうちに自然と覚えることがで
きるものだ       
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アジ・サバ・イワシ釣り ※群れを足止めして数釣りを楽しもう

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〔特徴〕いずれも各地沿岸の表層を群れで回遊する温帯性の魚。アジは体側にゼンゴというトゲ状のウロコがあるのが特徴。サバは背が青黒く、独特の斑紋がある。イワシは3種類いて、マイワシは体側にある7個前後の黒い星が特徴。

〔シーズン〕地域差がかなりあるが、初夏から晩秋にかけてが釣り期。イワシは周年釣れることもある。

〔料理〕刺し身、空挙げ、たたき、フライ、南蛮漬け、干物など。

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青物と呼ばれる回遊魚は、今日釣れても、明日釣れるという保証はない。だが、群れで入ってきた時は、またたく間にクーラーがいっぱいになってしまう。

[サオと道具は簡単なものでOK

とりあえず、あり合わせのサオを持って、防波堤に出掛けてみよう。振り出しの万能ザオでも、投げザオや渓流ザオでもかまわない。

もちろん、本格的な防波堤釣り用の道具類を取りそろえて出掛けるに越したことはないが、魚釣りの楽しさや感触を味わう前に、財布の中が空っぽになったのでは、しょうがない。

オモリを軽くすれば、万能ザオでもサビキ仕掛けが使えるし、渓流ザオなら、ウキ釣りで、これらの魚をねらえばよい。

魚は、サオや釣り人の顔を見てからエサを食うわけではない。釣果は、仕掛けとエサ、それに誘いで決まるのだ、ということをよく覚えておいてほしい。

[サビキ釣りでやってみよう

プランクトンや小さなエビ類を好んで食べる魚には、サビキ釣りが威力を発揮する。

サビキ釣りとは、サビキと呼ばれる魚皮やゴムの薄膜で作った擬餌バリを何本も付けた仕掛けを踊らせ、これを魚に食わせる釣り方で、アミエビなどの寄せエサをまきながら釣ることが多い。アジ、サバ、イワシはもちろんのこと、メバル、シマダイ、シマアジなど、たくさんの魚を、この釣り方で釣ることができる。

離島などで、大きな魚が回遊する場合は別として、市街地に近い、釣り人の姿が絶えない防波堤では、魚がスレているので、細いハリスのサビキが有利だ。ハリスの太さが0.8号か1号のスキンサビキがいいだろう。

[寄せエサの効果的なまき方

寄せエサをたくさんまけば、魚もたくさん集まる。だが、魚が集まることと、魚が釣れることとは違うのである。

少しの寄せエサで魚を寄せ、魚を飢えた状態にしておくと、魚はサビキやエサに食ってくる。ところが、寄せエサをまきすぎると、寄せエサで腹がいっぱいになり、肝心のサビキやエサを食わなくなる。潮が速い場合は、寄せエサとともに群れが沖に去ってしまうこともある。

「少しずつ、絶え間なく」が、寄せエサをまくコツ。カゴや袋は小さめを使い、とろとろ出すようにして魚の群れを足止めする。

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[釣り方の実際

「見える魚は釣れない」と言われるが、この魚にかぎっては例外。見える魚でもガンガン釣れてしまう。それでも、数を釣るには、それなりのテクニックが必要になる。

寄せエサを詰めて仕掛けを投入して、オモリが底に着いたら糸フケを取り、サオを軽く振って寄せエサを出す。最初のうちは、すぐにサオを震わせるアタリがくるので、数秒待ってから仕掛けを上げればよい。アタリが遠くなったら、寄せエサを振ったあとに、ゆっくりサオを立てて誘いを掛けてみよう。

※困った時のアドバイス

・アジを釣りたいのにほかの魚ばかり・・・・

 上層にサバやイワシが群れている時は、サビ

 キがアジのタナまで落ちないことがある。対

 策としては、寄せエサを少量にし、オモリを

 重くして一気に仕掛けを沈めることだ。

・魚が見えるのに食わない時は・・・・

 魚がスレてきた証拠である。違った擬餌のつ

 いたサビキにかえるか、さらに細いハリスの

 サビキにかえれば、必ずまたハリに掛かるよ

 うになる。

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[ウキ釣りで釣るのもおもしろい

サビキ仕掛けで、まとめて釣るのもいいが、ねらったターゲットを1尾ずつ確実に釣る楽しみもまた格別である。

それに、エサ釣りのほうが、サビキ仕掛けより大型が釣れることが多い。

ねらいはアジ。早朝や夕方、夜がチャンスだ。ポイントは、防波堤の先端近くで潮通しがよいこと、これが条件となる。

寄せエサをまいて、その中心から少し離れた位置に仕掛けを入れる。寄せエサの中心にはボラやそのほかのエサ取りの小魚が寄ってしまうことがあるからだ。

ウキ下は1~3mで、釣り場の状況で異なってくる。まず1mから釣り始め、アタリがなければ、ウキ下を深くしていく。

それまで食っていたアジのアタリが止まったら、逆にウキ下を浅くしてみる。ことに夜は、タナが上がることがある。

エサはアミか、アジやサバの身を小さく切って付ける。ウキが水中に消し込まれてからサオを立てれば、確実にハリ掛かりするはず。

ウミタナゴ釣り ※タイに似た魚体で、早春の防波堤の人気魚だ

           〔特徴〕30cm近くまで成長する卵胎生魚で、5月頃にメスの卵巣内で

            ふ化した3~4cmの仔魚を産み落とす。海草につく小動物やエビなどを

                                           好み、海草の間や岩礁帯などをすみかにしている。

           〔シーズン〕初冬から晩春まで。

〔料理〕煮つけ、空挙げ、みそたたき、吸いものなど。

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潮がよく澄んだ時、防波堤の上から水中をのぞきこむと、ウミタナゴが泳いでいる姿を見ることができる。やさしい泳ぎだが、いったんハリ掛かりすると、なかなか強い引きをみせてくれる。道具の扱い方、エサの付け方、寄せエサのまき方など、ウミタナゴ釣りは防波堤でのウキ釣り入門に、うってつけの魚である。

[ポイントの選び方

ウミタナゴは、潮通しのよい場所で、近くに根や消浪ブロックのような、障害物がある所がポイント。したがって、防波堤では内側より、潮通しのよい外側がねらい目になる。

水深は1mもあれば十分だから、防波堤の近くに隠れ根や岩礁があれば、好ポイントと思って間違いない。特に、これらの場所に海草が生えていれば、申し分ない。

沖合いの防波堤(一文字堤)のように、海底の変化にとぼしい釣り場では、ケーソンの継ぎ目などがポイントになる。偏光グラスがあれば、さらにポイントの確認がしやすい。

[条件によって仕掛けを使い分けよう

水深があり、波の静かな場所では、食い上げから消し込みまでの、繊細なアタリを的確にキャッチできる立ちウキ仕掛けが有利である。中型のヘラウキならばベストだ。

波っ気のある釣り場では、シモリ仕掛けを使う。エサを付けた状態で3番目ウキが水中に少し沈むようにオモリを調節して釣るが、水面に浮かんでいるウキだけでなく、水中に沈んでいるウキの変化にも注意する。水中のウキが、くの字に曲がったり、横に動くなど、不自然な動きをみせたら、すかさず合わせる。

[寄せエサと付けエサ

寄せエサには、アミを使う。ほかの集魚剤を混ぜると、小魚やフグを寄せてしまうので、アミを海水に混ぜて、少しずつまく。

エサは、澄んだ潮ならモエビ、濁っている時はジャリメ(イシゴカイ)がよい。モエビが手に入らなければ、ジャリメだけでもOK(タラシは2cm以内にすること)。また、小型のオキアミも効果的なエサである。

3~5月の時期は、30cm級の大型のウミタナゴが回遊するが、この時期は産卵直前なので、魚保護のために釣りはあまりおすすめしたくない。

※困った時のアドバイス

・ウキ釣りの用意がない場合には・・・・

 フカセ釣りでねらっても釣れるが、簡単なのは胴突き仕掛けだ。道糸の先に幹糸1.5~2号1mを

 付け、これに枝ハリス0.8~1号20~25cmを2本だす。いちばん下に5~8号のオモリを付けて沈

 め、ゆっくり誘いをかける。メバル、小型クロダイなどがハリ掛かりすることもある。

・魚はいるのにエサを追わない・・・・

 ハリスを0.4~0.6号に落としてみると、アタリが出ることがある。警戒心の強い魚だから、静か

 に釣ること。

サヨリ釣り ※下アゴの長いスマートな魚体。味のほうもなかなかいける

            〔特徴〕サンマに似た細長い魚体で、下アゴが長く突き出している。

           内湾や外洋の沿岸部を数十尾の群れで回遊し、水面を浮遊するプラン

           クトンなどを捕食する。寿命は2年と短い。

〔シーズン〕場所により周年釣れるが、関東では春先に大型が回遊する。

〔料理〕刺し身、バター焼き、吸いもの、干物、寿司、フライなど。

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サヨリの群れは、表層を泳ぐから、魚が寄ったかどうかを確認しやすい。群れを驚かさなければ、かなり近くまで寄ってくるが、釣り人が多いと、次第に沖めに群れが離れていく。魚を驚かさないように皆で静かにしてねらえば、数釣りを楽しむことができる。

[サオと仕掛けの使い分け

釣り味を楽しむなら、長めの渓流ザオにシモリ仕掛けがよい。ウミタナゴとほとんど同じこの仕掛けで、40cm級をハリに掛けると、かなりスリリングなやり取りが楽しめる。

しかし「サヨリが釣れた」というニュースが流れると、釣り人がドッと押しかけるので、手ザオで釣れる釣り場は少ない。

こういう場合は、飛ばしウキを使えば、かなり沖めにいるサヨリの群れを釣ることができる。サオは磯2号クラスが最適。この道具立てなら、防波堤だけでなく磯からもサヨリがねらえる。群れさえ寄っていれば、ポイント選びの難しさは、特にない。

[エサは、はんぺんかオキアミ

サヨリは、下アゴが異常に発達しているが、上アゴが小さいので、ハリに掛けることが難しい。したがって、小さなハリ、小さなエサを使うことが鉄則になる。

最も手軽でハリに刺しやすいエサは、はんぺんだ。ストローで刺し、反対側から吹いて抜く。なんともユーモラスなエサの作り方である。ハリは通し刺しにしてハリ先を出す。

オキアミは、ムキ身にしてからハリに刺す。この場合も、必ずハリ先を出さないと、魚の掛かりが悪い。

[寄せエサの使い方

手ザオの場合は、アミを海水で薄めて、上澄みをまくようにし、なるべく、群れを手前に寄せるように工夫する。

飛ばしウキ仕掛けの場合、寄せエサカゴに入れるアミは少量にしておくこと。大量に入れると、潮が沖に向かって流れている場合、寄せエサについて、サヨリの群れが沖に行ってしまう。

※困った時のアドバイス

・アタリがあってもハリ掛かりが悪い・・・・

 接続金具とハリスの間に輪ゴムを入れると、輪ゴムがクッションとなり、エサを自然に食い込

 んで、バラシも少なくなる。

・群れがすぐに沖に行ってしまう・・・・

 群れの少し沖側に仕掛けを投げ入れ、仕掛けを手前に引いてくれば、サヨリの群れは、寄せエ

 サを追って近くに寄ってくる。

クロダイ(チヌ)釣り ※防波堤釣り人気ナンバーワンの、手ごわいクロダイ攻略法

          〔特徴〕沿岸の磯や、防波堤、消波ブロックの周辺などに広範囲に生息

          する。色は“黒”というより銀白色に近く、マダイに似た精かんな姿をし

          ている。幼魚はすべてオスで、成長するにつれて性転換する珍しい魚。

          雑食性でエビ、カニ、イソメ類などのほかに、スイカやミカンなども口

          にする。

〔シーズン〕周年だが、厳寒期は釣り場が限定される。

〔料理〕刺し身、塩焼き、みそ漬け、みそたたき、タイ飯、潮汁など。

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磯のメジナ、防波堤のクロダイは、海

釣りの人気の両横綱といってもよいだ

ろう。警戒心が強く賢い魚だから、そ

うやすやすと、エサの付いたハリに食

いついてはくれない。それだけに、釣

り人を熱中させる魅力をもっている魚

といえるだろう。

[釣り方の特徴と難易度

①ヘチ釣り(難易度A)

防波堤のヘチ(際)を小さなガン玉オモリ

を付けただけの仕掛けで、エサのカニ

やエビを落とし込んでいくので、落と

し込み釣りとも呼ぶ。

アタリは少したるませた道糸の動き(糸

フケ)で取るが、アワセのタイミングが

難しい。釣りとしてのおもしろさは随一だが、落とし込み方やリール操作に慣れるには、多少の練習が必要だ。

②ウキ釣り(難易度B)

寄せエサを使わず、エビやイワイソメ(イワムシ)など生きエサで釣る方法と、寄せエサでクロダイを寄せて釣る2通りの釣法がある。タナが決まるので、根気よくポイントを攻めれば、釣れる確率は高い。

③ダンゴ釣り(難易度C)

カカリ釣りを防波堤釣りに応用した釣法。

寄せエサのダンゴでクロダイを寄せて釣る方法で、釣れる確率は高い。

④電気ウキの流し釣り(難易度C)

ウキ釣りの一種だが、夜釣りになるので小型電気ウキを使い、海底近くを流して釣る。ウキがユラユラ沈んだら合わせるだけのやさしい釣り。これなら、警戒心の強いクロダイも比較的簡単に釣ることができる。

ただし、「クロダイ釣りは難しいからおもしろい」と夜釣りでもヘチを落とし込みでねらうベテランもいる。

[どの釣法でチャレンジするか

さて、どの釣法でクロダイにチャレンジしたらよいのだろうか。

釣果第一主義で、とにかくクロダイとのやり取りを楽しんでみたければ、夜釣りで電気ウキの流し釣り、あるいはダンゴ釣りがいい。ポイントの選定さえできれば、クロダイとの対面ができる。

テクニックの向上を考えるなら、ヘチ釣りで落とし込みの技術、タイコ型リールでのやり取りを、時間をかけてマスターするのもよい。

[道具選びのポイント

①ヘチ釣り

サオは1.8~2.4mのヘチ釣り専用のサオを使う。先調子でガイドの数が多いのが特徴。ベテランは竹サオを好むが、初心者はグラスかカーボン製のもので十分だ。

リールは、タイコ型リールと呼ばれるものを使うが、このリールはドラグがないのが特徴である。

道糸の動きで魚のアタリを取るため、道糸は蛍光ラインを使う。

エビやカニをエサにする場合は、エサを生かしておくための逆さオケが必要となる。防波堤を歩きまわることになるので、小物類はポケットやウエストバックに入れておくとよい。なお帽子やサングラスも忘れずに。

②ダンゴ釣り、ウキ釣り

サオは磯ザオ2号クラスで、長さ4.5~5.4mのものがよい。リールは中型スピニングリールで、道糸を100~150m巻いておく。

ウキは釣り場の水深、風の強さ、ポイントの距離などによって使い分ける必要が出てくるので、サイズの違うものをそろえておく必要がある。

また、寄せエサを作るためのバケツや水くみ用のバケツ、ヒシャクなどもそろえておく必要がある。

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[ダンゴ釣り

ダンゴの中にくるんだ付けエサが海底で割れて、それをクロダイが食うというのが、ダンゴ釣りのシナリオだ。付けエサをダンゴでくるむのは、クロダイのいる所へ届くまでエサ取りの小魚から付けエサを守るためである。

したがって、ダンゴは海底に着いたらすぐに割れるように、あまり粘りを出さないようにすることが大切。

ウキ下は、ダンゴが着底した時、ウキの先が海面すれすれになるようにする。釣り始める前に、ダンゴを1~2個、ポイントに投げ込んでから道具の用意をすると効果的。アワセは、ウキが完全に引き込まれてから、サオを立てればよい。

[ウキ釣り

道具はダンゴ釣りと同じものを使う。エサはオキアミが一般的。寄せエサをヒシャクでまいて、付けエサをその寄せエサの帯の中に入れて、クロダイのいるポイントやタナまで流す釣り方である。

クロダイは底にいることが多いので、エサが底すれすれか、せいぜい底から30cm以内の間を流れるように、ウキ下を調整する。アワセのタイミングは、ウキが水中に完全に沈んでからでよい。

なお、夜釣りの場合は、ウキを電気ウキにかえ、安定した釣果の得られるフクロイソメ(スゴカイ)をエサにして流すとよい。この場合は、寄せエサの必要はない。

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[ヘチ釣り(落とし込み釣り)

生きたカニやエビ、イソメ類、貝などをエサにして、防波堤の堤壁すれすれ(ヘチと呼ぶ)に仕掛けを落とし込んでいくヘチ釣りは、短いサオとシンプルな仕掛けでクロダイをねらう、玄人好みの釣り方だ。

サオ先の操作やエサ、ポイントの選択など慣れないと難しい面があるが、それだれに、ヘチ釣りで釣れたクロダイは、最高の感激を味わうことができる。

ヘチ釣りには、海面近くにあるイガイ(カラス貝)の層をねらう方法と、底付近を重点的にねらう方法がある。一般に、シーズン初期や潮が澄み気味の時は底をねらい、シーズン最盛期や潮が濁り気味の時は、上層をねらう。

道糸に少しだけタルミ(糸フケという)を残しながら、沈んでいくエサの速度に合わせて、あらかじめ繰り出しておいた糸の長さいっぱいまで、サオ先をさげていく。出しておく糸の長さは、イガイの層をねらう時は、ハリス分を含めて3ヒロ(約4.5m)、底をねらう時は、水深分より少し多めがよい。

アタリは、道糸が横にスーッと走ったり、あるいは糸フケがフワッとたるんだりするが、少しでもおかしいと感じたら、合わせてみること。底釣りでは、底でのアタリが出にくいので、エサが底に着いたら、サオ先をゆっくり上げて、何か変化がないか調べてみる。これを“聞きアワセ”と呼び、ヘチ釣りでは重要なテクニックの一つとなっている。

ハリ掛かりしたクロダイは沖に向かったり、堤壁に沿って走ったりするが、あわてずに、サオの弾力や道糸を繰り出して対処する。タイコ型リールにはドラグがないので、右手の親指と左手の腹でブレーキをかけながら道糸を送り出し、魚の動きが弱まったら、道糸を巻き取る。数度のやり取りでクロダイの抵抗もおさまるので、あとは玉網ですくえばよい。

アイナメ釣り ※40cmを超すビールビン級の大型が釣れることがある

          〔特徴〕沿岸の岩礁地帯にすむ魚で、防波堤の捨て石まわりや沈み根、  

          消波ブロックの間などをすみかとする。縄張り意識が強く、帰巣本能が

          ある魚として知られている。体色は黒褐色が多いが、すむ場所によって

          いろいろ変化がある。

          〔シーズン〕一般には晩秋から春だが、地域によっては周年釣れる。

〔料理〕あらい、刺し身、煮つけなど。

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釣り講座(アイナメ釣り)a.jpg
釣り講座(アイナメ釣り)b.jpg

ハリ掛かりすると激しく首を振って抵抗するア

イナメの引きにしびれる釣り人が多い。

なんといってもブラクリ仕掛けで攻める、積極

​釣法がおもしろい。

[ブラクリ釣り

2m前後の先が軟らかいサオなら、底の状態が

よくわかり、アイナメのアタリが取りやすいし、

食い込みもよい。

ブラクリは、小さいほどアイナメの食い込みがよいので、1.5~2号までのブラクリにエサを付け

て軽くキャストする。

ブラクリが底についたことを確認したら、糸がピンと張らない程度に糸のタルミ(糸フケ)を取る。10秒ほど待ってアタリがなければ、サオ先を倒して糸を少し巻き取り、大きくしゃくって手前に寄せる。

仕掛けが足元まできたら、防波堤の際をサオでしゃくりながら探る。

アタリは張った糸を伝わってコツコツと、はっきり出るので、ひと呼吸おいてから合わせることがコツ。早アワセでは、すっぽ抜けが多い。

根掛かりを恐れては、アイナメは釣れない。ブラクリもエサも余裕を持って用意しておこう。根掛かりしたらいきなり強く引かずサオ先をチョンとあおるとはずれることが多い。

[落とし込み釣り

冬の間、クロダイ釣りの練習にアイナメを攻める釣り人も多い。カミツブシオモリをハリのチモトにかませて、防波堤の際を探り歩く。アイナメは、ふわふわと上から落ちてくるエサに飛びつく習性があるから、落とし込み釣りは、有効な攻略法である。サオやリールなどは、クロダイ用のものを使う。

フカセ釣りでアイナメをねらう場合、最初は大きめのカミツブシを使うと底立ち(エサが底に着いたこと)がわかりやすい。慣れたら、次第に小さなカミツブシやガン玉にかえていくと、クロダイの落とし込み釣りのトレーニングになる。

大型がヒットしたら無理せずにサオの弾力とリール操作で魚が弱るのを待つこと。30cm以下のアイナメは、底を離してしまえば、あとは首を振りながら上がってくるが、40cm級になると、途中で何度も激しい引き込みを見せるので、油断をするとハリスがプツンといく。最後は必ず玉網で頭からすくうこと。

スズキ釣り ※納涼をかねて夏の宵に防波堤で大物スズキのアタリを待つ

           〔特徴〕汽水域にも入り込む沿岸性の魚。小魚やエビなどの生きたエサ

           を好む。日中より、夜間や早朝に活発に活動する。代表的な出世魚で

           関東では、コッパ→セイゴ→フッコ→スズキと、成長につれて呼び名

   が変わる。最大で1mぐらいに成長する。

〔シーズン〕初夏から晩秋。

〔料理〕あらい、塩焼き、潮汁、かす漬け、刺し身、酒蒸しなど。

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釣り講座(スズキ釣り)a.jpg
釣り講座(スズキ釣り)b.jpg

防波堤釣りの対象魚としては、大物の一つ。

時には1m級がサオを絞ることもある。掛かったハリをはずそうとして、空中にジャンプしたり、大きな口を開いて首を振ったりするスズキの抵抗も、この釣りの楽しみの一つ。​

[電気ウキの流し釣り

スズキは、防波堤の周辺の潮通しがよい場所を回遊する。場所によっては、防波堤の際で大物がヒットして驚かされることもある。

夜釣りが中心になるが、日没寸前や夜明け前後の薄暗い時間帯もチャンスだから、油断ができない。

サオは、磯ザオ3号クラスや、投げザオ、万能ザオでもOKだ。

リールは、中・大型スピニングリールを使用する。小型リールでは、大物とのやり取りに不安がある。大物スズキを手中に収めるには、相手がこちらに向いて走った時に、糸フケが出ないように速いスピードでリールを巻く必要があり、そのためにも、大型リールが有利である。

[潮目をねらえば大型が・・・・

潮の流れは、少しの場所の違いでも微妙な変化をみせる。ことに防波堤のまわりでは、防波堤に当たる潮と、沖を流れる潮との間に“潮目”と呼ばれる境目ができる。

また河口部では、流れの中央部分の深い部分と、防波堤寄りの浅い部分で、潮の流れ方に差が生じ、潮目ができる。

これらの潮目は、スズキの絶好のポイントになる。距離を変えて流し、早くポイントをつかむことが大切だ。

[ウキ下は浅めに取ろう

スズキは、水面近くを泳ぐ魚を追って、かなり上までタナが上がるので、ウキ下は1.5mを標準とし、深くても2mまでと考えればよいだろう。

エサは、目立つようにたっぷり大きめに付けること。釣り場によっては、アジやイワシを生きたままハリに付けてねらうこともある。

スズキは、最近、ルアーフィッシングの対象魚としての人気が高まり、エサ釣りは押され気味だが、手軽さと、豪快な引き味を堪能できるエサ釣りも、捨てたものではない。

アタリがあってもハリ掛かりしない場合には、ハリの号数を上げてみる。次に、アワセのタイミングを遅らせる。この二つで、ハリ掛かりがよくなるはずである。

シロギス釣り ※防波堤からのシロギス釣りは、遠投しなくても良型がヒットする

             〔特徴〕浅場の砂地の底近くを群れで泳ぎまわり、イソメやゴカイ

             類などを捕食する。パールピンクの美しい魚体で30cm近くまで成

             長するが、普通釣れるのは20cm前後。冬は、深場に移動する。

〔シーズン〕晩春から晩秋までが釣期だが、水深がある釣り場では冬でも釣れる。

〔料理〕塩焼き、刺し身、てんぷら、フライなど。

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釣り講座(防波堤のシロギス釣り).jpg

[遠投よりちょい投げが有利

砂浜からの投げ釣りと違って、防波

堤からのシロギス釣りは、せいぜい

50mも投げれば十分である。もとも

と防波堤は海に突き出しているので、

シロギスのいる場所に近いからだ。

また、防波堤まわりは、エサが豊富

だから、遠投するよりも、ちょい投

げで防波堤のまわりをよく探ったほ

うが、釣果が上がることが多い。

[積極的釣法が釣果を伸ばす

釣果を上げるコツは、投入した仕掛

けを少しずつ引いて魚を誘う動作を繰り返し、よいポイントを早く見つけることだ。

オモリは15~20号までを用意すれば間に合うクラス。沖合いの防波堤(一文字堤)では、10号の船釣り仕掛けでも釣ることができる。

カレイ釣り ※ポイントの選定が釣果を決める。釣り場のクセを知り尽くそう

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             〔特徴〕カレイの種類は多いが、防波堤釣りの対象となるのはマコガ

             レイとイシガレイ。それぞれ砂地の底にすみ、海底の小動物をエサ

             にしている。

             〔シーズン〕産卵で浅場に寄る晩秋から冬がチャンス。

             〔料理〕煮つけ、空揚げ、刺し身など。

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[釣り場のクセを早くつかむ

潮の変わり目(下げ潮から上げ潮に変

わること。あるいはその逆)に食いが

立ことが多いが、釣り場ごとによく

釣れるポイントや潮時が、ほぼ決ま

っていることが多い。

同じ釣り場に何度か通って、釣り場

のクセをつかんでしまうことが、釣

果を上げる秘訣である。

カレイは、ハリスの太さをあまり気

にしないから、遠投した時に絡まな

いよう、ハリスは太めのものを使う。

枝ハリスにビニールパイプなどを通

してあればなおよい。サオやリールなどは、シロギス用のものをそのまま流用できる。

エサは、新鮮で、大きなものが釣果をあげる。アタリがないままに、エサが弱ってしまったら、早めに交換すること。

メバル釣り ※海の穏やかな日に、ウキ釣りかフカセ釣りでねらってみよう

             〔特徴〕目が大きいので目張(めばる)という。体色は茶褐色だが、場所 

             によっていろいろ差がある。防波堤の際などに群れて生息し、小魚、

             エビなどを捕らえて食べる。

             〔シーズン〕春から夏。

             〔料理〕煮つけ、空揚げ、塩焼き、刺し身、コブ締めなど。

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釣り講座(防波堤のメバル釣り).jpg

[長ザオを使ったフカセ釣りがおすす

波がない穏やかな日に、メバルは上

を向いてポカンと、浮くように泳い

でいるというが、警戒心も強く、な

にかに驚くと、いっせいに岩陰など

に身を隠してしまう。

モエビ、アオイソメなどをエサに、

ウキ釣りやフカセ釣りでねらうのが

一般的だ。

特におもしろいのは、長ザオを使っ

たフカセ釣りだ。小さなオモリを付

け、サオいっぱいの長さの仕掛けを

沖に振り込む。

コツコツと小さなアタリで合わせると、一気にサオを引き込まれる。渓流ザオで釣ると、こたえられない引き味にしびれるはずだ。

ポイントは、潮が通っていて、近くにエグレや岩礁などがある所。

目かいい魚なので、朝、夕の薄暗い時間帯にチャンスが多い。

カサゴ釣り ※専門にねらえば、あぶれることは少ない

             〔特徴〕岩礁や消波ブロックの間などに潜み、小魚やエビ、カニなどを

                 食べる。頭でっかちで口が大きく、体中に鋭いトゲがあるの

                 で、手に持つ時は注意する。

             〔シーズン〕周年。

             〔料理〕煮つけ、空揚げ、刺し身、水炊きなど。

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釣り講座(防波堤のカサゴ釣り).jpg

[短ザオで探り釣り

カサゴは、岩礁のくぼみなどに、身

を潜めているので、カサゴが居つき

そうな穴を、積極的に探っていく。

2m前後の短ザオで、防波堤周辺の

消波ブロックの間などを探ると効果

的だ。少し離れたポイントでは、4

m前後の万能ザオに直結仕掛けで探

ってもよい。

アタリがあったら、根に潜られない

よう一気に引き抜くので、硬めのサ

オがよい。

エサは、オキアミの大きなものが食

いがよい。イカの短冊、イワシの半身などでも食ってくる。エサのかわりにクラッピーなど、ルアー釣り用のワームを使ってもよい。

同じ穴には、何日かすると、またほかのカサゴがすみつくので、もう一度ねらってみよう。

アナゴ釣り ※ヌルヌルして仕掛けに絡みつくが、引き味と味覚はかなりいける

             〔特徴〕ウナギに似た体形で、体の表面は粘液におおわれている。泥

                 地、砂泥地を好み、夜になるとエサを探して活発に行動する。

                 ただし、潮が濁った時は昼間でもエサを追う。

             〔シーズン〕初夏(梅雨時)から晩秋まで。

             〔料理〕てんぷら、八幡巻き、白焼き、アナゴ丼など。

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釣り講座(アナゴ釣り).jpg

[並べ釣りで数釣りをねらう

大きな漁港の港内には、どこにでも

生息している魚だ。専門にねらう釣

り人は少ないから、釣り場を独占し

てのんびり釣れる。潮が濁っている

時以外は夜釣りになるが、漁港の灯

の下で釣れば、手元が明るいから、

エサ付けや仕掛けの交換も楽だ。

サオは、どんなサオでもかまわない

から、2~3本を並べて釣る。

時々、サオをゆっくり聞き上げて誘

いをかけると、アタリが出ることが

多い。エサのタラシが長すぎると、

ハリ掛かりが悪いので気をつけよう。

釣れたらタオルでつかみ、ハリをはずす。

◎磯釣り入門

                 内湾の穏やかな地磯から、怒涛押し寄せる外洋の荒磯、
                 あるいは絶海の孤島まで、磯釣りのフィールドは幅広
                 い。釣れる魚も、ウミタナゴやサヨリなどの小物から、
                 シマアジやヒラマサなどの大物まで、実
                 に多彩である。磯釣りは
、ほかの釣りに
                 比べると危険な面があることは確かだ。
しかし、ほとんどの事故は
 釣り人の不注意や油断で起きている。慎重な
行動
と着実な経験を積み重ねれば、だれでも、安全な磯釣りを楽しむことができる。
                                  (藤井 汐竿)            
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《磯で釣れる魚たち》

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※磯釣りはねらいをしっかり決めて釣行することが大切
 磯にはいろいろな魚がすんでいる。しかしポイントと呼ばれる部分は、ほんのわずかでしかない。ことに初めての磯では、磯の形、潮の流れ、海底の状況を判断してサオを出さなければ、釣果を上げることはできない。
初心者のうちは単独釣行を避けて、できればベテランに同行するようにしたほうがよい
。そのほうが釣果に結びつく可能性が高いし、釣技向上にも役に立つ。
また、ほかの釣りに比べて磯釣りは危険な場面が多いので、その点からもベテランとの同行が望まれる。
さて、磯釣りの入門として最適なのが、波の静か内湾でのウミタナゴや小メジナ釣りだ。サオやリールの扱い方、ウキの調整、寄せエサの作り方などがひととおりマスターできる。これらの基本ができてから、大物へ挑戦するのがよいだろう。
            ( 汐竿)          
   ◎磯釣りに必要な道具と装備
  釣りに必要な道具のみならず、安全対策の装備に心配りが必要だ
磯釣りは、道具類をそろえていくと、かなり費用がかかる。最初は必要最小限の道具でのぞ
み、自分の好みに合った対象魚が決まってから、道具を買いそろえると、無駄な出費をしな
くてすむ。
ただし、ライフジャケットや磯用ブーツなど、
安全な釣りに必要な装備は、初めから信頼で
きるものを選ぶこと。悪天候での釣行や不注
意で事故を起こさないことは、磯釣りのマナ
ーでもある。
       
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    ☞ 磯釣りで守るべきことを知っておこう ☜ 
  事故を未然に防ぐための注意と、もしもの
時の対応、磯場
でのエチケットについて
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      ◎釣り始めるまでの手順
  ウキ釣り仕掛けのポイントをよく頭の中に入れておこう
ウキのセットからタナ取りまで、ウキ仕掛けの扱い方をマスターしておかないと磯に行って
から、仕掛け作りに手間取って、チャンスを
逃してしまうこともある。セットする手順を
よく覚えて、現場でまごつかないようにし
よう。
       
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ウミタナゴ釣り ※磯釣り入門に最適な小磯の人気者

                         〔特徴〕磯まわりに生息する卵胎生魚で、春先、メスは卵巣内でふ化

                し た仔魚を産み落とす。すむ場所によって体色に差があり、

                金褐色や銀白色のものがいる。

             〔シーズン〕水温が低下する初冬から晩春までが磯釣りの釣期。30cm

                   級の大型は春先がチャンス。

〔料理〕空揚げ、椀種、煮つけなど。

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ウミタナゴ釣りは、その姿、形と釣

り方から「海のマブナ釣り」と言う

人もいる。たしかにサオや仕掛けな

ど、マブナ釣りの道具をそっくり使

うこともできる。

ウミタナゴの釣り場は、比較的波の

静かな内湾の磯が適しているので、

入門におすすめの釣りものだ。

[ウキ釣りでねらってみよう

サオは、渓流ザオか万能ザオの4.5~

5.4mクラス。磯ザオなら06~1号の

4.8mが扱いやすい。

玉ウキを使ったシモリ仕掛けは、ウ

ミタナゴの微妙なアタリをキャッチ

するのに有効だ。

波気が少ない時なら立ちウキで攻め

てもおもしろいが、ちょっと波立つ

とアタリが取りにくい。

シモリ仕掛けの場合は、3番目のウ

キが少し沈むようにオモリのバラン

スを取る。立ちウキの場合には、ト

ップの半分が水面に出るように調節

する。

[ポイント、エサと釣り方

潮通しが緩やかで波気が少ない場所

の、岩礁や沈み根のまわりがポイントになる。カジメなどの海草が生えていれば、申し分ない。

付けエサは、イソメ類や小型のオキアミなど。寄せエサは、海水で溶いたアミを使うが、海岸の砂を混ぜて使うと寄せエサがよく沈み、効果的である。また、オカラを混ぜると潮が澄んだ日には効果がある。ウミタナゴは、警戒心が強い魚だから、ポイントからなるべく離れて釣ること。

寄せエサはポイントの手前に打って、潮に乗ってポイントに入るようにする。ウキ下は、底から20~30cmぐらい。

[アタリとアワセ] 

食いが活発な時や、潮の流れが速い釣り場では、ウキが消し込まれるが、潮が緩やかな釣り場では、食い上げたりウキが止まるだけの小さなアタリになることがある。ウキの動きに変化があったら軽く合わせてみることが、釣果を伸ばすコツだ。

ハリ掛かりした魚は、なるべく早く群れから引き離して取り込むこと。また、次に仕掛けを入れる前に、必ず寄せエサをまいて群れが散らないようにすることも、釣果に大きく影響する。上げ潮では、水深50cm程度の浅場にも群れが入ってくる。人がいない静かなポイントを次々に攻めていくと、釣果が伸びる。上げ潮、引き潮の変化でポイントが大きくかわることも覚えておこう。

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クロダイ(チヌ)釣り ※警戒心が強く、簡単に釣れないからこそ、釣った時の喜びが増す

                                〔特徴〕砂地まじりの岩礁帯をすみかとしているが、外洋の荒磯という

               より、内湾の磯を好み、生息域は意外に人里に近い。そのため

               警戒心が強く、動きも敏捷である。雑食性でエビ、カニ類から

               スイカ、ミカンまで食性は幅広い。体色は黒味がかった銀白色

               で、形はマダイに似る。普通釣れるのは25~40cm級だが、

                50cmを超える大型もいる。

〔シーズン〕初春から晩秋までが一般的だが、場所によっては周年釣れ、特に厳寒期に大型が釣れる所もある。

〔料理〕刺し身、塩焼き、みそたたき、潮汁、タイ飯、みそ漬けなど。

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クロダイ釣りの魅力は、簡単に釣れ

ないことにある。だからこそ釣り人

は、なんとかハリに掛けようと、仕

掛けやエサなどに、あの手この手と、

知恵を絞る。

磯での釣り方は、ウキ釣り、ダンゴ

釣り、フカセ釣りなどがあるが、こ

こでは最も初心者に向いたウキ釣り

を紹介しよう。

[こんな道具を準備しよう

○サオ

長さ5.4mの磯ザオ1~2号クラスが最

も使いやすい。これより短いと、沈

み根などに潜られた時、ハリスを切

られやすいし、逆に長すぎると、風

の強い日の振り込みなどに苦労する。

素材はカーボン製が最適。サオを手

に持って釣るので、グラス製では手

が疲れるし、風にあおられる心配も

ある。初めは中級品のカーボンロッドを購入して、気楽に使い込むことをおすすめしたい。

○リールと道糸

中型のスピニングリールに、蛍光ラインの3号を巻いておく。

リール選びのポイントは、ドラグ機能が優れているかどうかにかかっている。クロダイの急激な引き込みに対して、道糸がスムーズに出ていかなければ、せっかくハリ掛かりしたクロダイをばらしてしまうことにつながる。

自分でドラグの性能を見きわめるのが難しければ、購入の際に、販売店の人によく聞くようにしよう。

道糸に蛍光ラインを使うのは、遠くのポイントや根際を流す時に、道糸の位置やタルミの状態を確認できるからだ。

○ウキ

内湾の比較的波の穏やかな釣り場で釣ることが多いので、このような場合は、オモリ入りの立ちウキ(遠矢ウキなど)を使うと、微妙なアタリまでとらえることができる。

特に、春先でクロダイの活性が低い時は、このウキが有効だ。また、ダンゴ釣りにも応用が効く。

波があってサラシの強い釣り場や水面から高い釣り場では、円錐ウキが使いやすい。

[エサの種類と付け方

クロダイは雑食性なので、いろいろな種類のエサが釣りに使われているが、中でもオキアミは、幅広い釣り場や状況で使える万能エサといえる。

付け方は上図のとおりだが、最も一般的なのが、尾を切ってハリを刺し、腹側へハリ先を出す方法。遠投する場合は、ハリ先を背側に出すとエサがはずれにくい。

また、エサ取りが多い時やクロダイが食い渋り気味の時は、頭と尾を取って殻をむいた胴の部分を刺すという方法もある。

オキアミのほかには、サナギやチューブに入ったエサなどがあり、状況に応じて使い分けることになる。

寄せエサは、市販の配合エサにオキアミを加えて作る。軽く握ってばらけない程度の練り具合がベスト。なお、オキアミは、あらかじめ、付けエサ分を残しておくようにする。

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[水深のはかり方(タナ取り)

クロダイは底近くを回遊する魚なので、エサも底近くを流れるようにしなければならない。そのためには、ポイントの水深を正確にはかることが大切になる。

まず、ウキがゆっくり沈む程度のオモリをハリに付けて、ねらうポイント周辺に投入する。この時のウキの出方や沈み方を見ながらウキ止め糸を上下して、ウキのトップが半分ぐらい出るように調節すればよい。

海底は起伏があるので、水深をはかる時は広範囲にはかっておくことも大切だ。

一般的には、最深部すれすれをエサが流れるようにウキ下を調整するが、エサ取りが少ない時は底から20~30cm以内を攻め、エサ取りが多いようなら、底を引きずるぐらいにするのも手だ。

[アタリとアワセ

勢いよくスポッとウキを消し込むアタリは、ほとんどエサ取りの小魚だ。クロダイのアタリは、流れていたウキがフッと止まり、ゆっくり沈んでいくような静かなアタリが多い(もちろん例外もある)。特に大型になるほど、ムズッときて静かに押さえ込むようなアタリになる。

早アワセは禁物で、ウキが水中に沈んでからサオを立てれば、クロダイはハリ掛かりする。大型魚は、合わせた瞬間、根掛かりしたようなズシンとした感触があって、強烈な引き込みがくる。

ここで、あわててはいけない。無理にリールを巻くことはせず、ドラグやサオであしらいながら、魚の動きが弱ったら、リールを巻くようにする。

いったん水面に浮かせて空気を吸わせてしまえば、魚はおとなしくなる。

メジナ(グレ)釣り ※クロダイと人気を二分するおもしろさ

                               〔特徴〕メジナといえば通常は口太と呼ばれる地つきのメジナを指す。

              ほかにメジナより南方系のクロメジナ(沖メジナ、尾長グレ)、

              さらに南方系のオキナメジナの3魚種がいる。

              メジナとクロメジナは見かけがよく似ていて、外洋に面した釣

              り場では一緒に釣れることがあるので、よく混同される。

クロメジナはエラブタの縁が黒いことや尾ビレの切れ込みが深いなどの特徴があるので、これを見分けるポイントとする。

メジナは最大で60cmぐらい、クロメジナは最大で70cmぐらいまで成長する。

沿岸の岩礁帯を群れて回遊することが多く、エビなどの動物性のエサから岩ノリなどの植物性のエサまで食べる雑食性である。

〔シーズン〕ほぼ周年ねらえる。

〔料理〕刺し身、塩焼き、みそ漬け、ホイル焼きなど。

メジナ(グレ).jpg

磯釣り人気のトップの座を占めるメ

ジナ釣りの魅力は、細い仕掛けでの

スリリングなやり取りにある。ハリ

に掛けるまでのおもしろさがクロダ

イ釣りの魅力ならば、ハリに掛けて

からのおもしろさがメジナ釣りの魅

力とされている。

[フカセ釣りの道具と仕掛け

小メジナと呼ばれる幼魚のうちは、

簡単にハリ掛かりするが、大型にな

るほど警戒心が強くなり、簡単には

釣れなくなる。一般には、感度のよ

い小型ウキを使ったウキ釣りでねら

う。大きめのウキに寄せエサカゴを

付けて釣るカゴ釣りに対して、小さ

なウキの釣りをフカセ釣りとも呼ん

でいる。

サオは磯1~2号で長さ5.4m前後のも

のを使う。

リールは、中型のスピニングリール

を使うが、大型ねらいの場合は、急

激な魚の突っ込みに対応できるレバ

ーブレーキ式のリールを使うのもよ

い。

仕掛けは、上図のとおりだが、ウキはオモリを内蔵した円錐ウキを遊動式にして使うのが一般的だ。遠くへ流す時などは、潮によく乗る役目を持つ水中ウキを、円錐ウキの下に付けることもある。

[ポイントの選び方

釣り場に着いてまず悩むのが、ポイ

ントの選定。

メジナ釣り上達のコツは、何尾もハ

リに掛けて、サオのあしらい方、ハ

リスの強度の限界などを体で覚えて

しまうことである。そのためには、

型の大小を問わず、メジナが確実に

釣れるポイントを選ぶことから始め

よう。

メジナは、“サラシを釣れ”と言われ

る。サラシとは、波が磯に当たって砕け、白い泡状になったものだが、このようなサラシはメジナの絶好のポイントとなる。

最初は、近くにある岩礁に当たった潮が流れ去る脇か、潮裏のサラシが消えるあたりを攻めてみよう。ポイントが近いほど、自分でまいた寄せエサに、付けエサを流すことが簡単にできるからだ。また、サラシからの流れ出しと沖の潮が作り出す、流れのタルミなども好ポイントになる。

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[寄せエサと付けエサ

ポイントを決めたら、次の作業は寄

せエサ作り。臭いの出るもの、比重

の重いものなど2~3種類の配合エサ

をミックスして、海水を入れて練る

(手で握れるほどの硬さ)。これにオ

キアミを加える。

寄せエサができたら、まず足元にま

き、寄せエサが流れる方向、速さ、

沈み具合をしっかりと確認しておく。

最初に打った寄せエサが潮に乗って

流れ、見えなくなったら次の寄せエ

サをまく。

この間に、サオにリールや仕掛けを

セットして、釣りの準備を完了する。

エサのオキアミは、尾から刺してハ

リ先を腹に抜く腹掛けを基本に、遠

投する場合は、背に抜く背掛けにする。エサ取りが少ない時は、抱き合わせにエサを刺す。

[仕掛けの投入と誘い

仕掛けを投入する時の注意点は、風の向きと強さを計算し、仕掛けが絡まず、エサが落ちないように気を配ること。そのためには、サオの弾力を最大限に利用して、ソフトに振り込むことである。

問題はここからで、寄せエサの流れと沈下速度に合わせて、付けエサをコマセの中にいかにうまく入れていくかで釣果が決まる。逆に、寄せエサの帯から付けエサが離れてしまえば魚は食わない。風などの影響で、仕掛けが寄せエサより前に流れてしまう場合は、道糸を張って仕掛けを止め、もう一度寄せエサの中に仕掛けを入れるようにする。このように、道糸を張ったり緩めたりして、仕掛けをうまく寄せエサの帯のに入れるように流すのが、フカセ釣りの極意である。また、この動作そのものが、誘いにもつながる。

[アタリとアワセ

メジナのアタリは、ウキを小気味よく消し込んでいく。アワセはサオをソフトに立てればよい。大きなアワセは禁物だ。

理由は二つ。一つはアワセ切れを起こす危険があること。二つ目は、強いアワセはメジナをいたずらに驚かせて、沖に走らせる原因になるからだ。ただでさえパワーがあるメジナだから、ビックリさせると猛然と走り、根に潜ろうとする。25~30cm以下なら、サオの反発力で浮かせることができるが、それ以上のメジナだと、簡単に引き込みを止めることはできない。

メジナが走っている時は、絶対にリールを巻いてはいけない。サオの弾力で持ちこたえ、無理なら糸を送り、メジナの動きが止まったら、すかさず巻き取りに入る。

磯際まで寄せてきても、まだ油断はできない。玉網ですくうのは、頭を海面に出して十分空気を吸わせてからだ。

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ヒラマサ釣り ※磯の弾丸ライナーは体力勝負だ

                               〔特徴〕産卵から回遊経路など、不明な点が多い魚。大型は全長1m、

              体重20㎏以上になり、そのパワーはサオをへし折る威力を持

              つ。サバ、ムロアジ、イカなどの群れを追って水深100mより

              浅い根まわりから表層まで広く回遊する。同じ仲間のブリと形

              がよく似ているが、ブリより南方系の魚。

〔シーズン〕晩夏から初冬までが釣りのチャンスだが、年によってムラがある。

〔料理〕刺し身、塩焼き、しゃぶしゃぶなど。

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ヒラマサはブリに似ているが、その

パワーとスピードは、ブリをしのぐ

と言われる。いったんハリ掛かりす

ると、釣り場はさながら戦場と化し、

大物との熱い闘いが繰り広げられる。

力のかぎり魚と闘争してみたい、と

いう釣り人には、もってこいのター

ゲットだ。

[パワーのあるサオとリールで

なにしろ、ハリに掛かるとがむしゃ

らに突っ走る相手だけに、サオもリ

ーも丈夫なものでなければならない。

3㎏クラスまでなら、サオは磯ザオ

3号の5.3mクラス。リールは両軸リ

ールを使い、道糸はナイロン8号を

200m巻いておく。5㎏以上が回遊す

るようなら磯ザオ5号で道糸は12号

を巻き込んで、大物に対する万全の

備えをする。

ヒラマサの釣り方には、生きたエサ

を使った泳がせ釣りやフカセ釣りな

ど、地域ごとにさまざまな釣法があ

るが、入門にはカゴ釣りが無難だ。寄せエサに集まるヒラマサの習性を利用した釣法だから、ヒットする確率が高く、アワセのタイミングもやさしいからだ。また離れたポイントをねらうにも、このカゴ釣りが有利だ。

ハリスは細くても6号。8号を標準に5㎏以上が回遊するようなら10号以上に太くする。それでもリールのドラグを締めすぎたり、道糸がガイドに絡んだりすると、一発で切られてしまうことがある。

[掛けてからが本当の勝負

群れが大きい時は、仕掛けやエサ付

けが多少は雑でも食ってくる。この

点では、ベテランのみならず、ビギ

ナーにもチャンスは平等に訪れる。

ビックワンを手中に収めることがで

きるかどうかは、その後のやり取り

にかかっている。合わせた瞬間から、

ヒラマサは沖や根に向かって突っ走

る。この時はひたすらサオを立て、

道糸がリールからすべ出ていくにま

かせておく。

相手の動きが少しでも止まったら、

ポンピングをしながら一気に道糸を

巻き取る。途中で何度か反転して走

られるが、あわてずに道糸を送って

やる。強引なやり取りは、ハリス切れなど、ばらす原因遠になるだれである。

[情報キャッチと安全釣行を守ろう

磯からヒラマサが釣れる場所は、ほとんど限られている。釣行にあたっては、こうした釣り場に近い釣具店などから、よく情報をつかんでおくことが大切だ。また、イシダイ釣りと同様に、大物釣りでの単独釣行は危険なので、必ずベテランと同行すること。入門者でも基本技術をマスターすれば、大物を釣り上げることができる。

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イシダイ・イシガキダイ釣り ※めったに釣れない幻の魚だから、釣り人も熱くなる

                               〔特徴〕イシダイ、イシガキダイともに、潮流の当たる岩礁帯の底近く

              に生息し、甲殻類からサザエ、フジツボなどの貝類やウニ類ま

              で、その強靭な歯でかみ砕いて食べる。イシダイの幼魚には7

              本の横縞があるが、成長とともに薄れてゆき、一方、口の周辺

              は黒っぽくなり、クチグロと呼ばれるようになる。イシガキダイは、幼魚期にある石垣模様の斑紋が成長とともに薄れてゆき、イシダイとは逆に口の周辺が

白っぽくなり、クチジロと呼ばれるようになる。

〔シーズン〕春から晩秋までが釣期で、水温が15°C以下になると食いが極端に落ちる。

〔料理〕刺し身、塩焼き、みそ漬けなど。

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イシダイ野郎と呼ばれる石物師たち

は、脇目もふらずにイシダイだけを

追い求める。数年間磯に通って、1

尾も釣れないことも珍しくない。し

たがって、これから釣りを始めてみ

よとする人は、釣れないことを覚悟

で「ロマンを釣る」つもりでチャレ

ンジしていただきたい。

[入門者はベテランと同行を

イシダイを釣り上げるには、まず釣

り場の海底の状況を熟知していなけ

ればならない。

同時に仕掛け作りから磯でのサオの

セットの方法、アワセ、やり取りに

いたるまで熟練を要する。そこで、

友人や釣具店でベテランを紹介して

もらい、しっかり基礎を学ぶことを

おすすめする。3㎏を超すイシダイ

の引きは強烈だから、サオを立てる

ことさえままならない。したがって、

基礎体力も必要となる。

[サオと仕掛け、エサ] 

ハリに掛かったイシダイは、根に逃

げ込もうとする。その前に強引に相

手を浮かせるため、強い調子のイシ

ダイ専用ザオが必要になる。リール

もパワーのある両軸リールが必要だ。

仕掛けは根掛かりに対応できる、捨

てオモリ式が一般的だ。足元が急深

な釣り場では宙釣り仕掛けもよい。

ハリスと先糸は、根ズレで切れない

ようにワイヤーを使う。すべてが、

ごっつい道具立てとなる。

エサはサザエ、トコブシ、イセエビ、

ウニとぜいたくなエサを使うから、

1回の釣行にかなりの出費を余儀な

くされることも覚悟しておこう。

[ポイントとアタリ

イシダイは、潮が磯に当たる潮表の

溝や根際を好む。リールのバックク

ラッシュに気をつけながら仕掛けを

投入し、コマセを投入してからサオ

を置き、あとはじっとアタリを待つ。

ねらうポイントより少し沖めに投げ入れてからリールを巻き、溝や根際に仕掛けが入るよう

にするとよい。

エサにもよるが、イシダイにかぎって言えば、いきなりサオ先をひったくるようなアタリは、まずないと考えてよい。最初はコツコツと段をつけながら穂先を押さえ込むようなアタリが

くる。ここでサオを手に持ち、道糸に抵抗を与えずにそのまま待つと、サオがさらに絞られ

ていく。

最後にサオが海面に絞り込まれるような引き込みがくるから、ここで思い切りアワセをする。そして、根に潜られないようにサオを立て、ポンピングを繰り返しながら浮かせて取り込む。

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            〖潮回り〗

潮の干満の差は、大きくなったり小さくなったりするが、これは月の引力と太陽の引力が影響しあうために起こる。大潮は干満の差が大、小潮は差が小で、長潮、若潮、中潮はその中間のこと。

大潮では、潮の動きが速い。一般的に、潮が動かないと釣りにはよい条件ではない。だが、潮が速すぎても釣れないことがある。

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     ☞ 賢い道具の買い方 ☜

            少ない予算で大きな買い物

一度でも釣り具店に足を運んだことのある人は、あまりの釣り具の多さにボーゼンとしてしまったに違いない。サオひとつ取ってみても、数千円のものから何十万円もするものまであって、いったいどれを選べばよいのか・・・。

初心者にとっては、高い道具が使いよいとはかぎらない。逆に、いいかげんな道具では、釣れる魚も釣れないことがある。まずは、友人や船宿で道具を借りて使ってみることをおすすめする。そうすれば、どんな道具が使いやすいか、多少なりともわかるはずだ。それから買えば、無駄がない。

購入にあたっては、量販店であれ専門店であれ、最初に店の人に「初心者なんですが・・・」と言って、相談にのってもらうのがよい。ちょうどよいお買い得品が見つかるかもしれない。

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 販店か専門店か・・・?

ともかく安く買いたいとなれば、なんといっても“大量に仕入れて安く売る”量販店のほうがよい。バーゲン品も多いし、品数も豊富だ。特に、クーラーや防寒着などは、量販店の処分品がねらい目。一方、専門店は店員さんやご主人の親身なアドバイスやアフターケアがある。釣り場の情報にも詳しいことが多い。なじみになればディスカウントもOK。

いずれにしても、行きつけの店 を持つと、いろいろ有利になる。

      ☞ 道具とウェアの値段の目安 ☜

釣りを楽しむのに、いくらぐらい必要か知っておこう

〖道具〗/対象魚によって予算も違ってくる

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〖ウェア〗/期末バーゲンがねらい目だ

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(1998.9 書籍発行時値段)

      ☞ 危険な魚たち ☜

   ♦素手で触わると危ない魚や毒のある魚一覧♦

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釣り用語の基礎知識 ☜

⁑あ⁑

〖青潮(あおしお)〗海底の大きなくぼみで水がよどみ、有機物質が分解され酸欠状態になり、この水塊が風向きによって、表面近くの水と入れかわり、魚介類を死滅させる。潮が澄み、緑色がかることから、赤潮に対比して使われる。

〖青物(あおもの)〗、アジ、サバなど背が青い回遊魚の総称。

〖赤潮(あかしお)〗海水の富栄養化でプランクトンが異常発生し、無酸素状態になること。潮の色が赤っぽくなり、魚介類の大量死を招く。

〖アクション〗主にルアーの動きのことをいう。ルアー自体の動きに加えて、ロッド操作による動きを加えることもある。

〖上げ(あげ)〗上げ潮の略語。

〖アゴ〗ハリ先のモリ状に切り込まれた部分。カエシともいう。

〖アタリ〗魚がエサに食いついた時、サオやウキなどに出る変化。

〖当たりバケ(あたりばけ)〗魚がよくヒットする擬餌バリのこと。

〖アブレ〗魚がまったく釣れずに終わること。ボウズ、オデコともいう。

〖荒食い(あらぐい)〗魚が狂ったようにエサに食ってくること。

〖荒瀬(あらせ)〗川底に変化があり波立つような急流。〖アワセ(合わせ)アタリに合わせて、魚 をハリに掛けること。

〖アワセ切れ(合わせぎれ)〗、アワセが強すぎて、ハリスや道糸が切れてしまうこと。

〖アンドンビシ(行灯びし)〗下部にナマリのオモリを鋳込んだ行灯型の金属製のコマセカゴ。アジやイサキのビシ釣りに使われる。

⁑い⁑

〖居食い(いぐい)魚がエサを食ってもほとんど動かないこと。したがって、サオやウキにまったくアタリが出ないで、魚がハリに掛かる。

〖生けじめ(いけじめ)魚が生きているうちに急所をナイフなどで刺して殺すこと。魚の鮮度を保つために行う。生きじめともいう。

〖イシモノ(石物)イシダイ、イシガキダイのこと。

〖一荷(いっか)2本のハリの両方に魚が掛かること。つまり2尾、同時に釣れること。

〖居つき(いつき)ひとつの場所にすみついて、他へ移動、回遊しない魚のこと。通常は、体色で判断できる。

〖イッテコイ(行ってこい)ハリスが自由に動く遊動仕掛けのこと。魚に抵抗感を与えずにエサを食わせることができる。

〖糸フケ(いとふけ)潮や風に流されたり、オモリが海底につくなどして道糸にたるみが出ること。

〖入れ食い(いれぐい)エサを入れた途端に魚がエサを食ってくる状態が続くこと。

〖印籠継ぎ(いんろうつぎ)並継ぎに対する言葉。竹または合成樹脂などを芯にしてサオを継ぐ方法。

⁑う⁑

〖ウィードベッド水面に水草や水藻が繁茂している場所。

〖ウェーダー股下または胴までの長さのゴム長靴。渓流釣りや磯の小物釣りなどに使われる。

〖ウェットフライ水面下を流れるように作られたフライ。↔ドライフライ

〖ウキ下(うきした)ウキからオモリ(またはハリ)までの長さ。

〖右舷(うげん)船首に向かって右側を右舷という。面舵。

〖打ち込み(うちこみ)ねらったポイントへ仕掛けを投入すること。

〖馬の瀬(うまのせ)海や川の底が馬の背のように盛り上がった場所。

〖上潮(うわしお)海面に近い部分の潮の流れ。

〖上ずる(うわずる)水温や気圧などの要因で、魚が通常の泳層よりも上層に浮くこと。

〖上物(うわもの)カツオ、シイラ、メジマグロなど海面近くを泳ぐ魚の総称。ただし、磯での上物釣りという場合は、メジナ、ヒラマサなどの中層魚も指す。

⁑え⁑

〖エサ取り(えさとり)エサを盗み食いしてしまう目的以外の小魚。

〖枝ハリス(えだはりす)道糸に枝のように付けられたハリスのこと。枝素(えだす)ともいう。

〖エラ洗い(えらあらい)ハリに掛かった魚が海面に躍り出てエラを広げて首を振り、ハリをはずそうとすること。スズキのエラ洗いが有名。

〖円錐ウキ(えんすいうき)〗上下が円錐状になった、ドングリ型のウキ。メジナ、クロダイ釣りなどに使う。〖堰堤(えんてい)水勢や水量を調節するために造られた堰。大規模なものがダム。

⁑お⁑

〖追い食い(おいぐ)①1尾がハリに掛かったあと、残りのハリにも魚が食ってくること。②一度エサを離した魚が、再びエサに食ってくること。

〖大ドモ(おおども)船の左舷後方の釣り座。

〖大場所(おおばしょ)ポイントが多数点在する広い釣り場。

〖おかっぱり〗岡、陸から釣ること。船釣りに対して、岡釣り(陸釣り)という

〖沖揚がり(おきあがり)〗沖釣りで釣りをやめて帰路につくこと。

〖置きザオ(おきざお)サオ掛けなどにサオを置いたままアタリを待つ釣り方。

〖送り込み(おくりこみ)アタリがあってもすぐに合わせず、サオ先を下げたり、道糸を出して、エサをしっかり食い込ませること。

〖オダ川や沼で、木の枝などを積み重ねて作った魚の寄せ場。

〖落ち(おち)浅場にいた魚が、産卵もしくは越冬のため深場へ移動すること。アユは河口に向かう。

〖落ち込み(おちこみ)①渓流で落差のある場所。②エサが落ちていくこと。

〖オデコ〗魚が1尾も釣れないこと。オデコには毛が1本も生えないことが語源。ボウズ、アブレとも。

〖落とし込み釣り(おとしこみづり)エサをサオ下に自然に落とし込んで釣るクロダイ釣法。

〖オマツリ〗他人の仕掛けと絡むこと。

〖面舵(おもかじ)船を右旋回させるために切る舵のこと。転じて船の右舷のこと。

〖オモリ負荷(おもりふか)〗そのサオに使えるオモリの最大許容重量。サオによって異なる。

〖親バリ(おやばり)2本バリ仕掛けでメインの役目をするハリのこと。↔孫バリ

⁑か⁑

〖ガイド〗①リールザオに一定間隔で付けられた道糸を通す環。②釣り場案内人。

〖カウントダウンルアー釣りで、キャストしたルアーを、カウントを数えながら沈ませる方法。カウント数で沈んだ水深がわかる。

〖カエシハリのアゴこと。

〖替えスプール(かえスプール)交換用のリール・スプールのことで、予備の道糸を巻いて、不測のトラブルに備えておくもの。

〖カカリ〗海水中にある岩などの障害物。

〖隠れ根(かくれね)〗海面下に隠れている岩礁のこと。

海釣りの好ポイントの一つである。

〖カケアガリ〗水底の状態のことで、深場から浅場に

向かっての斜面をいう。好ポイントになる。

〖掛け釣り(かけづり)〗エサを付けない掛けバリで引っかけて釣る釣りの総称。カットウ釣り、コロガシ釣りなどがある。

〖カゴ釣り(かごづり)〗オキアミなどの寄せエサを専用のカゴに詰めて遠投して釣る磯釣りの方法。

〖河岸払い(かしばらい)〗船がもやい網を解いて、船着き場から出発すること。

〖型(かた)〗魚の大きさ。②魚が釣れること。「型を見る」

〖片舷(かたげん)〗①右舷もしくは左舷のどちらか一方。②片側だけで釣りをさせる片舷釣りのこと。

〖片テンビン(かたてんびん)両テンビンに対し、片側だけのテンビンのこと。片テンともいう。

〖カッタクリ釣り(かったくりづり)〗擬餌バリを手で変化をつけながらしゃくり上げて、魚の食い気を誘う手釣りの方法。

〖カッツケ〗ヘラブナ釣りで水面1mぐらいまでのタナで釣ることをいう。

〖カットウスレバリ(掛けバリ)とオモリ、エサまたは擬餌を組み合わせた掛け釣りの仕掛け。

〖カブラハリの結び目の所に付けるオモリのこと。マダイのビシマ釣りでは、ナマリの中に親バリを仕込んだカブラオモリを使う

〖カマ窯のように深くえぐれた滝つぼや淵のこと。

〖カミツブシ歯でかんでイトに付ける小型オモリ。割りビシ。

〖空アワセ(から合わせ)〗アタリがなくても、アワセをすること

〖ガンガン渓流や潮流が音を立てて流れるさま。

〖ガン玉(がんだま)球形の小さな割りビシ。極小のものはジンタンともいう

⁑き⁑

〖聞きアワセ(きき合わせ)魚を驚かせないよう、ゆっくりサオを立てて合わせること。

〖聞く(きく)はっきりとしたアタリが出ない時に、魚が食っているかどうか、道糸をそっと張ってようすを見ること。

〖擬餌(ぎじ)エサに似せた擬餌バリや擬餌エサの総称。ルアー、フライなどがその代表。

〖汽水域(きすいいき)川の下流部で淡水と海水が入りまじる水域。ハゼ、ボラ、スズキ、クロダイなどの絶好の生息場所になる。

〖キャスティング仕掛けやルアーを投入すること。

〖ギャフ魚を取り込むための手カギ

⁑く⁑

〖食い(くい)魚の就餌状態をさす。

〖食い上げ(くいあげ)エサをくわえた魚がエサより上方に向かって泳ぐこと。ウキが持ち上げられたり、オモリが軽くなる。

〖食い渋り(くいしぶり)魚に食欲がなく、エサを追わないこと。

〖口を使う(くちをつかう)魚に食欲があること。食い気のないことを口を使わないという。

⁑け⁑

〖蛍光ライン(けいこうライン)蛍光色を染め込んだイト。道糸の状態を見る必要がある釣りに使われることが多い。

〖消し込み(けしこみ)ウキを一気に水中に引き込むアタリ。魚の食いが活発なことを示す。

〖ケーソン防波堤などを構成している巨大なコンクリートブロック。

〖外道(げどう)〗ねらった以外の魚のこと。

〖ゲーム・フィッシング魚を釣るためのテクニックやファイトなどを目的とする釣り。原則として釣った魚はリリース(放流)する。ブラックバス、ヘラブナ釣り

などが代表。

〖ケン付きバリ(けんつきばり)エサ落ちを防ぐため軸にカエシの付いているハリ。

⁑こ⁑

〖小突く(こづく)小刻みにオモリで海底をたたいて魚の就餌を誘うこと。

〖木っ葉(こっぱ)木の葉ぐらいの大きさという意味で、体長5~6cmぐらいの幼魚のこと。木っ葉ガレイなどと使う。

〖コマセ寄せエサ、マキエサのこと。

〖五目釣り(ごもくづり)〗同じ釣り場でいろいろな魚種を釣ること。

〖ゴロタまるい大きめの石。そうした石の多い所をゴロタ場という。

〖婚姻色(こんいんしょく)産卵期が近づくと生じる魚の体色の変化。性ホルモンの作用で赤味を帯びることが多い。

⁑さ⁑

〖サイマキ小型のクルマエビ。マダイ釣りのエサなどに使う。

〖サオ上げ(さおあげ)船釣りで釣り場を移動する時、いったん仕掛けを上げること。

〖サオ頭(さおがしら)〗乗合船で、その日一番の釣果をあげた人のこと。

〖サオ下(さおした)サオの長さの範囲内の海面下のこと。

〖サオ尻(さおじり)〗釣りザオの手元側の末端部。

〖逆潮(さかしお)風の向きと潮の流れが正反対のこと。ただし地方によっては、別の意味に使われることがある。

〖先糸(さきいと)〗道糸の先に付けるイト。投げ釣りの力糸も先糸の一種である。

〖先調子(さきちょうし)サオの曲がる起点がサオ先のほうにあるもの。

〖下げ潮(さげしお)〗引き潮のことで、下げともいう。

〖ささ濁り(ささにごり)海や川の水がいくぶん濁っている状態。潮況としては絶好である。

〖刺しエサ(さしえさ)〗付けエサのこと。

〖誘い(さそい)魚の食いの悪い時サオを引き、エサを動かすこと。

〖誘い上げ(さそいあげ)動くものや逃げるものを追う魚の習性を利用して、食い気を誘うためにゆっくりと仕掛けを上げること。

〖サビキ仕掛け(さびきじかけ)魚皮、スキンなどをハリに巻いた擬餌バリを何本も結んだアジ、イワシ釣りなどに使う仕掛け。

〖さびく〗追い食いを利用した釣法で仕掛けを少しずつ引くこと。しょびく、しゃびくともいう。

〖サーフェス〗水面のこと。

〖サミング〗両軸リールのスプールを親指で押さえて、道糸の出るスピードをコントロールすること

〖サラシ〗波が岩礁に当たって白くアワ立つこと。

こうした場所をサラシ場という。

〖ザラセ〗底が小石で、流れの緩やかな瀬。

〖沢(さわ)〗渓流に流れ込む谷間の支流。

⁑し⁑

〖時合い(じあい)〗魚の食いが立つ時間帯のこと。本来は株の売買の好機のこと。

〖地磯(じいそ)陸続きの磯。

〖潮表(しおおもて)〗沖からの潮が直接当たる場所。

〖潮通し(しおどうし)〗潮の流れ。

〖潮回り(しおまわり)潮汐のこと。

〖潮目(しおめ)2種類以上の潮が接する境い目のこと。

〖仕掛け(しかけ)魚を釣るための道具立て。狭義には先糸からハリ先まで。

〖ジギング岩下のエグレや深場などをねらって、ジグ・タイプのルアーを沈め、ロッドでしゃくりながら魚を誘うテクニック。

〖ジグ〗鉛などでできた重めのルアー。主として底をねらう

〖治具(じぐ)深場釣り用の多数のハリが付いた仕掛けを巻く道具。

〖時化(しけ)海が荒れること

〖七三調子(しちさんちょうし)サオを10等分し、穂先から3(サオ尻から7)の部分から曲がるサオ調子のこと。

〖試釣(しちょう)試し釣りのこと。

〖尻手(しって)大物の引き込みに備えサオ尻につけるイトのこと。尻手糸ともいう。

〖絞り込み(しぼりこみ)魚の引きが強く、サオを引き込むことをいう。

〖締め込み(しめこみ)絞り込み。

〖締める(しめる)魚が生きているうちに殺して鮮度を保つこと。魚の鮮度を保つ方法の一つ

〖シモリ仕掛け(しもりじかけ)玉ウキなどを半分以上、水の中に沈めて釣る仕掛け。

〖シャクリマダイ釣りなど、短ザオを使ってサオをあおる動作を繰り返し、エサを躍らせて魚の食いを誘う釣法と仕掛け。

〖尺上(しゃっかみ)1尺(約30cm)以上の魚のこと。主に、ヘラブナに使う。

〖シャロー水面から3m以内の浅い所。

〖就餌(しゅうじ)魚がエサを食べること。

〖出世魚(しゅっせうお)成長するにつれ呼称が変わる魚。(例①セイゴ→フッコ→スズキ 例②ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ 例③スバシリ→イナッコ→ボラ→トド)

〖正舷(しょうげん)船の舳先(へさき)。ミヨシ。

〖シンキング・プラグ)〗ルアーの一種。比重が水よりも重く、自重で水中に潜るタイプのプラグ

⁑す⁑

〖洲(す)海や川で流れによって砂が一か所に堆積し露出した部分

〖吸い込み釣り(すいこみづり)〗練りエサの中に数本のハリを埋め込み、エサといっしょに食い込ませる釣法。コイ釣りなどに使われる。

〖水中ウキ(すいちゅううき)風の影響などで水面近くと下方の潮の流れが違う場合に使う、浮力がマイナスの沈む円錐ウキ。潮流によく乗る。

〖スイベルヨリモドシのこと。

〖スカリ太めの糸で編んだ磯釣り用の魚入れ。

〖スキンサビキ〗スキン(薄いゴム)をハリに巻いたサビキ仕掛け。

〖裾(すそ)その日に一番釣れなかった人のこと。

〖捨て石(すていし)防波堤などの周囲に沈められている石。

〖捨てオモリ(すておもり)荒い岩礁帯の釣り場で、根掛かりしたらオモリだけが切れるように、ハリスや道糸より細いナイロンでオモリを結んだ仕掛け。

〖ストリンガー釣った魚を生かしたままつないでおく用具。ナイロン製、金属製がある。

〖砂ずり(すなずり)〗投げ仕掛けの幹糸のこと。海底の砂をこするところから出た呼び名。

〖巣離れ(すばなれ)春になり水がぬるむにつれて、深場で越冬していた魚が浅場へ移動すること。

〖スピナー水の抵抗で上部に付いたブレード(翼)が回転するように作られた小型のルアー。渓流のルアー釣りで多用される。

〖スプールリールの糸巻き部分。

〖スプーン〗スプーンの形状をした金属製先のルアー。ルアーの原型とされる。

〖スレ魚の口にハリが掛からないで、そのほかの所に掛かること

⁑せ

〖瀬(せ)〗川や海で流れの速い所。海釣りでは、海の中の浅くなった部分をさすこともある。

〖瀬ウキ(せうき)瀬釣り用に作られたウキ

〖背掛け(せがけ)〗生きエサ釣りで、魚の背部にハリを掛けること。オキアミなどのハリ付けの時、ハリ先を背のほうに出す方法をいうこともある。

〖瀬頭(せがしら)瀬の始まる部分。

〖堰(せき)川の水量を調節するために作られた堤。

〖瀬尻(せじり)瀬の終わる部分。

〖セル玉セルロイド製の玉ウキという意味。今はプラスチック製。

⁑そ⁑

〖底荒れ(そこあれ)〗時化(しけ)で海が荒れ、海底の砂などが舞い上がった状態のこと。

〖遡行(そこう)〗川を上流に向かって釣り上がること。

〖底立ち(そこだち)〗オモリが海底に着くこと

〖ソコリ〗干潮のこと。

〖ソフト・ルアー〗軟らかい合成樹脂などで作られたルアー。ミミズやエビ、カエルなどに似せたものがある。

〖ソリッド〗中空になっていないサオや穂先のことをいう。

⁑た⁑

〖タチ〗①水深のこと。②オモリが海底に着くこと。タチを取るなどと使う。

〖タナ魚の泳層。

〖タナ取り(たなどり)〗魚の泳層に仕掛けを合わせること。

〖タモ〗玉網のこと。

〖短ザオ(たんざお)その釣りにとっては比較的短いサオ。船釣りでは1.5m前後のサオをさすが、淡水の釣りでは3m前後のものを短ザオとよぶことがある。

⁑ち⁑

〖力糸(ちからいと)投げ釣りの時、道糸の先につける先糸のことで、オモリ側が太く、道糸側がしだいに細くなるテーパーのついたイトのこと。

〖チチワイトとイト、イトと接続具などを結ぶための糸先に作る輪。

〖チモトハリのイトを結ぶ部分。すっぽ抜けを防ぐための糸止めがある。

〖釣果(ちょうか)〗釣った魚の量や大きさ

〖釣行(ちょうこう)釣りに出掛けること。

〖釣趣(ちょうしゅ)釣りの味わい

〖沈床、沈礁(ちんしょう)水の流れをやわらげるために、水中に設置された障害物。

⁑つ

〖付けエサ(つけえさ)ハリに付けるエサのこと。魚を集める寄せエサ(=コマセ)と区別している。

〖ツヌケ10尾以上釣ること。ひとつ、ふたつ・・・の「つ」がなくなるのは十からなので。

〖ツノ海釣りの擬餌バリの一種。

〖釣り座(つりざ)釣るための場所。

⁑て

〖ティペットフライフィッシングでフライを結ぶハリスのこと。

〖デキその年に生まれた1年魚。当歳魚。できたてが語源。

〖テグス釣り糸のこと。昔は野生のガのマユからとったイトを釣り糸に使っていて、テングス(天蚕素)と呼んでいたところから、釣り糸を今でもテグスと呼ぶ人がいる。

〖手尻(てじり)サオの全長より長い仕掛けの部分のこと。

〖手前マツリ(てまえまつり)自分で自分の仕掛けを絡めること。

〖テンビン道糸と仕掛けの間に付ける金具。仕掛けの絡むのを防ぐ。

〖テンヤオモリにハリを埋め込んだシャクリ釣り用の仕掛け。マダイやコチ釣りに使う。

⁑と⁑

〖当歳魚(とうさいぎょ)〗その年に生まれた1年魚。デキ

〖胴突き(どうづき)〗仕掛けの最下端にオモリを付け、幹糸に何本かの枝ハリスの付いた仕掛け。胴付きと書かれることもある。

〖胴の間(どうのま)船の左右中央部に位置する釣り座。

〖遠矢ウキ(とうやうき)遠矢国利氏が作った海釣り用のオモリ内臓の立ちウキ。

〖トップウォーター〗水面のこと

〖飛ばしウキ(とばしうき)〗仕掛けを遠くに飛ばすためのウキ。アタリを取るためのアタリウキとセットで使う。

〖トモ(艫)船尾のこと。

〖ドライフライ水に浮くタイプのフライ。↔ウェットフライ

〖ドラグ魚の急激で強い引き込みに対応するためのリールの装置。あらかじめセットされた以上の力が加わると、スプールが逆転してイトが出るようになっている。

〖取り込み(とりこみ)掛けた魚を水面から上げること。

〖トリヤマ(鳥山)〗大きな魚に追われて海面近くに浮いたイワシなどの小魚をねらって、カモメなどの鳥が群れる状態。

〖トロ場(とろば)流れの緩い川の深場。

⁑な

〖中洲(なかす)川の中央部にできた砂の堆積地。

〖ナギ(凪)風がなく、波もない状態。

〖ナブラ〗魚の群れのこと。

〖並継ぎ(なみつぎ)サオの継ぎ部分の構造の一種で、多くのサオはこの継ぎ方になっている

〖ナライ北風の

⁑に

〖二枚潮(にまいじお)〗上層と下層の潮の流れの速度や方向が違うこと。

⁑ぬ

〖縫い刺し(ぬいざし)ハリで縫うようにエサを刺すエサの付け方

⁑ね

〖根(ね)〗海底や川底にある岩礁。沈み根、隠れ根などのようにも使われる。魚のすみかとなるので、好ポイントとなることが多い。

〖ネイティブ自然の、天然の、という意味で、釣りでは養殖魚や放流魚に対して天然魚をさす。

〖根掛かり(ねがかり)ハリやオモリなどが水中の障害物に引っかかること。

〖根ズレ(ねずれ)仕掛けが海底の岩礁にすれること。

〖年なし(ねんなし)生まれてどれぐらいたったかわからない魚。老成魚。

⁑の⁑

〖納竿(のうかん)〗サオをしまってその日の釣りを終えること。

〖のされる〗魚の引きが強くて、サオと道糸がまっすぐになってしまうこと。ハリス切れを起こす。

〖野じめ(のじめ)〗魚の鮮度を保つため、釣った魚を生きているうちにその場で殺すこと

〖乗っ込み(のっこみ)〗産卵ため魚が浅場に群れでやってくること。

〖ノベザオ〗継ぎ目のない長めの一本ザオのこと。

借ザオなどに使われる竹ザオが代表的。

〖のまれる〗魚にエサをハリごとのみ込まれてしまうこと。

⁑は⁑

〖場荒れ(ばあれ)〗釣り人が大勢入り、乱獲で魚が減ってしまうこと。

〖配合エサ(はいごうえさ)何種類かのエサの素材を配合して作られたエサ。

〖ハエ根(はえね)〗磯の下から水中に張り出している岩礁

〖バケ〗海釣りで使う擬餌の総称。

〖箱釣り(はこづり)ヘラブナ釣りで、野釣りに対して釣り堀(箱)での釣りをいう。

〖バザー〗ブラックバスを専門にねらう釣り人。

〖バックラッシュ両軸リールで、リールからのイトの出よりスプールの回転が早すぎて、イトがグシャグシャに絡む状態。

〖鼻掛け(はながけ)魚の鼻にハリを刺し、エサにすること。

〖パーマ〗イトに、パーマネントのような不自然なクセがついてしまうこと

〖パーマークサケ科の幼魚の体側に現れる小判型の斑紋のこと。

〖ハミ跡(はみあと)アユが川石につけた、水ゴケの食べ跡

〖早アワセ(はや合わせ)アタリがあった時、間髪を入れずに合わせること。

〖ばらすハリ掛かりした魚を逃がしてしまうこと。

ばれるともいう。

〖ハリスハリを結ぶためのイト。

〖万能ザオ(ばんのうざお)とくにねらう魚種を限定しないオモリ負荷や弾力に幅のあるサオ。

⁑ひ

〖ビク釣った魚を入れておく入れもの。

〖ビシ漁師言葉でオモリのこと。

〖ビシマ糸(びしまいと)マダイ釣りなどに使うイトで、道糸に小さなオモリを一定間隔でかみ付けたもの。

〖ヒット魚が掛かること。

〖ヒロ1ヒロとは、両手をいっぱいに広げた長さで約1.5m。水深を表す時に使われる。

⁑ふ⁑

〖フカセ釣り(ふかせづり)オモリをまったく付けないか、小さなオモリだけでエサが自然に流れるように工夫しながら釣る釣り。

〖房掛け(ふさがけ)一つのハリにエサをいっぱい付けること。

〖淵(ふち)〗川の流れがよどんで深くなった所

〖プラグ木やプラスチックを使って、小魚や小動物、昆虫などをまねて作られたルアー。

〖ブラクリ仕掛け(ぶらくりじかけ)オモリのすぐ下にハリを結んであるアイナメ釣り専用の仕掛け。

〖フラシヘラブナ釣りなどで使う網製の大型ビクのこと。

⁑へ⁑

〖ベタナギ〗無風で波もなく、鏡のような水面の状態

〖ヘチ〗水際のこと。防波堤釣りでは、堤壁のすぐ近くを示す。

〖ヘビグチ(蛇口)サオの先端にある道糸を結び付ける部分。

⁑ほ

〖ポイントその釣り場の中で、魚が釣れる可能性の高い所。

〖ボウズ魚がまったく釣れないこと。

〖ホソ小さな川や水路。細流。

〖ポンピングサオをあおりながら、リールを巻き上げること。大型魚を引き寄せる時に使われるテクニック。

⁑ま

〖まき餌(まきえ)魚を寄せるためにまくエサ。寄せエサ、コマセのこと。

〖孫バリ(まごばり)2本バリ仕掛けでの補助の役目をするハリのこと。↔親バリ

〖まずめ〗日の出と日没前後の時間帯。魚の食いが活発になる。それぞれ朝まずめ、夕まずめという。

⁑み

〖ミオ船が浅瀬を通れるように掘った水路

〖幹糸(みきいと)胴突き仕掛けやサビキ仕掛けで枝ハリスを取り付ける幹となるイト

〖身切れ(みぎれ)〗スレでハリ掛かりした魚の身が切れて逃げてしまうこと。

〖道糸(みちいと)サオと仕掛けをつなぐイト

〖ミノー)〗小魚に似せて作ったルアー (本来は小魚の意味)

〖ミヨシ(舳)船首のこと。

⁑む

〖向こうアワセ(むこう合わせ)釣り人側で合わせなくても、魚のほうから勝手にハリに掛かってくること。

⁑も

〖モジリ魚が水面近くで動いて、できる波紋。

〖モタレ魚がエサを食い、わずかな重量感がサオ先に伝わること。

⁑や⁑

〖矢引き(やびき)〗弓を引くようにした時の、右肩の付け根から左手指先までの長さ。

〖山立て(やまだて)〗漁師が、陸地の山や樹木などの目標物の重なりを目印に、海上での位置を知る方法。

⁑よ⁑

〖ヨプ〗波や潮によってできる砂底の起伏。投げ釣りの好ポイントになる。

〖寄り(より)魚が群れる状態。

⁑ら⁑

〖ライズ〗魚がエサを追って水面ではねること

〖ランディング〗魚を取り込むこと。

⁑り

〖リトリーブキャストしたルアーやフライを巻き取ること。

⁑る

〖ルアー〗ハリがついた金属やプラスチック製などの擬餌。スプーン、スピナー、プラグなどがある。

⁑わ

〖ワームミミズに似せたプラスチック・ワームの略称。

〖割りビシ(わりびし)割れ目を入れた小型のオモリ。カミツブシともいう。

〖ワイド小さな湾のようになった岸辺の部分。

釣りの歴史 ☜

 釣りの起源は少なくとも約4万年前の旧石器時代まで遡ることができる。

 娯楽を目的とする釣りも、古代中国古代ギリシア古代ローマなどで古くからみられた。

 ヨーロッパでは、中世になって遊漁(遊びの釣り)が目覚ましい進展をみせた。

 イギリスでは、アンブロズ司教など釣り好きの聖職者が輩出し、魚や釣りの本も相次いで出版された。

たとえば、1494年のイギリスでは「世界で最初の釣り入門書」ともされている本が出版された。これはジュリアナ・バーナーズという女性によるものである。

 

​ 1653年には、「釣りの聖書」とも

され現在でも版を重ねている本が出版

された。それはイギリスのアイザック

・ウォルトン Izaak Walton (1593

―1683)The Compleat Angler

ザ・コンプリート・アングラー (邦訳

釣魚大全』、ちょうぎょたいぜん)

ある。

これには、「静思する人の行楽」とい

う副題がついており、中世ヨーロッパ

人の趣味への探求心が溢れている。

 

 1900年パリ・オリンピックでは

釣りが競技種目の一つとして採用され、

セーヌ川で釣果が競われた。

 日本では、石器時代の遺跡から骨角器

が見つかる。

 日本では、縄文時代釣り針が出土してお

り、刺突具で魚を捕えることと併用して、

を得るために用いていた。

 奈良時代平安時代には、貴族たちの間で行われていた。

 江戸時代ごろから、さかんに一般庶民の間でも趣味として行われるようになった。江戸時代は数百年にわたり大きな戦争のない日々が続いたので、遊びが盛んになったわけである。特に江戸の街には水運網、水路網が張り巡らせてあったので、釣り場がいたるところにあったため、江戸の庶民によって盛んに行われた。

 近年の日本では「釣り人口、2000万人」と言われるまで、趣味で釣りを行う人々の人数が膨張してきた。

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        《ミツカン水の文化センター》

                www.mizu.gr.jp

           機関紙『水の文化』59号より 抜粋 

   『水の文化』59号

    釣りの美学

            ――静寂と興奮の狭間で

     www.mizu.gr.jp/kikanshi/no59/index.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 古来、釣りは趣味として、またはスポーツとして親しまれてきた。例えば1653年に出版されたIzaak Waltonの "The Compleat Angler”(邦題『釣魚大全(ちょうぎょたいぜん)』)は哲学に始まり(釣りをする前に)、魚の種類、釣り方、さばき方、料理方法などまでを綴った「釣り人の聖書(バイブル)」と呼ばれる。かの開高健もこの書の愛読家であり、釣りをするときは〈そこにある静かなることを学べ(Study to be quiet)〉という言葉を一番大切にしていた。

 日本でも1723年(享保8)に旗本の津軽采女(つがるうぬめ)が著したとされる『河羨録(かせんろく)』や江戸後期に黒田五柳が書いたとされる『釣客伝(ちょうかくでん)』において、釣りの心得や準備に始まり、やはり魚の種類と習性や釣り方、料理方法まで記されている。

 このように、釣りは多くの釣り人によって、静寂と興奮の狭間で支持されてきた。それはなぜなのか。そして、魚を釣るという行為を通じて生まれる「水と人との関係性」についても考えてみたい

  江戸で花開いた釣りの文化
        ──徳川治世下の釣客群像

        www.mizu.gr.jp/kikanshi/no59/02.html

 静寂と興奮という二面性をもたらす「魚を釣る」という行為は、江戸時代から本格化したといわれている。なぜ江戸時代に釣りが栄えたのか?『江戸の釣り―水辺に開いた趣味文化』や『釣魚をめぐる博物誌』などを著した長辻象平さんに、当時の時代背景などを含めて、日本の釣りの歴史について語っていただいた。

 ✤インタビュー✤(2018年4月25日取材)

 長辻 象平(ながつじ しょうへい)さん
 産経新聞 論説委員/釣魚史研究家/小説家

1948年鹿児島県生まれ。京都大学農学部卒業(魚類生態専攻)。同大理学部研修員を経て産経新聞社入社。シンクタンク主任研究員、平凡社『アニマ』編集部員を経たのち産経新聞社に復社。著書に『江戸釣魚大全』『江戸の釣り―水辺に開いた趣味文化』『釣魚をめぐる博物誌』などがある。また、2003年には小説『忠臣蔵釣客伝』を著すなど作家としても活動中。

   なぜ江戸の武士は釣りに興じたのか

古事記』や『日本書紀』に見られる古墳時代の釣りは戦運を占う神事でした。平安時代前期には淳和(じゅんな)天皇、仁明(にんみょう)天皇が遊びで釣りをした記録もありますが、鎌倉・室町時代を通じて釣りの記録は乏しいです。

 遊びの釣りが発達したのは江戸時代になってから。それにはさまざまな要因がありますが、ひと言でいえば徳川幕府の成立によります。幕府のしくみの下に寺院勢力が抑え込まれ、仏教思想の影響力が衰えて殺生への抵抗感が薄れました。目の前に広がる内湾の江戸湾は利根川水系の大河が運ぶ土砂で大小の洲が発達し、多くの魚介類を育み、沿岸部には水運用の掘割(ほりわり)や人工の水路網が発達して、釣りには申し分のない環境でした。

 さらに、江戸には暇な侍が多くいました。幕府も各藩も、戦国時代の軍事体制をそのまま平和な時代に移行させたので、余剰人員が出たのです。江戸中期には旗本、御家人の約4割が、城の改修工事くらいしか仕事のない小普請組(こぶしんぐみ)や寄合組(よりあいぐみ)に属していました。時間に余裕があって目の前が絶好の環境となれば、武士の間で釣りが盛んになったのも不思議ではありません。

 江戸時代に釣りが発達したもう一つの重要な理由は、魚に警戒心を抱かせない半透明な釣り糸「テグス」の普及です。テグスの原料は中国に生息するテグスサンという蛾の幼虫。体内の絹糸腺(けんしせん)を抜き出し、酢に浸して引き伸ばし陰干しにしてつくります。川の水が濁っている中国では釣り糸としては利用されず、日本へ輸出する薬の梱包に使われていました。これに大阪の漁師が目を付け、江戸にも伝わったのです。

 江戸幕府に関係した釣りの発達の要因をさらに付け加えれば、石船の難破。江戸城築城のため静岡方面からの石を山積みした船が江戸湾で幾度も沈没し、格好の人工漁礁ができました。タイやアイナメなど岩礁性の魚が集まってきて、おあつらえ向きの釣り場になったのです。

「生類憐みの令」で中断もその後は庶民へ拡大

 遊びとしての江戸の釣りは、武士の間に興った第1期、「生類憐みの令」で禁制となった暗黒時代に始まる第2期、庶民層にも広まった第3期に大きく分けられます。

 第1期を代表する人物が徳川家康の曽孫の松平大和守直矩(まつだいらやまとのかみなおのり)。その克明な日記によると、家臣を連れてよく江戸湾で釣りをしています。1659年(万治2)9月23日の大和守一行のハゼ釣りが、日本最古の本格的な遊びの釣りの記録です。

 その23年前に没した戦国大名の伊達政宗もまた、釣りを好みました。彼は能の「鵜飼」の一節を釣りにたとえ「罪も報いも後の世も忘れ果てておもしろや」と仏教思想の呪縛からの解放を謳歌しています。完成を見ませんでしたが、フナ釣りのための池を設計させました。

 安永年間(1772-1781)までの第2期を画する人物は、享保年間(1716-1736)初期の江戸湾での釣りの実相を記録した『何羨録(かせんろく)』の著者、津軽采女(つがるうぬめ)です。

 弘前の大名、津軽家の分家に生まれた三代目当主で、四千石の旗本。将軍綱吉の秘書官である側小姓(そばこしょう)に抜擢されました。吉良上野介の娘婿でしたが結婚1年で若妻に先立たれます。その後、赤穂浪士の討ち入りがあり、親戚づきあいが続いていたので吉良側の人間として冷たい目で見られていたようです。

 彼は城中で足を怪我し、出仕から1年半足らずで側小姓を辞退し閑職の小普請組へ。怪我の理由はわかりませんが、辞めた時期に重なる1693年(元禄6)、綱吉による「釣魚釣船禁止令」のお触れが出ているので、なにやら意味深です。

 同禁止令では漁師の漁労は認められましたが生魚の流通は厳しく制限されました。死んだ魚ならよいが、その場で活(い)け締(じ)めして売ってはいけない。殺生と血の穢(けが)れを嫌う仏教思想の復活です。夏にはすぐに腐敗が始まって漁師、魚屋は大弱りでした。

 余談ですが、「生類憐みの令」で保護した十万匹にも及ぶ犬を綱吉が大久保と中野で飼育できたのは、マイワシの百年に一度の豊漁期に重なっていたからです。イワシの干物は犬のエサの蛋白源でした。

 綱吉が没すると「自分の死後も続けよ」との遺言にもかかわらず「生類憐みの令」は即日廃止されます。15年間に及ぶ釣りの暗黒期は終結し、再び盛んになりました。

 やがて釣りの愛好者が庶民層にまで拡大すると、一般向けの釣りの入門書も普及します。1770年(明和7)に出版された木版刷の最初の釣りの書物『漁人道しるべ』は『何羨録』の抜粋、要約でした。1788年(天明8)の『闇のあかり』は、陸釣りで人気だったボラの幼魚、スバシリを主体とし、釣り道具屋と釣り場も紹介されています。この年には江戸で初めての船宿も開業されました。そして浮世絵にもしばしば描かれているように、釣りのおもしろさに女性たちも目覚めたのが、この第3期です。

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 世界的オペラ歌手を魅了した日本の釣り竿

 江戸時代の釣り道具は世界最高水準でした。なぜなら、平和な時代に軍民転用が起きたからです。釣り竿には弓と矢の加工技術が使われました。さまざまな竹材をまっすぐに伸ばして竿にする技術は、弓矢のそれとまったく同じだったのです。

 釣り竿を丈夫で美しいものにするのは漆ですが、これも日本刀の鞘を漆で固める技術からきています。錘(おもり)も鉛の鉄砲玉からの転用。『何羨録』の図版を見ると多様な形の錘があったことがわかります。

 ヨーロッパでは竹がないので木製の釣り竿でした。英国の修道女のジュリアナ・バーナーズによる『釣魚論』(1496年)が世界最古の釣りの本とされていますが、そこにある釣り竿のつくり方を見ると、大変苦労しています。手元の部分を軽くするため、焼いた鉄棒を木の枝の内部に貫通させて抜いている。これでも腕の延長に過ぎず、日本の竹竿のような感度、振動の増幅作用は望めなかったはずです。

 和竿は明治時代にも輸出産品の一つとして外貨を稼いでいました。ロシア生まれの世界的オペラ歌手、シャリアピンは昭和11年(1936)に来日した折、銀座の和竿の老舗「東作(とうさく)」を訪ね、四代目店主を「竿師のストラディバリ」と呼びました。日本の釣り竿を「美術品」と評し「一番細い先のあの繊細なところなぞ、ことごとく高度に発達した趣味から出た作品である。日本では魚釣りそのものが一つの芸術であるのかもしれない」と絶賛しています。日本へ旅行して上等の釣り竿を買い歩くのがシャリアピンの長年の夢でした。ちなみに、歯の悪い彼のために帝国ホテルの料理長が考案した特別メニューが「シャリアピンステーキ」です。

    なぜタナゴ釣りが江戸で流行したか
 江戸時代の釣りが今の釣りともっとも違うところは、リールがなかったこと。深場では糸巻きが付いた竿を使って釣ることもありましたが、大部分は手釣りでした。

 おもしろいのは釣(つ)り鉤(ばり)の硬さ。今の釣り鉤は焼きがしっかり入って折れませんが、当時の釣り鉤は軟らかなものでした。根がかり(注)すると伸びるようにつくってあった。鉤が硬すぎて仕掛け全体を失うのを嫌ったのです。曲がった釣り鉤を元に戻す道具「鉤曲げ」を持っていました。鉤が曲がると大物は釣れません。それはもうあきらめていたのです。

 エサについては、『何羨録』の時代の武士たちはミミズやゴカイではなく、ハマグリやエビなどを使いました。きれいでこざっぱりしたエサです。釣果より釣趣を重んじる優雅な遊びだったことがわかります。

 江戸では、繁殖期に美しい体色になるタナゴ釣りも好まれました。火事が多かったので建築資材用の材木を木場などの運河に浮かべており、その丸太の下によくタナゴがついたのです。小さな竿と鉤で釣り上げる、江戸っ子の粋好みの象徴ともいえるでしょう。

 ただし「大名や豪商が川べりに金屏風を張り巡らし花魁(おいらん)をはべらせてタナゴを釣った」という明治維新後に流布した、まことしやかな伝説は嘘です。徳川時代の侍や商人は庶民の貧窮をよそにぜいたくや道楽にかまけていた、とする「江戸否定」のためのデマにすぎません。実際には寒さをこらえて鼻でもすすりながら釣っていたはずです。

(注)根がかり:釣りの仕掛けが水底の岩や石、水草、海藻といった障害物に引っかかること。

      家元も流派もない唯一の伝統文化

 江戸以外の地方の釣りで有名なのは庄内藩。「名竿(めいかん)は名刀より得難し」と言い、武道の鍛錬になると藩を挙げて釣りをしていたようです。たしかに、苦竹(にがたけ/真竹)の長い釣り竿を使う磯釣りで、なおかつ城下から20kmの山道を歩いて磯場に出たから、足腰が鍛えられたのでしょう。幕末の戊辰戦争の奥羽越列藩同盟のうち、会津藩が投降した最後まで負けなかったのは庄内藩だけでした。

 庄内藩の北隣、秋田の久保田藩でも釣りが盛んで、代表する人物は狂歌師としても知られた手柄岡持(てがらのおかもち/本名、平沢常富)。江戸藩邸で幕閣との交渉などにあたる要職、留守居役を務めていましたが、文才にも恵まれ、朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)の名で小説類も執筆しています。

 ちなみに秋田では、葉を剥がしながら成長させ固く締まったヨシに漆を塗って川釣り用の釣り竿にしました。竹の分布の北限なのでヨシで代用したのです。

 こうして江戸時代の釣り文化を振り返ってみると、とりわけ興味深いのは、流派というものを形成しなかったこと。剣術はもちろん、茶道、華道すべて家元と流派が存在しましたが、釣りだけありませんでした。それは今に至るまで続いています。『何羨録』には鉤の形に「〜流」と記されていますが、これはつくった人物の名前で流派とは違う。釣りは、きわめて個人的な趣味であり、「家」や「型」にとらわれなかった唯一の日本の伝統文化といえるのではないでしょうか。

             《江戸和竿》

 江戸和竿(えどわさお)とはかつて江戸で作られていた釣り竿と、その流れを汲む職人竿師が作る竿である。

 現在の江戸和竿の工房の多くはかつての江戸の外に移転している事が多いが、江戸和竿を作る職人の元で修行して技術を継承していれば江戸和竿に含まれる。

 一方、東京で作られている竿でも江戸和竿系譜に属さない職人が作ったものは江戸和竿に含まないのが一般的である。江戸和竿1984東京都指定伝統工芸品とされ、1991年通産省から伝統工芸品に指定された。

        江戸和竿の歴史

 江戸和竿がいつから作られ始めたのか明確な資料は見つかっていない。

 1723年享保8年)に書かれた日本初の釣りの解説書何羨録には既に継ぎ竿の選び方に関する記述があり、当時から数種類の竹を組み合わせた継ぎ竿が作られていたことが確認できる。

 18世紀末蕨屋利右衛門(竿利)継ぎ竿の技術を発展させ、1788年天明8年)に上野広徳寺東作(泰地屋東作)がその竿を真似た竿を作り評判になった。

 その後、東作の弟子であった釣音が独立し、その釣音から竿忠竿冶竿辰など、今日も残る江戸和竿師の系譜が生まれ発展した。

 江戸和竿需要のピークは昭和初期から戦後間もなくのことで、戦後進駐軍向けに土産物用の西洋風の竿を大量生産して財を成した竿師も少なくなかった。

 しかし、グラス竿ガラス繊維強化プラスチックの竿)カーボン竿炭素繊維強化プラスチック製の竿)の登場によって急速に需要が減少し、多くの竿師廃業引退を余儀なくされ、現在は後継者不足によって長い年月をかけて蓄積されてきた技術の喪失が懸念されている。

        江戸和竿の特徴

 江戸和竿の最大の特徴はその多様性である。

 例えば庄内竿磯釣り紀州竿ヘラブナ釣り郡上竿鮎釣り渓流釣りの竿に限定されるが、江戸和竿江戸周辺で釣れる多くの魚種釣法に特化した多種多様な竿が作られている。

 これは江戸という巨大な消費地に住む多様な釣り人ニーズに応えること、季節によって釣りの対象を変えるのが一般的であった江戸釣り文化が大きく関与している。

 また、真鮒竿タナゴ竿で見られる短く切った竹を細かく継いでいく小継ぎ竿江戸和竿の特徴の1つであるが、海釣りの竿などでは小継ぎにすることは稀である。

 一般的に古い時代の竿は装飾されておらず、時代の新しいものほど華麗装飾(飾り塗が施される傾向にある。

 神奈川県横浜竿埼玉県川口竿などは江戸和竿から派生したもので、それらと明確な違いを見出すことは難しい。

  〒116-0003東京都荒川区南千住5-11-14
   TEL/FAX (03)3803-1893

 https://edowazao-kuniichi.com/kumiai.html

            ◆沿革◆
「江戸和竿」の発祥は天明年間(西暦1781~1788)に 泰地屋東作が下谷稲荷町の広徳寺前で開業したのが始まりとされ、その歴史は優に200年を超えています。
「江戸和竿」は江戸時代に江戸で誕生し、研鑽を重ねた竿師により育まれ伝承された釣竿です。

 昭和57年に「東京釣用品協同組合」の竿師たちが、互いの研究と親睦を図るためのグループとして 「東京和竿睦会」を発足させました。
 昭和59年には「江戸和竿」が東京都の「伝統工芸品」に指定され、ついで平成3年にあらためて通産省から 国の「伝統的工芸品」として認定されました。
さらに平成11年には「東京釣用品協同組合」 の解散に伴い 「江戸和竿協同組合」を発足させ今日に至っています。

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  東京都        国(通産省)

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              《魚拓》

 魚拓(ぎょたく)とは、釣りで釣った魚の像を、墨や絵の具を使って紙などに転写したもの。 釣り上げた魚の原寸大の記録を残すために行われる。 魚に直接墨を塗り布や紙に写し取る「直接法」と、魚に布や紙を載せて、上から墨や絵の具で色をつける「間接法」がある。

         魚拓の発祥

 魚拓は、庄内藩が発祥とされ、日本で現存最古のものは天保10年(1839年)2月に現在の東京都墨田区錦糸町付近で釣られたの魚拓「錦糸堀の鮒」とされている。

 9代藩主酒井忠発が釣り上げた鮒であるとされ、現在は鶴岡市郷土資料館に所蔵されている。

 庄内藩では、幕藩体制に入り、平和な世の中にあっても、尚武の心を忘れないために海釣りが奨励された。夜中に鶴岡城下を出立し、夜の山道を20Km以上歩き、日本海の荒波に庄内竿と呼ばれる独特の長い竿を振って鱈などの大きな魚に立ち向かった。長い竿を担いで目の効かない暗く遠い山道を歩き、あれこれ戦略を立てながら釣り糸をたらし、心を張り詰めながらも静かに獲物を待ち、荒海の中から一気に大きな魚を釣り上げるのは、武士の道に通じ、鍛錬にはもってこいであった。 そして、大きな獲物は、「討ち取った敵将の首」に見立てられ、魚拓にして藩主に献上されたという。

        稲田式色彩魚拓法

 稲田式色彩魚拓法は、

  故 稲田黄洋
(明治30年8月生

       ~昭和50年8月没)

『俗名 敬次郎、水戸市竹隅に

治兵衛二男として生る。家清

貧、十歳にして呉服商店員、

独学、十八歳俳句を志し、星

野麦人先生に師事。之を生涯の伴侶として黄洋と号す。

二十二歳業を彫金に転じて、江幡美俊先生に学びて独立。二十五歳ふくを娶る。五十歳眼疾の為、再び転業、貧苦の中に魚拓を勉強する事十年余、即ち間接法稲田式色彩魚拓を創立して公にして東京魚拓会を統率す。』(墓碑銘から抜粋)

 稲田式色彩魚拓法は、拓本の技法を基に、特有な日本画風に研究され開発されました。

わが国での最初の本格的な色彩魚拓技法の起源です。

 昭和20年代後期稲田黄洋を中心とした弟子達により「東京魚拓会」が誕生し、以後全国的に発展し、1972年(昭和47年)「日本魚拓会」と改称され多くの会員が釣りとともに、新しい日本の文化と芸術育成と発展を目指し日々拓しています。
 稲田式色彩魚拓は、デッサンやスケッチをしてから色彩する絵画とは根本的に違い、拓本の技法を基に日本画風に研究・開発されたもので、日本で最初の本格的な色彩魚拓(カラー魚拓)法と言われています。

 表現しようとする対象に、破れにくい画仙拓紙を密着させて、タンポと呼ばれる綿もみ(絹)でくるんだ物に絵の具をつけて、トントン叩きながら色をつけていく。絵の具は、水彩絵の具と比べて作品の色落ちや変色が少ない岩絵の具を使う。

 色彩魚拓(カラー魚拓)は、日本で生まれた新しい美術の分野で、海外でも、日本の伝統的なアートとして高く評価され、多くのファンを魅了し、さらなる発展を遂げている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   稲田式色彩魚拓 日本魚拓会

※日本魚拓会は、各地で展覧会を開催するとともに、教室を開校しております。

 

   日本魚拓会、浅草教室(本部)

    〒111-0041 東京都台東区元浅草4-10-3

      ☎03-3844-3445

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シマアジ釣り 

※華麗な魚体に似合わぬ強烈な引き味を見せる磯の高級魚

                               〔特徴〕暖流系の回遊魚で本州中部以

              南の暖海に生息する。群れを

              作って回遊し、エビや小魚な

              どを捕食する。若魚のころはその名のとおり1本の黄色い縦縞がある。美味な魚で人気が高い。

〔シーズン〕場所によって回遊時期が異なるが、晩夏から初

冬までの期間が多い。

〔料理〕刺し身、塩焼きなど。

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[ポイントと仕掛け

シマアジは、旺盛な食欲で寄せエサに群がり、銀輪をきらめかせるようすが磯から見える。ポイントは潮通しのよい磯で、底が砂地まじりの岩礁帯の所だ。

ウキ釣りとカゴ釣りが一般的な釣り方。シマアジは、寄せエサの中心に突っ込んで我先にエサを食う習性があるから、シマアジの魚影が見えてハリ掛かりしない時には、ハリスの長さを短くする(ヒラマサは逆で、食い渋ったらハリスを長くする)。

[釣り方] 

ハリに掛かったシマアジは、根に逃げ込もうと、強烈な引きでサオをガンガンと段をつけて絞り込んでいく。根に潜られれば一巻の終わり。

そのうえ、アジ科の魚だけに口先の薄い膜にハリ掛かりすると、ハリ穴が広がってすぐにばれてしまうからやっかいである。唇の上か下にハリ掛かりすれば、かなり強引なやり取りでも、ハリがはずれることは少ない。

ウキが消し込まれたら、サオを立ててしっかり合わせ、道糸を送り込まず腰をおとして引きに耐え、根に入られないように注意する。この間のスリルが、シマアジ釣りの醍醐味といえる。

釣期が短い魚で、しかも絶対数が少ない魚だから、情報をしっかりつかむことが大切。

イサキ釣り ※夏の磯は昼も夜もイサキが楽しめる

                               〔特徴〕冬場は水深50m以上の深場に生息するが、夏の産卵期になる

              と潮通しのよい磯や沖の根のまわりに群れを作って回遊す

              る。幼魚期には数本の縦縞があるが、成長とともに薄れる。

          〔シーズン〕5~8月が釣期。特に6~7月がよい。産卵を終えると引き

                味、味覚ともに落ちる。

〔料理〕塩焼き、みそたたき、刺し身。

イサキ
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引き味がよいことから、夏の磯のターゲットとして人気が高い。

特に難しいテクニックや、やり取りを必要としないから、おすすめの釣りものの一つだ。

群れに当たると数釣りが楽しめるが、水温の高い時期なので、ウマヅラなどのエサ取りに悩ま

せられることが多い。

[釣り方] 

ウキ(フカセ)釣り、カゴ釣りなど釣り方はいろいろだが、釣果の点ではカゴ釣りが有利である。

納涼をかねた夜釣りもおもしろいが、事故にあわないよう注意していただきたい。

イサキ釣りの決め手は、なんといってもタナ取りに尽きる。底上げ1mから攻め始め、アタリ

がなければタナを上げていく。寄せエサが効いてくると、タナはさらに上昇することが多い。

仲間で釣行する時は、釣れたタナを教えあい、全員でタナをそろえるようにするとよい。

乱獲と環境破壊で、イサキは年ごとに群れが小さくなり、型もウリボウと呼ばれる小型が多くなっている。無用な数釣りは慎み、小型魚は放流するなどの心配りをしていただきたい。

◎投げ釣り入門

             広い浜辺でサオを思い切り振る。オモリに引かれ仕掛けが海原めざして飛んでいく。ほどなくサオ先に伝
                                                  わる
、確かな魚信。ゆっくりリーリングに入ると、やがて波打ち際にシロギスの可憐な魚体がきらめく。
             1尾、もう1尾、探り当てたポイントから次々にシロギスが釣り上がる。広い海に魚影を追って、砂浜を
             釣り歩く。砕ける波、青い空。釣り人は点景となって自然に溶け込む。さあ、砂浜をサオをかついで、釣
             り歩いてみよう。釣り場は、どこにでもあるのだから。                                               
(藤井 汐竿)            
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《投げ釣りで釣れる魚たち》

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※スポーツ感覚で大海原に仕掛けを飛ばそう
 投げ釣りの一番人気は、なんといってもシロギス。パールピンクの愛らしい魚体は、だれでもウットリする。そして、小さな体に似合わぬ力強い引きにビックリするはずだ。中には30cmを超す大型もいて、これを釣るために全国を釣り歩く人さえいる。
シロギス以外では、カレイとイシモチも人気が高い。特に、シロギスが近場で釣れなくなる秋から春にかけての寒い時期は
、カレイ釣りに熱中する人が多い
また、岩礁まじりの砂地を攻めれば、クロダイ、アイナメ、ヒラメ、スズキなどや、大型のシロギスを釣ることができる

投げ釣りは、
釣りそのもののおもしろさとともに、リールを使って遠投することの爽快感が、もう一つの魅力となっている。釣果だけにこだわらず、自然と遊ぶつもりでサオを振れば、逆に、釣果に結びつくかもしれない。                                          ( 汐竿)          
      ◎仕掛け作りのコツ
  投げ釣りでは仕掛けの消耗が激しいから、仕掛けはなるべく自分で作ろう      
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仕掛けをフグに切られたり、根やゴミに掛かったりと
投げ釣りでは、仕掛けを消耗することが多いから、予
備の仕掛けは多めに準備しておこう。そのためには、
材料を用意して自分で作るほうが安上がりだ。
投げ釣り仕掛けで大事なのは、投げた時に絡まないようにすること。工夫は必要だが、あまり凝った仕掛けは、絡みが多くなる。シンプルな仕掛けほど、絡まずに魚の食いがいい。
自製仕掛けで釣れば「やった!」と思わず叫びたくなる。  (※自分で仕掛けを作ってみようを参照⇗⇗⇗)
      

シロギス釣り ※投げ釣りの人気ナンバーワンは海の女王シロギスだ

                               〔特徴〕北海道から九州まで各地の沿岸の砂地の底をすみかとしている。群れで回遊

              し、海底のイソメ類などを捕食する。体色は黄色味またはピンクを帯びた白

              色で美しい。最大で30cmぐらいになる。

〔シーズン〕晩春から晩秋までが一般的な釣り期だが、水深のある釣り場では厳寒期でもねらえる。

〔料理〕塩焼き、てんぷら、フライ、押し寿司、椀種、干し物など。

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[入門に最適なサオとリール] 

飛距離を出すには、長いサオが有利になるが、長いサオを全力でキャ

ストするには、体力と同時にコントロールが必要とされる。最初は、

長さ4m前後のサオがよいだろう。

m前後の投げ釣り専用ザオなら、投げ方のいかんにかかわらず、コ

ントロールがつけやすいし、飛距離も出せる。

リールも、投げ釣り専用タイプが使いやすい。スプールがロングタイ

プで溝が浅いから、道糸の抵抗が少ない分だけ飛距離が伸びる。

替えスプール付きを購入すると、道糸切れなどのトラブルにあっても、スプール交換だけですむので便利である。

道糸は1.2~1.5号を巻いておけば安心だ。スムーズにキャスティングできるようになったら、1号を使ってもよいが、最初は太めの糸を使う

ほうがよい。

慣れないうちは市販の投げ釣り仕掛けを使ってもよいが、慣れてきた

ら自分で仕掛けを作ることをおすすめする。ハリ数が多いとトラブル

の原因になるので、最初は5本バリぐらいがよいだろう。

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[ポイントを早く見つけるのがコツ] 

シロギスは神経質な魚だから、回遊は、季節や時間によってかなり異なる。人が多い日中は、沖目を回遊しているが、人が去った浜では、波打ち際の近くまでやってくる。

また、寒い時期は、ほとんどの釣り場で100

m以上の遠投を要求されるが、夏から秋口は50m前後の距離の所でもヒットする。

シロギス釣りのコツは、ヒットするポイントを、いかに早く見つけるかにある。サオ先から伝わる海底の状態を頭に描きながら、神経を集中する。アタリを取ることよりも、まず、海底の状態を早く知ることが、上達の第1ステップとなるのだ。

そこで、ある程度の飛距離抵が出る、感度のよいサオとリールが必要となる。そのためには、ほかの釣りと違って、中級品以上の専用の道具を購入することをおすすめする。

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    ◎投げ釣りに必要な道具類
  投げ釣りは、浜を移動するからコンパクトな装備でまとめよう       
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サオ、クーラーから小物入れまで、投げ釣りマニアは、あらゆる工夫をこらして、便利でコンパクトな収納を心掛けている。ただし、サオとリール、仕掛けにエサだけあれば釣りができる手軽さも、投げ釣りの魅力である。道具は必要最小限に抑え、まずはフィールドに飛び出して、思い切り遠投にチャレンジしてみよう。爽快感あふれる投げ釣りの醍醐味が、すぐに実感できるはずだ。
[便利な投げ釣り用品を探そう]
サオ立てからエサ入れ、仕掛け巻きなど、便利な投げ釣り用品を使いこなすと、いっそう釣りは楽しいものになる。
小物類は、自製することもできる。釣りに出掛けられない時に、手作りに挑戦すると、釣りにいっそう愛着がわいてくる。失敗しても、気にしない気にしない。次はいいものができるから。
       
      ◎キャスティング(投げ方)
  投げる前は、まわりに十分注意するようにしよう       
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[エサ付けはていねいに] 

気分よくフルスイングして、後ろを振り向いたらエサが落ちていたというのでは、シャレにもならない。だが、実際に1度や2度は、そんな経験もするはずだ。

エサは、きちんと通し刺しにして、ハリ先を出しておくこと。こうすれば、エサ落ちを防げるし、ハリ掛かりもよくなる。

エサは、ジャリメ(イシゴカイ)かアオイソメだが、クーラーから小出しにして新鮮さを保ちながら使う。

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[さびいてポイントを探れ] 

仕掛けを投入してオモリが着底したら、

糸のたるみをとってからサオ先でゆっ

くりオモリを引きながら、海底のよう

すを探る。これを“さびく”と言う。す

ると、途中で必ずサオ先に重みや抵抗

を感じる所があるはずだ。

そこが、ヨブと言われる海底の凸凹に

なっている部分で、シロギスの絶好の

ポイントになっている。しばらく待っ

てアタリがなければ、また仕掛けをゆ

っくり引きながら、ポイントを探る。

アタリがあったら、軽く合わせてから、

ゆっくり引いて2尾目、3尾目が掛か

るように誘ってみよう。次々にアタリ

をキャッチしても、喜んでばかりいら

れない。何mで食ったのかを、糸の色

で確認することが大事だ。

次回の投入では、アタリをキャッチした所より少し沖めに投入して、釣れたポイント(イトの色で確認)を重点的に攻める。

釣りは、いつも理屈どおりにうまくいくわけではない。だが、長いスタンスで考えると、セオリーをしっかり守りながら釣ったほうが、よい結果が出る。

[待つか誘うかは状況で]

シロギスの活性が高い日は、どんどんさびいて誘いをかける積極釣法がよい結果を生む。しかし、水温が急に低下したり、底荒れ状態の時は、誘いのテンポをゆっくりするか、ポイントでの待ち釣りが功を奏することが多い。

シロギス釣りのコツは、ヒットするポイントを、いかに早く見つけるかにある。サオ先から伝わる海底の状態を頭に描きながら、神経を集中する。アタリをこのあたりの状況判断ができるようになれば、どんな釣り場に出掛けても、そこそこに満足できる釣果を得られるようになる。まず、自分のホームグランドを決めて何度か通い、ヨブなど、ポイントの探り方、誘いのテンポなどをマスターすることが早道である。

※困った時のアドバイス

・アタリがあってもハリ掛かりが悪い時

 エサのタラシを短くする。あるいはハリをひと回り大きくすること。小さなハリでは、シロギスがエサといっしょに吐き出してしまうが、ハリを大きくす

 れば、口に掛かることが多くなり、途中でハリがはずれるのを防ぐことができる。

カレイ釣り ※のんびり待ち釣りもいいもんだ

                               〔特徴〕日本の近海には多くのカレイがいるが、釣りの対象となるのはマコガレイ、イシガレイ、マガレイなどの5種。砂地に潜って

              目だけ出し、近くに来たイソメ類やエビ、カニ類などの小動物を捕食する。

          〔シーズン〕晩秋から晩春までだが、冬場の産卵期は、一時食い渋る。

          〔料理〕煮つけ、空揚げ、干物、バター焼きなど。大型は刺し身にできる。

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カレイ釣りの醍醐味は、40cm級の大型が釣れる魅力にある。食いがよい時は、一荷釣り(2尾いっぺんに釣れること)も珍しくない。

ただし、カレイ釣りはムラが多いのが特徴。その年によって、回遊が多い年とまったくといってよいほど、釣れない年がある。また、前日大釣りしたかと思うと、翌日はさっぱり、ということもあるのを覚えておこう。

[サオと仕掛け]

シロギス釣りと違う点は、カレ

イ釣りは、ポイントを絞った待

ち釣りであるということ。

そのために、サオは、できれば

3~4本あるとよい。すべてが

4m級の投げ専用のサオでなく

てもかまわない。

遠、中、近距離に投げ分けてお

くから、近投用のサオは、万能

ザオの3mクラスでも間に合う。

砂泥底や砂礫底では、根掛かり

も多いから、リールの道糸は2

~3号を巻いておいたほうが無

難だ(根掛かりがあるポイントの

ほうが、大型がヒットする確率

が高い)。

仕掛けは3~4本バリ。ハリス

は2号以上を使うこと。大型カレイが水際で暴れると、3号のハリスでも切られることがある。

ハリスは、太さよりも絡まないことが最も大切な条件である。仕掛けが絡んだら、せっかくのチャンスも逃してしまう。

ハリは、大きめを使うとバレが少ない。カレイは、流線型が一般的だが、丸セイゴの8~9号もハリ掛かりがよい。食い込みが悪い時には、早掛けの10号が吸い込みがよい。

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[エサの交換はマメに行う] 

カレイは、鮮度がよく動き

が活発なエサがよい。そう

でないと、極端に食いが落

ちる。

アオイソメ、ゴカイは房掛

けに、コガネムシは1尾掛

けにする。

アタリがなくても、たまに

巻き上げてエサを点検し、

弱ったエサは、早めに交換

しないとカレイは釣れない。

したがって、エサは多めに

用意したい。

まれにアサリのムキ身、ア

オヤギで大型がヒットすることがある。ことに秋口のマコガレイに有効だから、一度試してみるとおもしろいかもしれない。

[ポイントの探り方

カレイは群れていることが多いから、1尾釣れたらしめたものだ。その周辺を徹底的に攻めてみよう。その方法は、数本のサオ先を投げて、そのあたりに集中的に仕掛けを投入する。

カレイのポイントは、河口の流れと沖の潮流がぶつかる所や、船道などのちょっとした深みなどだ。海底の変化をサオ先で確認してから、置きザオにしてアタリを待つようにする。

よいポイントは、海岸や河口部でも限られるから、ホームグランドを決めて、よく釣れるポイントをつかんでおくこと。どの釣り場もウイークエンドは、場所取り合戦になる。早起きして、よい釣り場を確保することからカレイ釣りは始まる。

注意したいのは、いかに好ポイントでも、カレイの食いが立つのは、一日のうち数時間であること。またポイントによって、上げ潮で食う場所と下げ潮で食う場所がある。釣り場の特徴をしっかり把握しておかないと、よい釣りはできない。

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[アワセと取り込み]

カレイのアタリは、サオ先をチョンと押

さえ込むぐらいの小さいものが多い。こ

とに大型ほどアタリが小さい。

アワセはサオを立てて合わせるが、2度

アワセをしてはいけない。せっかくハリ

に掛けても、すっぽ抜けることがあるか

らだ。

カレイにハリをのまれても、ハリスをま

っすぐ引くと、ほとんど抜ける。という

ことは、アワセをして、カレイがこちら

を向いた時に、もう一度引けば、ハリス

が抜ける恐れがある、ということだ。

小型のカレイなら問題ないが、大型ガレ

イは、取り込みに十分注意したい。特に、

波打ち際で波にもまれてばらしてしまう

ことが多い。コツとしては、寄せ波に乗

せて一気に砂浜に引きずり上げること。モタモタするのは厳禁だ。

カレイ釣りでは、大型のアイナメやアナゴなどの外道がヒットすることがある。引きが強い場合は、無理にリールを巻かず、サオの弾力やリールのドラグを使って、魚の弱るのを待つこと。

よい釣りをする上で潮時表をチェックするのも、大切なこと。カレイは潮が流れないと食いが悪い。また、あまり潮が速すぎても食いが落ちる。平均すると

中潮まわりがよいことが多い。毎回の釣行データーをとっておくと必ず役に立つ。

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イシモチ・ニベ釣り ※臆病者のイシモチ・ニベは、絡みの少ない仕掛けに大きなエサを付けてねらう

                               〔特徴〕イシモチ、ニベとも砂地、砂泥地の海底近くに群れで回遊し、イソメ類やエビなどの小動物を捕食している。神経質な魚で潮

              が濁った時や、夜に活発な回遊をみせることが多い。両種とも釣り上げるとウキブクロを伸縮させてグウグウと鳴くのが特

              徴。

          〔シーズン〕初夏から晩秋が投げ釣りの好期だが、冬でも釣れる。

          〔料理〕塩焼き、みそたたき、煮つけ、干物など。

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イシモチとニベの区別が話題になるが、尾ビレの形はいずれも三角形なので、ウロコの配列、エラブタの黒斑で区別する。投げ釣りで釣れるのは、関東ではイシモチ(シログチ)が多く、逆に関西ではニベが多い。

[仕掛けは太めに]

投げ釣りでねらうには、夜釣り

や潮の濁った日が条件になるか

ら、ハリスは太くても、イシモ

チの食いには関係がない。最も

神経を使うべき点は、いかに絡

みが少ない仕掛けであるかどう

かにある。

ハリスが幹糸に絡めば、イシモ

チの食いは、極端に落ちてしま

う。ハリスにビニールパイプ

(夜光)を通すなどの工夫をこら

してみると、絡みが少なくなり、

イシモチの食いがよくなる。

イシモチは、海底から1~2m

上を回遊することがあるから、胴突き仕掛けでねらっても効果がある。

サオは、釣りによって異なるが、50mラインがポイントなら、万能ザオでも間に合う。2本ザオで距離を投げ分けて探ることも有効だ。

エサを大きめに付けることも、イシモチ釣りの大切なコツである。

食いのよい時は短めでもよいが、特に食い渋っていると時は、1尾まるごと付けたほうがよい。

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[ポイントの探り方

イシモチの好ポイントは、

海岸のカケアガリの落ち込

み部分など、くぼみになっ

ているあたりになる。平坦

な砂地では、まったくとい

ってよいほど期待がもてな

い。

活性がある時は、ゆっくり

誘ってやるとグッと明確な

アタリが出るが、ヨプや溝、

カケアガリの際をサオ先で

キャッチしたら、しばらく

待つのが一般的な釣り方で

ある。

同じ海岸線でも、ポイントは何か所もあるから、ここと思うポイントでは、ある

程度の辛抱を覚悟で、回遊を待つことも必要になる。

[アタリとアワセ

置きザオでも持ちザオでもアタリははっきり出る。

だが、あわてて大アワセをしてはいけない。軽くサオをあおるだけで十分だ。

もし大アワセをしてハリがはずれると、驚いて群れが逃げてしまう。アタリがあったら、ひと呼吸おいて軽く合わせれば、一荷釣りの幸運に恵まれることもある。

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クロダイ(チヌ)釣り ※ねらう人が少ないので意外にチャンスが多い

                               〔特徴〕岩礁まじりの砂地や砂礫帯の周辺に生息し、甲殻類、イソメ類などを捕食するが、植物性のエサもとる雑食性の魚。成長する

              と50cm以上になる。

          〔シーズン〕春から晩秋までだが、厳寒期に大型が釣れる場所もある。

          〔料理〕刺し身、塩焼き、みそ漬けなど。

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[釣り方

ゴロタ石の海岸(大小の石がゴロゴロと積み重なっている海岸のこと)からの投げ釣りでクロダイをねらう釣り方。ゴロタ石の浜は、釣り人が少ないから、ポイントを自由に選べるのでうれしい。

エサは、サナギ、オキアミ、イワイソメ(イワムシ)など。遠投しても落ちないようにていねいに通し刺しにして、ハリに刺すこと。

仕掛けをポイントに投げ込んだら、サオを手に持ってアタリを待つ。アタリがきたらサオ先を倒して糸を少し巻き取り、すばやく大きく合わせる。

40cm級のクロダイになると、かなりの引きを見せるから、サオとリールであしらいながら、ゆっくり寄せてくる。

波打ち際では、波に乗せて一気に浜に引き上げる。波に巻き込まれてばらさないように、十分注意すること。

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◎ルアー・フライ釣り入門

             ルアー釣りはルアーと呼ばれる擬餌エサを使い、フライ釣りはフライと呼ばれる擬餌エサ(毛バリ)を使っ
             て釣る釣り方のことである。いずれも外国からもたらされた釣法で、戦後、急速に日本国内へ広まった。
             これらの釣りの特徴は、“釣りのプロセスを楽しむ”ということ。数多く魚を釣るのではなく、ルールを
                                                  決め、スポーツとして釣りを楽しもうという考え方だ。多彩なルアーやフライを集めたり、自作して楽
             しんでいる人たちも多い。               
                             (藤井 汐竿)            
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《ルアー釣りで釣れる魚たち》

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※ルアーに生命を吹き込むのが釣り人の役目だ
 ルアー釣りとは、ハリのついた金属、木、プラスチック製などのルアーと呼ばれる擬餌で魚を釣ることだ。
ルアーを見て、まずだれもが感じのは、こんなもので魚が釣れるのかという疑問である。およそ子供だましとしか思えないルアーを、本当に魚が追うのかという不安だ。
もちろん、ルアーを水の中に放り込んだだけでは、魚に無視されるだけである。ところが、これに釣り人の手によって動きが加わると、今まで見向きもしなかったイワナが、ブラックバスが、スズキが飛びついてくる。その時の驚きと感激は、経験した人でなければわからない。
魚がルアーを追う理由は三つある。第一は、ルアーをエサと錯覚する場合。第二は、好奇心から目の前を動くものに衝動的に飛びつく場合。第三は、縄張りを守ろうとして侵入者を追い出そうとする習性のため、と言われる。
これらの理由から考えると、ほとんどの魚がルアー釣りの対象魚として挙げられることになる。
とはいっても、ルアーで釣れやすい魚とそうでない魚というのはある。
最もルアーの対象魚として向いているのは
、肉食魚の仲間である。普段、小魚を中心とした小動物を捕食している魚たちは、釣り人によって生命を吹き込まれたルアーに、果敢にアタックしてきてくれる
ルアー釣りは、考えるほど難しいものではない。実際にチャレンジしてみれば、すぐに虜になるほどスリリングな、ゲーム感覚あふれる釣りだということがわかってもらえるはずである。         
( 汐竿)          
   ◎タックル選びと最小限の道具
  ルアー釣り独特の用語にも慣れるようにしよう       
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現在のルアー釣りは、イギリスやアメリカからやってきた釣り方なので、用語にも横文字が多い。たとえば、用具のことはタックル、サオはロッド、イトはライン、ハリはフックなどと呼んでいる。
長さや重さの単位も、フィート(1フィート=約30.5cm)やオンス(1オンス=約28.35g)が使われることがある。
また、ラインの基準として、日本では太さを基準とした号数表示が中心だが、欧米では強さを基準としたポンドテスト表示が一般的だ。相方の基準が違うので比較は難しいが、目安として、1号=3~4ポンドテストに相当すると考えていいだろう。
慣れないうちはとまどうかもしれないが、これらのことも、ルアー釣りの雰囲気を盛り上げる大事な要素の一つだろう。
さて、とりあえずルアー釣りを楽しむには、扱いの簡単なスピニングリールから入門するのがよい。
したがって、ロッドはスピニング・ロッドが必要になる。ルアーは、3タイプに絞り、それぞれ色や大きさなどの違ったものを2種ずつ、合計6個からスタートしよう。そのほかに、上図のようなものがあれば、だいたいよいだろう。
ゲーム・フィッシングとして行われるルアー釣りには、釣りを楽しむための便利なタックルが山ほどあるが、それらのものは、徐々にそろえていこう。また、ルアーのコレクションも
、この釣りの大きな楽しみの一つと言える。      

ニジマス・ヤマメ釣り ※美しい魚体とファイトがたまらぬ魅力。まず常設釣り場で腕を磨こう

                               〔特徴〕ニジマスは北米原産の魚で、日本各地で養殖され、遊漁用に湖や河川に放流

                されている。体側には、名前の由来のとおり、虹色の美しい帯があり、数は

                少ないが自然繁殖の魚は、特に鮮やかだ。小魚や昆虫をエサとし、50cm近く

                まで成長する。(ヤマメは川釣り(イワナ・ヤマメ(アマゴ)釣り参照)

          〔シーズン〕禁漁期が各河川ごとに定められているが、常設釣り場では、周年ルアー

                釣りを楽しめる。

          〔料理〕塩焼き、ムニエル、フライ、燻製など。

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ニジマス、ヤマメともにヒットしてからのファイトの力強さは、ルアーマンを夢中にさせるものがある。渓流での本格的ルアーフィッシングを身につけるには、その入門として、常設釣り場での釣りをおすすめしたい。放流された養殖のニジマスやヤマメを釣ることで、基礎テクニックをマスターし、それから自然の渓流に足を運んだほうがよい。

養殖魚ていっても、川に放たれてある程度時間が立つと、警戒心も強くなり、簡単にはルアーを追ってくれない。それだれに、予行演習としては、うってつけだと言えよう。

[バランスタックル]

強い流れでルアーに自在なアクションを起こさせるには、水の抵抗が少ない細いラインを使うことが必要になる。細いラインで大物とファイトするには、極軟調のウルトラライトと呼ばれるロッドが理想だが、ライトアクション(軟調)のロッドでも十分に釣りは可能だ。ただし、硬調のロッドでは、ヒットした瞬間にラインが切れてしまうおそれがある。

リールシは小型のスピニングリールがベストの組み合わせだ。ルアーはスピナーの3~5gがよい。

ラインは4~6ポンドテストのものを100mぐらい巻いてあればよい。最近のラインは強度があるので、4ポンドクラスでも無理をしなければ大型のニジマスを釣り上げることができる。

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[ポイントの攻め方]

まちがっても、直接ポイントにルアーをキャストしてはいけない。一度警戒心を与えてしまうと、その付近にいる魚全

体がいっせいに石裏などに逃げ込んでしまう。渓流

魚は、頭を上流に向けて、流れてくるエサを虎視耽

々とねらっている。したがって、ポイントの上流に

ルアーをキャストしてからリーリング(巻き取り)に

入る。

時には、目の前まで魚がルアーを追ってきたのに、

反転して去ってしまうことがある。こんな時は、根

気よくキャストを繰り返し、ルアーの動きにも変化

を与えて魚を誘う。ある意味での神経戦と言えよう。

ベストタイムは、早朝と夕方のまずめ時。夏場の日

中は瀬に出てくるから、広いポイントを攻めてみた

い。ことに本流では、エサ釣りでは届かないポイン

トを、ルアーで攻めることができる。

ブラックバス釣り ※激しいファイトを楽しみながら、ルアー釣りの基礎を身につけよう

                               〔特徴〕北米原産の外来魚。流れが穏やかな各地の河川、湖沼に生息するが、放流さ

              れて分布が広がった。旺盛な食欲で、小魚、昆虫、カエルなどを捕食する。

              日本では箱根芦ノ湖に放流されたのが最初。大型は50cm級に成長する。

          〔シーズン〕厳寒期は、活性が低くなるが、周年ねらっているマニアもいる。

          〔料理〕メニュー「調理講座」参照。

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バス釣りファンの放流によって、今や日本全国、いたる所にブラックバスの生息地があると言ってよい。身近な釣り場に何度も通い、ルアー釣りの基礎を身につけることから始めてみよう。 ※しかし・・・

[バランスタックル]

入門用のロッドとしては、1.5mのライトアクションがよいだろう。

軟調のロッドに慣れれば、キャスティングや魚とのやり取りの上達も早い。

リールは、10ポンドテストのラインが100m巻けるスピニングリール

をセットする。

この組み合わせならバランスがよく、ねらったポイントにキャストできるし、ロッドが軟調なだけに細いラインでも大物に対処できる。

もう少し突っ込んでバス釣りをやってみようと思うなら、2本目のロッドとして、ミディアム・アクションのベイト・ロッドとベイト・キャスティングリール(両軸リール)をすすめたい

ラインは、12ポンドラインを100m巻いておこう。

ベイト・キャスティングリールは、バックラッシュ(キャストした時

に道糸がモジャモジャになるトラブル)を起こしたりするなど、最初

は扱いにくいが、慣れてしまえば強い味方になってくれる。

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[ルアーの選択]

ルアー釣りの中でも、ブラックバス用のルアーは種

類が非常に多い。釣り場、釣り方、釣り人の好みに

応じて作られたルアーがいっぱいある。それだけに

ルアー選びが難しいわけだが、逆に言えば、ルアー

選びの楽しさもあると言えよう。

たとえば、目でファイトを楽しみたいなら、断然ト

ップウォーター(表層)プラグがおすすめだが、釣り

場や季節的条件によっては、トップウォーターでは、

まったくヒットが望めないこともある。

底に潜むランカーと呼ばれる大型ブラックバスをね

らうのであれば、ミドルレンジ用のディープダイバ

ー・タイプかワームでじっくり攻めることになる。

これも絶対というわけではないし、季節、時間帯、

底の状態で変わってくる。

とにかくブラックバスを釣ってみたい、という場合

は、ワームがおすすめだ。ルアー釣りというより、エサ釣りの感覚に近いテクニックが通用する。

ワームが底に着いたら、しゃくり上げる要領でロッドの操作を繰り返せば、比較的簡単にヒットさせることができる。

いずれにしても、各種のルアーを使い込んで、自信が持てるルアーを早く見つけて、そのルアーを条件に応じて使いこなすようになることが、上達の早道だ(ただし、一つのルアーにこだわり過ぎないこと)。

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〔ブラックバスのポイント〕
広い釣り場のどこにでもブラックバスがいるわけではない。ほかの魚同様に、障害物のまわりや、底に変化のある場所が、ブラックバスの絶好のすみかになる。
ブラックバス釣り場は、水の透明度が低いことが多い。それだけにロッドに神経を集中し、底の状態をなるべく早くつかみ、ポイントを探し出すようにしよう。
        
〔ランディングとリリース〕
ルアー釣りでは、魚を取り込むことをランディングという。バス釣りでは釣った後、魚をリリース(再放流)するのが原則だから、ランディングは魚体を傷めない方法がとられる。
それには、引き寄せてきたバスの下クチビルをつかめばよい。その状態で、フックをやさしくはずしてやる。もし大型魚なら長さを測るか写真に記録して、急いでリリースする。
そうすれば、さらに大きく成長して、バス釣りファンを楽しませてくれるだろう。  
※しかし・・・        
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       ◎ルアーの種類
  単純なルアーの種類、用途、構造を覚えておこう       
本物のエサと違って、 ルアーは動きを与えてやらなければ、魚は食ってこない。これは、どのルアーにも共通して言えることだ。
つまり、演技をするのはルアーたちだが、それをうまく演出するのが釣り人の役割ということになる。
ルアーには、使う目的に応じて、さまざまな種類があるが、ここでは基本的なルアーとその特徴を説明しよう。よくその特徴を覚えて、臨機応変に使い分けてもらいたい。
         
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スプーン
〔特徴〕
ルアーの原型と言われ、ボディ部分は、金属を打ち抜いたり、プレス加工したものが多い。ボディの形やカーブによって、回転したり、尻を振ったりする違いがある。また、肉厚の違いによって、飛距離やねらう水深が変わっくる。サケ、マス類を釣る場合に、よく使わルアーだ。         
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スピナー
〔特徴〕
金属でできたボディの前に、ブレイドと呼ばれる翼があり、これがくるくる回転して、小魚などが泳いでいるような動きと振動で、魚を引きつける。釣り場の状況によって、ボディの重さやブレイドの形を選ぶが、一般に、流れのある渓流などで使われることが多い。         
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プラグ
〔特徴〕
木やプラスチックなどを使って、小魚や小動物に似せて作られたルアー。ほとんどのプラグにはリップがあり、これによってプラグが水中で左右の動きをする。プラグによっては、リップのかわりに頭部の形を工夫して、微妙な動きを示すものもある。
プラグは大別して、水に浮くフローティング・タイプと水に沈むシンキング・タイプがある。また、リップの大きさや角度によって、潜る深さなどに違いがある。一般に、サケ、マス類、スズキなどには小魚に似せた形のもの、ブラックバス用には、カエルや小動物の動きに似せたものが使われる。
         
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メタルジグ
〔特徴〕
真ちゅうや鉛などの重い金属を使って作られたルアーで、深いポイントをねらう時に用いられる。いったん沈めたジグを、ジギングというシャクリ運動によって動かし、魚を誘って釣る。カサゴ、メバルなどや大型回遊魚をねらう時などに、使われることが多い。         
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スピナーベイト
〔特徴〕
2種類以上のルアーを組み合わせたコンビネーション・ルアーの一種。スピナーベイトは、上部にスピナー、下部にジグ・ヘッドとスカートと呼ばれる部分が組み合わされている。障害物に掛かりにくく、上層から底まであらゆる泳層を探ることができ、ブラックバス釣りで使われることが多い。         
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ソフト・ルアー
〔特徴〕
軟らかいプラスチックで作られたルアーで、ミミズやカエル、ザリガニなどの本物そっくりにできている。最もよく使われるのは、ミミズに似せたワームで、色もさまざま。オモリを組み合わせて底に沈め、生きたミミズのような動きを加える。
見ているだけで楽しいのが、カエルに似せたブロック・タイプ。水草の繁茂した所で使うことが多く、ウィード・ガードというワイヤーやピアノ線で、フックがカバーされている。
いずれも、ブラックバスやライギョなどをねらう時に、よく使われる。
         
          ☞ 特定外来生物(魚類) ☜ 
ブラックバス、ブルーギル、チャネルキャット・フィッシュ(アメリカナマズ)・バラタナゴ・ダントウボウなどは、外来魚です。
今、“外来魚”による「生態系破壊」が大きな社会問題になっています。
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☞ 外来魚による生態系破壊問題 ☜

「外来魚」による​​​“生態系​​​破壊問題”は、日本全国が抱える大きな問題です。

元を質せば、‘釣り人・釣り界’の身勝手な考えによる‘放流’等が起因とされ、多くの批判を受けています。

今、古来多く見掛けた‘魚族’が“壊滅状態”にあり、‘各漁協’を初めとして‘地域の人々’の困窮は計りしれません。

そこで、東京釣り協会では、各団体・機関と提携し、一般市民への参加を呼び掛け、‘釣り人’による、‘駆除’を目的とした大会を開催し、古来からの“魚族の復活”を図り、“生態系​​​の復元”を目指しています。(※イベント情報を参照)

 

       

      ☞ 『キャッチ&イート』 

外来魚は“栄養価値の高い、美味しい魚”として見直され始めており、当協会では、釣って食べようを合言葉に『キャッチ&イート』を提唱しております。(☞☞メニュー〔調理・食べ方講座〕を ご参照下さい)

   ☞ 防除に関する基本的な事項☜

  • 野外に放たれたり、逃げ出した特定外来生物は、放置しておくと分布を拡大しながら、在来種(その土地に元からいた生物)の生息・生育を脅かしたり、農林水産業に被害を及ぼすなど、様々な被害を及ぼすおそれがあります。特に、生息・生育環境の限られている島嶼などでは、在来種が絶滅に追い込まれてしまう場合もあります。

  • 特定外来生物被害防止基本方針では、被害を及ぼしていたり、及ぼすおそれがある特定外来生物については、必要に応じて防除を実施することとされています。

  • この際、「計画的かつ順応的」に、「関係者との連携」のもと、「科学的知見に基づき」行うこと、「費用対効果や実現可能性の観点からの優先順位を考慮して、効率的かつ効果的に実施すること」等とされています。このため、適切な情報公開の下に合意形成を図りつつ、科学的知見に基づいて適正な目標設定を含め、防除実施計画を策定し、防除開始後もモニタリングを行って、防除実施計画にフィードバックさせることなどが必要とされています。

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             ☞ 外来生物法 ☜

  • この法律の目的は、特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、生物の多様性の確保、人の生命・身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することです。

  • そのために、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うこととしています。         

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 <環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室>

 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2

        TEL:03-5521-8344 FAX:03-3581-7090

 外来生物対策室ホームページ

 http://www.env.go.jp/nature/intro/         

     ☞ リリース禁止条例 ☜

◎リリース禁止条例を施行している都道府県一

 覧。       (2021.4.1現在16県)

リリース禁止条例を施行していない都道府県一

 覧。               (2021.4.1現在30都道府県)

       1. 北海道 OK  ● 16. 和歌山県 OK   

   2. 青森県 OK  ● 17. 大阪府 OK

   3. 福島県 OK  ● 18. 兵庫県 OK

  ●  4. 茨城県 OK  ●  19. 岡山県 OK

  ●  5. 東京都 OK  ●  20. 島根県 OK

     6. 千葉県 OK    ●  21. 山口県 OK

      ●    7. 静岡県 OK    ●    22. 香川県 OK

      ●  8. 愛知県 OK    ●    23. 徳島県 OK

      ●   9.  岐阜県 OK  ●   24. 高知県 OK

      ●  10. 富山県 OK  ● 25. 愛媛県 OK

  ● 11. 石川県 OK    ●  26. 福岡県 OK

  ● 12. 福井県 OK  ●  27. 大分県 OK

  ● 13. 京都府 OK  ●  28. 宮崎県 OK

  ● 14. 三重県 OK    ●  29. 長崎県 OK

      ●  15. 奈良県 OK  ●  30. 沖縄県 OK

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スズキ・ヒラスズキ釣り ※豪快なエラ洗いを見せるスゴイ奴

                               〔特徴〕スズキは各地の沿岸から汽水域まで広く分布する魚。一方、スズキより体高

              があり暖海性のヒラスズキは、黒潮の流れる沿岸を回遊する。いずれも、エ

              サはイワシ、アジなどの小魚や甲殻類などで、その大きな口でひとのみにす

              る。成長すると1m近くにまでなる。

          〔シーズン〕地域によっては周年ねらえる(食味の点では夏が旬)。

          〔料理〕あらい、塩焼き、奉書焼き、吸い物など。

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ソルトウォーター(海)のルアーフィッシングは、年々人気が上昇しているが、その火付け役になったのがスズキである。ルアー釣りの世界では、スズキのことを“シーバス”と呼ぶことも多いので覚えておこう。

​スズキは、フッキングすると、エラ洗いと呼ばれる豪快なジャンプを見せてくれる。1m級の大型も夢ではない。

[バランスタックル]

最初に購入するタックルは、スズキのルアー釣り用に作られたシー

バスロッドの10フィート前後が扱いやすい。

スズキは好ファイトをするが、むやみに走り回る魚ではない。した

かって、シーバスロッドは粘りがあり、ファイトを楽しめるように

設計されている。

リールは遠投の効くロングスプール・タイプのスピニングリールが

理想だが、その余裕がなければ、普通のスピニングリールでもよい。

ラインは14ポンドテストを巻いておくが、ランディングの難しい高

い防波堤でねらう場合は、18ポンドラインを使用する。

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[ルアー選定のポイント]

スズキのルアーは、プラグとメタルジグが使われる。プラグではシ

ンキング・タイプの9~14cmを何色かそろえておこう。フローテ

ィング・タイプよりシンキング・タイプのほうが、

重量がある分、遠投が効く。

早朝、スズキがイワシなどの小魚を“追っているよ

うな場合には、トップウォーター・プラグも有効

だ。

メタルジグは、カウントダウンで底をねらう場合

に使われる。時に​は、水面近くのスズキにも有効

である。

一方、ヒラスズキをねらうには14cm前後のフロ

ーティング・ミノーに実績がある。

[ポイントと攻め方]

河口や運河の好ポイントとしては、船の係留施設

や岸壁の角などで流れに変化がある場所がまず挙

げられる。エサになる小魚が集まるポイントは、

すべてスズキの好ポイントだ。

ルアーを沖目にキャストして、ポイントを通るように引いてくる。ルアーの動きの変化は、引くスピードを速くしたり遅くしたりしてつける。もしくはカウントダウンしてルアーを沈め、ねらうタナを変えてみるのもいい。

ブラックバスのように、ロッド操作でルアーにあえてアクションを起こさせる必要はない。タナとスピードに注意を払いながら、キャストとリトリーブに変化をつける。

ヒラスズキは、外洋の荒磯のサラシの中に走る溝が好ポイントになる。ランディングの位置も念頭において、足元に十分注意しながらキャストしよう。

その他の海の対象魚

※海のルアー釣りはまだ未知の分野が多い。新し

 いターゲットを探しだせ!

[陸からのルアー釣り]

スズキ以外にも、メバル、カサゴ、アイナメなど、海のルアーフィッシングの対象となる魚は多い。しかし、まだ発展途上の分野なので、未知の部分もいっぱい残されている。

それだけに、釣り人自身が新しい可能性を見つけていくということが、海のルアーフィッシングのおもしろさでもある。

身近な防波堤や岸壁、小磯などから、スプーンやプラグ、ワームに向かって、意外な魚が飛びついてくるかもしれない。稀な例かもしれないが、あのクロダイがルアーで釣れたことさえあるのだから。​

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◎フライフィッシングの基礎 ※テクニックが必要なだけに魚をヒットした時の喜びも格別だ

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[基本タックル]

フライと呼ばれる毛バリを振って魚を釣る釣り方である。ゲーム・フィッシングの中では最もテクニックを必要とする釣りである。だが、練習を重ねてねらったポイントにフライを落とせるようになり、魚をヒットさせると、なんとも言えない感動がこみ上げてくる。

ファッショナブルな釣りでもあり、最後は鳥の羽を各種集めて、フライを自分で巻くタイイングまでマスターしたくなるのが、この釣りだ。​

[船やボートからのルアー釣り]

船を利用して沖へ出ると、ルアーの対象魚は、もっと多くなる。中でも注目されているのが、回遊魚のシイラやカツオをねらうもの。特に、シイラは1m以上の大物とファイトできる魅力がある。このクラスになると、その引きは強烈で、プラグが壊されたり、フックがのびてしまうこともある。

手軽なボート釣りでも、ヒラメやコチなどの大物をヒットさせることができる。

生きエサで釣れる肉食性の魚は、すべてルアーの対象魚と思ってよい。いろいろ挑戦してみてはどうだろうか。​

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[フライの構造と種類]

フライには、水に浮くドライタイプと水中に沈むウェットタイプの2種類がある。ドライタイプのフライでは、イワナやヤマメが水中から躍り出て水面のフライに飛びつく姿が見えるだけに、釣り人を興奮させる。

おもなフライのタイプと用途を下図に示したが、釣り場の条件、時間、飛び交う昆虫類など、釣り場の環境に適したフライの選定が、フライフィッシングの第一歩である。

フライを巻くタイイングは、各地で講習会が行われるので、参加してみるといっそうこの釣りに興味がわく。

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     ◎フライキャスティングの方法
 キャスティングは繰り返しの練習で体になじませてしまおう      
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       ◎ヒットから取り込みまで
 掛けた魚はばらさないよう慎重に扱うこと      
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      ◎ヤマメ・ニジマスをフライで
 エサを追わない渓流魚もフライならヒットする    
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キャスティングに慣れたら、まずは管理釣り場で放流されたヤマメやニジマスをねらってみよう。ドライタイプでヤマメやニジマスが水面に浮上するライズがあればしめたもの。

次にフッキングさせるタイミングの練習だ。何度もくやしい思いをするが、あきらめてはいけない。

管理釣り場でひととおりの基本がマスターできたら、いよいよフィールドへ出掛けてみよう。

フィールドで最初の1尾をキャッチすることは容易ではない。しかし、フライロッドを引き絞る魚とのやり取り、ランディングした時の感動は、忘れがたいものになるはずだ。

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◎さあ~あなたも釣りに出掛けてみよう!    
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